世田谷の桜5 (お寺と神社)
今まで訪れた範囲内ですが、世田谷区内にある桜の散策スポットを< 1、都立公園と施設 > < 2、区立公園 > < 3、川沿い、緑道 > < 4、町並み > < 5、お寺と神社 > < 6、桜まつり >の6つに分けて紹介しています。
世田谷には多くの神社と寺院があります。桜をきっかけに普段訪れない寺院や神社をめぐってみるのもいいものです。
・九品仏浄真寺

浄真寺は、かつてこの地にあった奥沢城の跡地を利用して建てられた浄土宗のお寺で、9体の印相を持った阿弥陀如来がある事から九品仏の愛称で親しまれています。
ここの境内には立派な楼門に9体の阿弥陀如来を安置してある三仏堂、そして釈迦像が安置されている本堂といった立派な建物が並び、そして都の天然記念物に指定されているカヤの木と大イチョウが聳えています。

そういった立派な建物や巨木に混じって桜の木も多く植えられています。と言っても境内が広いので、ほどほどにまんべんなく配置されているといった印象でしょうか。
背景や周囲の雰囲気は申し分ないので、多くの人が散策に訪れ、スケッチや写真撮影を楽しんでいます。桜のあるお寺といえば、ここが一番お勧めになるでしょうか。
- <場所>
- ・奥沢7丁目41−3(google map)
- <詳細ページ>
- ・九品仏浄真寺(百景98-2)
・等々力満願寺

等々力にある古刹で、別当に等々力不動を持っている寺です。本堂などは近代的な建造物ですが、設計を手掛けたのは文化勲章を受章した吉田五十八氏。とても均整の取れた境内となっています。
墓所には国の史跡に指定されている学者細井廣澤(広沢)の墓があることで知られていますが、あまりその名を知っている人はいないでしょうか。
境内の脇には一言地蔵といって一言祈願すると願いが叶うといった日本三体地蔵の一つがあります。その一言地蔵の前あたりに枝垂れ桜が植えられています。
桜の木の下には弘法大師の碑が設置されていて、弘法大師の枝垂れ桜といった感じです。まだ少し若いので後10年後に期待といったところでしょうか。その他、門前や駐車場などにも枝垂れ桜が何本か植わっているといった枝垂桜の多いお寺です。
- <場所>
- ・等々力3丁目15−1(google map)
- <詳細ページ>
- ・等々力満願寺(百景96)
・等々力不動

23区内で唯一の渓谷として知られる等々力渓谷ですが、その渓谷内の敷地は区の等々力渓谷公園の部分と等々力不動の敷地とで構成されています。実際のところ塀で仕切られているわけではないので、どこからどこまでがお寺の敷地なのかは分かりにくいです。
等々力不動は渓谷ではなく、崖の上に本堂や山門があります。境内には桜の木があり、特に山門付近の桜は立派です。

崖下には修験場となっていた不動の滝などがあります。かつては水量が多く、滝が轟く様子から等々力の地名が付いたという説もありますが、都市化の影響で今ではちょろちょろとしか流れていません。
その崖下には地蔵堂があり、その周辺に多くの桜が植えられています。この桜はもともと環八になる前の道路にあった桜並木の木で、環八が整備された時にここに移植されました。その数100本以上あるというからそれなりの数です。その様子は崖上の本堂に設置されている舞台からも見ることができ、ちょっと風流な花見を楽しめます。
ただ、全体的に色んな木が多いのでピンク一色といった風景ではありません。それに寺の敷地なのでシートを敷いての花見はもってのほか。禁止となっています。
- <場所>
- ・等々力1-21-39(google map)
- <詳細ページ>
- ・等々力不動(百景95-2)
・野毛善養寺

野毛の丸子川には一際目立つ赤い橋が架かっています。この橋は善養寺の参道になります。橋を渡ってお寺に入っていくと、密教寺らしく様々な石像が出迎えてくれます。ちょっと怪しい雰囲気で、わくわく感を持ちながら参拝できるという素敵なお寺です。
ここには都の天然記念物に指定されている立派なカヤの木があることで知られていますが、その手前にはさりげなく枝垂れ桜が並んでいます。大カヤの木に枝垂れ桜、そして変わった石像と楽しい花見散策ができます。
- <場所>
- ・野毛2丁目7−11(google map)
- <詳細ページ>
- ・野毛善養寺(百景94)
・世田谷観音

特攻観音があったり、二条城から移築された建物があったり、重要文化財の仏像があったりするお寺ですが、実は戦後に開山された寺だったりします。なんていうか、住職が収集したものを展示しているマニアックな寺という感想が一番しっくりするといったところでしょうか。
そんな世田谷観音ですが、桜に関してもきっちりと揃っています。枝垂れ桜にソメイヨシノはもちろん、鬱金(ウコン)桜という咲いている時は黄色っぽくて落ちるとピンクとなる品種も植えられています。

でも一番感慨深いのは特攻観音前のソメイヨシノでしょうか。その散っていく様子を見ると、「桜散る・・・」という言葉から色々と連想し、ちょっと感傷的な気持ちになるかもしれません。
- <場所>
- ・下馬4丁目9−4(google map)
- <詳細ページ>
- ・世田谷観音(百景3)
・松陰神社

世田谷区役所のすぐ近くに幕末の志士吉田松陰を祀った松陰神社があります。学問の神として有名ですが、境内には有名な松下村塾を模した建物があったり、松陰の墓があったりと、幕末に思いをはせることができる場所でもあります。
松陰神社には桜が多く植えられています。神社の鳥居付近に立派な桜があり、桜の時期には鳥居付近の参道が美しくなります。鳥居から拝殿まで続く参道にも桜が並んでいるので、桜並木のある参道といった感じです。

拝殿の横に吉田松陰や幕末の志士が眠る墓域があります。ここにも多くの桜が植えられているので、桜の時期はさわやかな空間となります。この時期は松陰先生もご満悦といった感じでしょうか。
- <場所>
- ・若林4丁目35−1(google map)
- <詳細ページ>
- ・松陰神社(百景18-1)
・豪徳寺


幕末や維新の大河ドラマや時代劇が大ヒットし、幕末の大老井伊直弼の墓がある寺として全国的に知られるようになった豪徳寺。更には、近年では猫の大ブーム。豪徳寺も招き猫の寺として様々なメディアで紹介され、若い参拝客が激増。不動たる世田谷を代表する観光地となった印象です。
豪徳寺境内といえば紅葉の美しさが有名ですが、桜もそれなりに植えられています。早咲きの枝垂れ桜(石灯籠前)、ソメイヨシノ(仏殿の前後)、遅咲きの枝垂れ桜(仏殿の横)と里桜(城山通り)と数種類の桜があるので、長い期間楽しむことができます。特に遅咲きの枝垂れ桜は当たり年の時には立派です。
- <場所>
- ・豪徳寺2-24-7(google map)
- <詳細ページ>
- ・豪徳寺(百景21)
・常徳院

世田谷八幡神社の北側に位置するお寺で、室町幕府将軍の足利義尚が開基したという言い伝えもありますが、実際はすぐそばにある世田谷城の主、吉良氏が開基したという説が有力だそうです。
常徳院は古道である滝坂道沿いにあり、滝坂道から山門までの間、短い区間になりますが桜並木になっています。滝坂道の春の風物詩となるでしょうか。
境内にも古木がおおく、秋の紅葉時もなかなかのものです。また、裏手にある付随する幼稚園の前にも立派な桜の木があったり、墓地にも桜があるといった桜の多いお寺です。
- <場所>
- ・宮坂2丁目1−11(google map)
- <詳細ページ>
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・弦巻実相院

駒留通りの西側、中央図書館にほど近い場所に最後の世田谷城主となった吉良氏朝所縁の実相院(實相院)があります。
この寺は吉良氏朝が開基したといわれる寺で、晩年をここで過ごしたとされています。江戸幕府より寺領十石ほどの御朱印地を拝領したという由緒ある寺で、現在でも境内には緑が多く、風情を感じます。
駒留通り側は裏門になるのですが、門の横や、門の後ろ側に立派な桜があり、春には目を引くような門前となります。門を入っても裏参道には巨石が多く、巨石と桜といった光景が繰り広げられ、散っていく桜の花びらが滝のように見えることもあります。
- <場所>
- ・弦巻3丁目29−6(google map)
- <詳細ページ>
- ・弦巻実相院(百景26)
・桜神宮

桜新町駅から駒沢方面へ進むと、中央図書館へ向かう三叉路があり、それを越えた辺りに桜神宮があります。この神社は、この地域の氏神様を祭った神社ではなく、大正8年に神田から移転してきた神社になります。
烏山寺町のように、関東大震災などを機に東京の中心にあるお寺が田舎の世田谷に移転してくる例は多くありますが、神社が移転してくるのはとても珍しいケースです。

神社の名に桜と付くだけあって、境内は桜爛漫な・・・とはなりませんが、3月上旬には拝殿前の河津桜が咲き、河津桜が散った後でソメイヨシノや枝垂れっぽい桜が咲きます。南向きの拝殿の前に色の濃い河津桜が並んでいる様子は、とても絵になります。
ただ、目の前の旧大山通りに咲いているのは、遅咲きの八重桜。桜新町の桜祭りが行われる時期には桜が咲いていないことは、少々残念なところでしょうか。
- <場所>
- ・新町3-21−3(google map)
- <詳細ページ>
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・用賀無量寺

ほぼ全域できちんと碁盤の目のように区画整理を行い、新しい町という印象が強い用賀。その用賀で歴史を感じられる数少ない存在の一つが、いらか道沿いにある無量寺です。
この寺には行基の作と伝わる十一面観音があり、また境内にはとても背の高いイチョウの木があることで知られています。桜も少し植えられていて、観音堂の前などに存在感のある大きな桜の木があります。また門前には明るいピンクの花がきれいな桜があり、通りがかる人がよく足を止めています。
- <場所>
- ・用賀4-20-1(google map)
- <詳細ページ>
- ・用賀無量寺(百景84)
・船橋不動

船橋神明神社の隣に宝性寺と船橋不動尊があります。室町時代の中ごろ、川崎の僧が不動様を馬に乗せてこの地にやってきて、小さな草庵を構えたのが始まりといわれています。
ずっと不動様が本尊でしたが、関東大震災で倒れた本堂の再建を機に大日如来を本尊にそえ、新たに建築した不動堂に不動様が収まっています。
その不動堂の周囲や入り口付近に桜の木が多くあり、春には春爛漫といった雰囲気となります。また不動堂の前にはモミジの木があり、紅葉時にはいい雰囲気になります。
神明社の隣は船橋小学校なのですが、校庭の脇の桜も見事ですし、その隣の郵政の社宅の敷地にも桜が並んでいるなど、この界隈では桜を多く見かけます。
- <場所>
- ・船橋4丁目39−32(google map)
- <詳細ページ>
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・東覚院


東覚院は千歳台にあるお寺です。1288年に「月空」という諸国を巡り歩く僧が来て、草庵を構えたのが発祥といわれています。
建物はきちんと修繕されていて、境内は近代的に整っていて、隣には幼稚園も付属しているので、700年の歴史を感じる古刹といった雰囲気は感じませんが、きちんと手入れが行き届いているので、気持ちよく参拝できる寺だと思います。
境内にはソメイヨシノが何本も植えられていて、枝垂れ桜も立派なものがあります。保存樹に指定されるような立派な木もありますが、もの凄く素敵って程ではなく、心地よく楽しめる桜かな・・・といった感じでしょうか。すぐ隣りには希望丘中公園があり、ここも桜の多い公園となっているので、合わせて訪れるといいでしょう。
- <場所>
- ・千歳台4-11−11(google map)
- <詳細ページ>
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・烏山玄照寺

26の寺院で構成されている烏山寺町。関東大震災で焼け出されたり、その復興の都市計画で移転を余儀なくされた寺が集団で移転してきたことで、大正末期から昭和初期にかけて形成されました。
その一つ、玄照寺には立派な枝垂れ桜があります。背の高い枝垂れ桜なので、とても存在感があります。烏山寺町には桜のある寺は幾つかありますが、この枝垂れ桜が一番心を揺さぶられるスポットになるでしょうか。あとは宗福寺の山門の横にあるソメイヨシノもなかなか立派です。
烏山寺町では花祭りの稚児行列が毎年行われます。会場となるお寺は持ち回りとなっていて、この玄照寺で境内で行われる時には枝垂れ桜の下での開催となるので、とても風情があります。
- <場所>
- ・北烏山4-21−1(google map)
- <詳細ページ>
- ・烏山寺町(百景42)
・大蔵妙法寺

大蔵団地の下、ちょうど世田谷通りと仙川が交わるところに妙法寺があります。世田谷通りから大きな大仏が見えるのでその存在を知っている人も多いのではないでしょうか。
実はこの大仏、なんと回転するのです。えっ、大仏様が回転するってどういうこと?ってなると思いますが、大仏様がターンテーブルに載せられているかように機械仕掛けでぐるっと一周するようになっています。

それはさておき、ここの境内には立派な枝垂れ桜があります。樹齢はおよそ80年だとか。枝ぶりが見事で、その様子を周囲の色んな角度から眺めることができます。また、夜にはライトアップされ、多くの人が夜桜見物に訪れます。
- <場所>
- ・大蔵5-12-3(google map)
- <詳細ページ>
- ・大蔵妙法寺(風景3-13)
・喜多見慶元寺

慶元寺は喜多見の古刹で、江戸氏縁の寺として知られていて、墓地には史跡となっている江戸氏の墓所があります。
本堂が世田谷区内寺院の本堂では最古だったり、立派な三重塔があったりと、境内に見所は多いのですが、この寺で一番感動的なのは杉並木となっている参道でしょうか。とても気持ちよく感じます。
杉並木となっている参道の先には山門があります。かつてこの地には喜多見藩がありました。その喜多見藩の陣屋(拠点)の門だったという言い伝えも残っているそうですが、今のところその確たる根拠は見つかっていないようです。この門前には桜の木が一本あり、開花時はとてもいい雰囲気になります。お寺の門と桜。日本的な感じがしていいではないでしょうか。
隣の慶元寺幼稚園にも立派な桜の木があり、その横にある喜多見緑道も桜並木となっています。また幼稚園があることから子供を中心とした花祭りが行われ、白象練り行列や甘茶の接待、人形劇なども行われます。桜の開花と重なると絵になっていそうです。
- <場所>
- ・喜多見4丁目17−1(google map)
- <詳細ページ>
- ・喜多見慶元寺(百景60)
・喜多見光伝寺

喜多見の・・・、説明しづらい場所に光伝寺があります。玉堤通りの近くと言うか、いかだ道の近くと言うか、水道道路の近くなんだけど、どの道にも接していません。知行院や喜多見三郵便局近くの路地にあるお寺という表現が適切でしょうか。
この寺は江戸幕府より寺領7石2斗の御朱印地を拝領したという由緒ある寺であり、また喜多見学校の校舎として使われたという歴史もあります。
現在ではあまり趣を感じるような境内ではありませんが、参道のすぐ脇に立派な枝垂れ桜があり、それをくぐって参拝するようになっています。きっと満開時は桜のすだれをくぐるような感じになるのでしょう。
- <場所>
- ・喜多見5丁目13−10(google map)
- <詳細ページ>
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