世田谷の桜4 (桜のある町並み)
今まで訪れた範囲内ですが、世田谷区内にある桜の散策スポットを< 1、都立公園と施設 > < 2、区立公園 > < 3、川沿い、緑道 > < 4、町並み > < 5、お寺と神社 > < 6、桜まつり >の6つに分けて紹介しています。
大正期から昭和初期にかけて、畑の多い世田谷では耕地整理が行われ、宅地化が進みました。民間が開発した土地では話題性のため、桜を並木として植えることが多く、今でもそれが残っています。
・成城住宅街の桜並木

高級住宅地としてその名を全国に轟かす成城。今や世田谷を代表する町と言っても過言ではありません。その成城の住宅地に桜並木があります。
この桜並木は昭和初期に成城の町ができたときに記念して植えられたもので、戦時中に枯れ、戦後にもう一度植え替えられました。
天下に名が轟く住宅地と桜並木。話題にならないわけがなく、桜の時期には多くの人が訪れています。世田谷区で一番有名な桜の名所は砧公園になるのでしょうが、一番世田谷区らしいというか、現在の世田谷を象徴するような桜のスポットは成城の桜並木になるのかもしれません。
また、人気の一端に少し前に大ヒットした歌、森山直太朗さんの「さくら」のモデルになったことも挙げられるでしょうか。

桜並木があるのは成城学園近くの住宅地。住所で言うと成城6、7丁目になります。成城学園前駅の交差点から北に延びる路地を中心に全部で350本もの桜があるようです。
ただ、それなりに古い桜並木なので、近年では木の老朽化が著しく、今後少しずつ他の種類の若木に植え替えられたり、並木が失われていくのかもしれません。
見ごろの週末には成城さくらフェスティバルも行われます。その日は並木沿いに露店やフリーマーケットが並び、多くの人が訪れます。
- <場所>
- ・成城6、7丁目(google map)
- <詳細ページ>
- ・成城住宅街の桜並木(百景52)
・成城ビール坂の桜並木

成城は高級住宅地として知られていますが、成城の魅力は住宅地だけではありません。成城の国分寺崖線には多くの自然が残され、また崖付近には魅力的な坂や景観が多いです。
成城4丁目の北側、調布市と境界をなしている坂はその名が魅力的で、ビール坂と呼ばれています。といっても正式名称ではなく、愛称です。
なぜビール坂なのか。それは、この坂の下にはかつてサッポロビールの社員寮やビアレストラン「ライオン」があったことから、いつしかビール坂と呼ばれるようになったとか何とか。現在では普通の集合住宅が建てられています。
このビール坂の両脇は木々に覆われていて、坂の脇にはビール坂緑地もあり、なかなか雰囲気のいい坂になっています。更には坂の途中に桜の木があるので、桜の時期にはとても雰囲気がよくなります。坂自体も名前の通り、桜の季節にはオープンカフェでも設置して、ビールを飲みたいといった感じです。
- <場所>
- ・成城4丁目32付近(google map)
- <詳細ページ>
- ・成城3・4丁目の崖線(百景57)
・上祖師谷4丁目の桜並木


せたがや花マップに、成城の北にある祖師谷4丁目付近に桜並木のマークがついています。訪れてみると、上智大学国際交流会館の北側、上祖師谷4丁目公園前の通りに可愛らしい桜並木がありました。
ピンクの色が濃い品種で、小柄な木々が並ぶ様子は少しメルヘンチックな感じがします。今後大きくなり、迫力のある桜並木になってしまうのか、それともこの状態が続くのでしょうか。木の種類には詳しくないのでよくわかりません。
通り沿いにある上祖師谷4丁目公園やその付近でもソメイヨシノが植えられていて、この付近は隠れた桜地帯となるでしょうか。
- <場所>
- ・上祖師谷4-34付近 上祖師谷四丁目公園(google map)
- <詳細ページ>
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・上北沢の桜並木

上北沢駅の南側は関東大震災後に土地開発が行われました。区画整理を行ったのは民間の会社で、背骨というか、真ん中となる道を中心に斜めに路地が配置されました。斬新な区画となっていて、その様子が肋骨に似ている事から、地元の人の間では「肋骨通り」と呼ばれていたそうです。
関東大震災後の復興事業として新しく誕生した町には話題が欲しいところ。分譲されると、通りには桜が植えられました。当時は背骨となる通りの他にも、あばらとなる路地にも植えられましたが、後に枯れ、現在は背骨となる真ん中の通りにだけ桜並木が残っています。

桜の本数としては50本ほど。そんなに長さもないので、桜並木としては小規模な感じです。他の町の桜並木を見た後では、物足りなさを感じるかもしれん。
ただ、地元の人々が木を守るために上北沢桜並木会議を結成し、まめに桜の手入れを行っているので、古い木が多いわりには比較的良好な感じがします。小規模だからこそ桜に愛情を感じることのできる桜並木といった感じでしょうか。また、駅前では週末に桜祭りも行われます。
- <場所>
- ・上北沢3丁目(google map)
- <詳細ページ>
- ・上北沢の桜並木(百景36)
・日大文理前の桜並木

せたがや百景にも選ばれている桜並木で、日本大学の文理学部の正門前の通りにある事から日大文理前の桜並木と呼ばれてます。卒業、入学時期に桜が満開だと、日大に通う学生にとってはいい思い出になりそうです。
とはいえ、この通りと周辺には日大付属桜ヶ丘高校、都立松原高校、区立緑が丘中学校と、多くの学校があるので、日大文理学部の学生だけが思い出になっているというわけでもなさそうです。
この通りは下高井戸商店街の延長上にあり、桜の時期には商店街が主催となって「しもたか大さくら祭り」を行っています。その日は通りが歩行者天国となり、出店も多く並び、多くの人が訪れます。
- <場所>
- ・日大文理学部前の通り、桜上水3丁目(google map)
- <詳細ページ>
- ・日大文理前の桜並木(百景35)
・旧新町住宅街(深沢)の桜並木

本来ならもっと脚光を浴びるべき桜並木なのですが、あまり世に知られていないのが深沢にある旧新町住宅街の桜並木です。都心から離れ、雑木林が生い茂っていたこの地は、閑静な別荘地として造成され、大正2年に分譲が始まりました。
そのときに話題作りを兼ねて、中心となる通りに道の両側に4、5m間隔で千数百本の桜が植えられました。それだけの規模の桜並木が話題ならないはずもなく、桜の名所として広く知れ渡り、桜のある新町ということから桜新町と呼ばれるようになっていきます。

注目すべきは、恐らくここが日本で一番最初に桜並木を持った住宅街となるはずです。それまでの常識では、桜は観賞用の植物で、街路樹には向かないとされていました。
実際、横に枝ばりが強く、木の寿命も短く、根の張りも強く、街路樹に向いていないのは確かですが、それをあえて試みたことに価値があるかと思います。
並木自体は古いだけあって立派な老木が多いといった感じですが、バス通りでもあることから傷んでいる木が多く見られ、近いうちに大規模な植え替えや整理等が行われそうな感じです。
- <場所>
- ・深沢7、8丁目(google map)
- <詳細ページ>
- ・旧新町住宅街の桜並木(風景2-10)
・神学院坂の桜並木

用賀中町通りの神学院下の交差点から旧新町住宅街へ続く坂道は、春になると桜のトンネルになります。特に名のない坂道ですが、坂の途中に交差点の名にもなっている神学院があるので、神学院坂とでも名付けておきましょうか。
この神学院坂の桜並木は、坂ゆえに立体感があり、平地にあるものに比べてまた違った良さがあるように思えます。

この道は桜並木で有名な旧新町住宅街へ続く道になり、それに合わせて桜を植樹したような感じです。旧新町住宅街とは桜の年代が違い、木が若く、日当たりがよいせいか、桜が生き生きとしている感じがします。並木の間隔も道幅もちょうどいい感じで、個人的に好きな並木の一つです。
一方通行ののんびりとした雰囲気の道ですが、あまり交通量が多くなさそうでいて、そこそこ交通量があります。周囲の状況を確認せずに車道に出ると危ないので、気を付けましょう。
- <場所>
- ・用賀1-12−31 神学院(google map)
- <詳細ページ>
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・桜新町駅前の桜並木

田園都市線桜新町駅前の通りは、かつての国道246号で、昔は路面電車の玉電が走っていました。今では駒沢から瀬田の交差点までバイパスができ、電車も地下へ移設されたので、そこまで交通量は多くありません。
この通り沿い、桜新町駅前を中心に比較的長い桜並木になっています。ちょっと変わっているのが、途中から桜の種類が変わること。駅から駒沢方面へは遅咲きの八重桜が植えられていて、駅から用賀方面は白っぽい大島さくらなどが混ぜて植えられています。
区内には八重桜の桜並木はないので(たぶん・・・)、桜新町という名前に負けず個性があっていいと思います。とはいえ、桜新町の名の由来は深沢に造られた新町住宅地の桜並木に由来しているので、桜新町らしい桜並木ではあるけど、この並木から町の名が付いたわけではありません。

桜新町といえばサザエさんの町。作者の長谷川町子氏が暮らし、サザエさんの話は桜新町での暮らしにヒントを得ています。商店街を中心にサザエさんの像やパネルが設置されていたりと、サザエさんの町らしい演出があり、桜を楽しみながらの町歩きも楽しいものとなるでしょう。
また、桜の時期には駅前の通りを歩行者天国にして桜まつりが行われます。サザエさんに関連した出店もあり、子供に人気となっています。
- <場所>
- ・桜新町駅前通り(google map)
- <詳細ページ>
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・西用賀通りの桜並木

全然知名度はありませんが、ある意味凄い並木です。用賀地区は玉川全円耕地整理事業によってきれいな碁盤の目状に区画が整理されています。その区画整理された住宅街を縦に貫く西用賀通りには、街路樹として桜が植えられています。
何が凄いって世田谷通りまでの約1キロの間、ひたすら真っ直ぐの桜並木が続くのです。こんなに真っ直ぐな桜並木は珍しいと思います。ただ、道沿いは一般の住宅が中心なので、歩いていても代わり映えのしない風景の連続です。なんというか、桜のある道といった感想になるでしょうか。だから知名度も上がらないのでしょうが・・・。
- <場所>
- ・上用賀地区(google map)
- <詳細ページ>
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・桜丘の桜並木


世田谷通りから農大の横を通り、桜丘を突っ切り、環八を越え、烏山の方へ向かっていく道は千歳通りです。この千歳通りはかつて流れていた品川用水を埋め立てて整備されました。
その用水の名残として、木橋跡付近には玉石垣が残っています。特徴的な町並みとして、せたがや地域風景資産にも指定されています。
玉石垣も素晴らしいのですが、この道沿いには多くの桜が植えられていて、とても素晴らしい桜並木になっています。
かつての用水らしく緩やかに道が蛇行していたり、玉石垣があったりするのがここの桜並木の特徴で、区内の他の地域では見られないような独特の景観となるでしょうか。また、小規模ながら地元自治会によって桜祭りも行われています。
- <場所>
- ・桜丘の千歳通り(google map)
- <詳細ページ>
- ・桜丘の玉石垣のある風景(風景1-3)
・世田谷通りの桜並木(大蔵団地)


世田谷通りの日大商学部前から仙川にかかる大蔵橋まで続く長い坂道沿いは桜並木になっていて、せたがや百景にも選ばれるような人気のスポットになっています。
ここの桜並木は、道路のすぐ脇に桜の木が植わっているわけではなく、歩道の更に外側だったり、切り通しとなっている崖の上だったりと、桜に優しい並木道となっています。実際に歩いてみると、坂道という立地条件に切り通し状になっている事がプラスされ、かなり立体感ある並木道と感じます。
付け加えると、道の切り通しに団地の建物がプラスされ、ここは風の通り道になっています。更には車の往来もかなりあることから、桜が散る頃には桜ふぶきが上から下からと凄いことになります。色々とスケールが大きく、区内の桜並木の中では一番壮大な感じがします。
- <場所>
- ・大蔵三丁目(google map)
- <詳細ページ>
- ・大蔵団地と桜(百景63)
・TMC通り沿いの桜並木

TMCというのは東京メディアシティーの事で、ここにはフジやTBSなどの多数のスタジオがあり、収録などが行われています。その建物の前に立派な桜が何本か並んでいて、ちょっとした桜スポットとなっています。
玄関前の通りはTMC商店街となっていて、お隣の日大商学部の東広場では商店がが主催する桜まつりが行われていました。メディア関係の立地らしく、売り出し中の芸人やアイドルなどが出演していまたが、今では行われていない模様です。
- <場所>
- ・砧5-7−1(google map)
- <詳細ページ>
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・永安寺前の桜並木

大蔵の永安寺から水神橋にかけての通り沿いには桜が植えられていて、なかなか素敵な桜並木になっています。
かつてこの道には、野川から取水した農業用水の次大夫堀(六郷用水)が流れていました。1980年頃、役目を終えた用水を埋め立て、道路として整備した際に道路沿いに苗木を植えたそうです。
ここの桜は道路沿いにある桜の木にしては背が高く、木も真っ直ぐで存在感があります。ただ、どうしても気になるのが、木の上に電線が通っていること。今後大きな問題になりそうに感じます。
この道沿いには2本の大イチョウで有名な永安寺があります。ここの門前にも桜があり、素敵な景観となっていますが、電線が多いのがちょっと残念といった感じでした。
- <場所>
- ・大蔵6丁目(google map)
- <詳細ページ>
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・岡本三丁目の坂道

坂の多い岡本町域。その坂の中でも強烈にインパクトがあるのが、岡本三丁目にある坂道です。昔から特撮やドラマなどに使われいて、近年ではバラエティー番組で紹介されたことで、世田谷の面白スポットとして訪れる人が多くなりました。特に自転車で訪れる人が多く、坂の登りを挑戦しているようです。
その岡本三丁目の坂道沿いにはさりげなく桜が植えられていて、ミニ桜並木のようになっています。せっかくなら桜の時期に訪れ、桜の木の下でさわやかな感じで自転車とともに写真を撮ってみるのもいいのではないでしょうか。
- <場所>
- ・岡本3丁目27~36付近(google map)
- <詳細ページ>
- ・岡本三丁目の坂道(百景70)