世田谷散策記 タイトル
せたがや百景 No.35

日大文理学部の桜

桜上水3-25

新学年に満開の桜は欠かせない風物詩。日大文理学部には立派な桜のアーケードがあり、勉学に意欲を新たにする学生たちを迎えてくれる。青春時代の学び舎の忘れがたい風景として、記憶されている。(せたがや百景公式紹介文の引用)

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1、日大文理学部の桜並木について

日本大学文理学部正門
日本大学文理学部正門

レンガ調でまとめられていて、入り口にも桜の木があります。

京王線の下高井戸駅と桜上水駅の中間ぐらいのところに、日本大学文理学部があります。日本大学と言えば、日本一の学生数を誇るマンモス大学です。当然一つのキャンパスに全てが収まるはずもなく、関東を中心にキャンパスが点在しています。

世田谷区には、この文理学部の他には、大蔵団地のすぐ近くに商学部の砧キャンパスがあります。また、平成28年に三軒茶屋に新キャンパスがオープンし、28年ぶりの新学部として、危機管理学部とスポーツ科学部が新設されました。

2017年の三軒茶屋の航空写真(国土地理院)
日大三軒茶屋キャンパス

国土地理院地図を書き込んで使用

この土地のないご時世に、三軒茶屋に新キャンパスとは、いったいそんな広い土地をどう用意したの。って、ことになるのですが、実は古くから日大の三軒茶屋キャンパスは存在していました。

最初にここにあったのは、東京獣医畜産大学。日大と合弁し、日大農獣医学部のキャンパスとなりました。その後、学部再編で生物資源科学部と名が変わりましたが、後に広々とした藤沢キャンパスに移転していきました。しばらくは学部のない状態で放置されていましたが、新学部開設を機に建て直しが行われたという次第です。

隣にあった明治薬科大学は、敷地を売ったお金で郊外へ移転していきました。この土地もいい値段で売れそうです。ここにキャンパスを新設するよりは・・・などと素人的には思ってしまいますが、そこは金満大学。力技のように新学部を設立してしまいました。

日大文理正門前の桜並木
日大文理正門前の桜並木

入学式前なので人の出入りが多く、通りには祝入学の旗も見えます。

文理学部に話を戻すと、文理学部って何を学んでいるの?あまり聞き慣れない学部名なので、興味があるところです。

大学のサイトを閲覧してみると、文字通り文系と理系が融合した総合学部といった感じで、紹介コメントでも”百年を越える歴史を持つ複合学部として「文・理融合」を教育理念に、総合的なものの見方や考え方を身に付けた人材を育成する学部”となっていました。

紫式部の源氏物語を学びつつ、ニュートン先生の万有引力の法則を研究しているのでしょうか。って、まあこれは極端な例であり、私の苦手な教科でもあるのですが、両方とも興味ないと、せめてどっちかにしてくれ・・・と、ジンマシンが出てきそうです。

日大文理学部前の通り
日大文理学部前の通り

百景の文章にあるように桜のトンネルが出来上がります。

日大桜丘高校とグランド前の桜並木
日大桜丘高校とグランド前の桜並木

周辺の道にも桜が植えられています。

この文理学部の正門前の通りが桜並木になっていて、これが百景の桜並木となります。日大側は土塁のようになっていて、少し高い位置に桜が植えられているので、いい感じで桜のトンネルになります。

この通り沿いには、文理学部の前に日大の百周年記念館やグラウンド。その横に都立の松原高校。文理学部の隣には、日大付属櫻丘高校や区立緑が丘中学校と並んでいるので、日大文理学部以外の学生たちにとっても、思い出の桜並木になっていることでしょう。

1940年頃の桜上水周辺の航空写真(国土地理院)
1940年頃の桜上水周辺

国土地理院地図を書き込んで使用

日大は、明治22年(1889)に当時の司法大臣であった山田顕義によって、日本法律学校として創立されました。日本大学と改称したのは、明治36年(1903)です。

昭和12年(1937)に、現在の敷地に大学予科文科世田谷校舎(現在の文理学部1号館)が落成。昭和33年に文学部に理系の学科を設置し、文理学部と改称しています。

戦前の写真を見ると、目の前には三井牧場があり、付近も畑ばかり。のどかな環境だったことがうかがえます。

1940年頃の桜上水周辺の航空写真(国土地理院)
1940年頃の桜上水周辺

国土地理院地図を書き込んで使用

戦後の1940年代後半になると、敷地内に建物が増え、キャンパスらしくなっています。ただ、周辺は相変わらずのどかなままです。

1960年代の日大文理の航空写真(国土地理院)
1960年代の日大文理

国土地理院地図を書き込んで使用

1960年代の写真を見ると、正門前の道沿いに木が植えられているのが確認できます。これが桜で、現在の桜並木なのでしょう。

キャンパスにはさらに建物が増え、賑やかになっています。大学周辺は家屋で埋まり、隣には高校を建設しています。

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2、しもたか大さくら祭り

しもたか大さくら祭り
しもたか大さくら祭り

通りには出店が並びます。

文理学部前の日大通りでは、例年3月最終週末に、下高井戸商店街主催で桜祭りが開催されます。

「しもたか大さくら祭り」と名付けられていて、2009年時点で第34回という事なので、結構長く続いている桜祭りとなるようです。

近年は桜の発育が遅い年が続き、2分咲程度で祭りが行われることが続いています。さすがに頭上が寂しいと、気分的に盛り上がりが欠けてしまいますが、4月第一週にしてしまうと、入学式の準備と重なってしまうので、日程を変えるのは難しそうです。

しもたか大さくら祭り 日大百周年記念館前の舞台
日大百周年記念館前の舞台

魔人型のふわふわドームも人気でした。

桜祭りの期間中は、文理学部前の日大通りが歩行者天国となり、商店街の店や地域の団体の店などが路上に並び、多くの人が訪れます。

文理学部と道を挟んで百周年記念館があり、そこにステージが設置され、ステージイベントが行われます。

プログラムを見ると、子供達のダンスをはじめ、太鼓の団体、民舞の団体などによる演目、また日大の生徒による歌舞伎が演じられていました。ただ、観客席が少なく、見学しにくいのもあって、そこまで盛り上がっていないかな・・・といった感じでした。

しもたか大さくら祭り
ステージの演技

太鼓やダンスや舞踏などが演じられます。

その他、野点や昔の遊びを体験できるコーナーなど、手作り感の溢れるようなブースも多いです。

祭りの終わりには、ビンゴ大会が行われます。これが一番盛り上がるのでしょうか。実際にその様子は見てはいませんが、祭り本部のテントでビンゴのカードを手に入れている子供達が多かったので、そんな気がしました。

全体的には雰囲気のいい祭りで、これぞ商店街主催のローカルな桜祭りといった感じでしょうか。ただ・・・、突っ込んではいけないのでしょうが、どの辺が「大さくら祭り」なのだろうか・・・。ちょっと気になってしまいました。(笑)

3、感想など

桜並木の下の通学
桜並木の下の通学

桜色の思い出ができるといいですね。

日大前の桜並木は、春になるときれいな桜のトンネルになります。その桜のトンネルを通り、多くの学生が学校に通ったり、卒業式や入学式を迎えています。

一年ごとに目まぐるしく状況が変わる学生にとっては、一年の節目となる3月~4月の思い出は、とても印象深いものです。

一つ学年が上がったり、別のステージに羽ばたいていくだけではなく、好きだった先輩を見送ったり、新しい出会があったり・・・。甘酸っぱい青春の季節でもあります。その節目に頭上で見守ってくれているのが、桜です。

卒業し、社会に出て、そして子供ができ、子供に付き添って入学式を訪れた時、学校に咲いている桜を見たなら、きっとこの桜並木の下を通っていた自分の学生時代と重ね合わせるに違いありません。

せたがや百景 No.35
日大文理学部の桜
2025年5月改訂 - 風の旅人
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・地図・アクセス等

・住所桜上水3-25
・アクセス最寄り駅は京王線下高井戸駅、あるいは桜上水駅。
・関連リンク下高井戸商店街日本大学日本大学文理学部
・備考桜の開花時期の週末(3月の最終週末)には「しもたか大さくら祭り」が開催されます。
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