世田谷散策記 タイトル
せたがや百景 No.34

下高井戸の阿波おどり

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「おどらにゃ、そんそん・・・・・」町会・商店会を中心に始めた下高井戸の阿波踊りは年々規模が大きくなってきた。本家に負けない熱気と興奮が町を包む。(せたがや百景公式紹介文の引用)

*現在では行われていません。但し、名残として「しもたかサマーフェスティバル」が8月後半の週末に開催されています。

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1、阿波踊りと「しもたかサマーフェスティバル」

高円寺の阿波踊り
高円寺の阿波踊り

東京で一番歴史のある阿波踊り大会です。

せたがや百景を1番から順番に見ていくと、阿波踊りはこの項目で3回目の登場になります。下北沢、経堂、そしてこの下高井戸。更には、ちょっと北になりますが、杉並区の高円寺での阿波踊りは、日本国内でも徳島に次ぐ規模と人気を誇っています。

そう考えると、百景選定された昭和後半は、阿波踊りがとても盛んだったことと、世田谷の小田急線より北側から杉並にかけての一帯が、阿波踊りが盛んな地域だということが伺えます。

しかしながら、それは少々過去の話となってしまったようで、近年ではよさこいの方が盛んに行われていて、阿波踊りの人気は下火となっています。

下高井戸の阿波踊りの様子(せたがや百景の冊子 世田谷区企画部都市デザイン室制作から引用)
下高井戸の阿波踊りの様子

せたがや百景の冊子 世田谷区企画部都市デザイン室制作から引用

そして、この下高井戸の阿波踊りも、残念ながら随分と昔に行われなくなってしまいました。その詳しい経緯などは聞いていないので推測でしか書けませんが、恐らく踊り手不足ではないでしょうか。

現在、下高井戸を本拠とする阿波踊りの連というのは聞きません。もし、地元に有名、あるいは熱心な阿波踊りの連が存続していれば、経堂や下北沢のように規模の如何を問わなければ続いていた思います。

下北沢阿波踊りの会場
下北沢阿波踊りの会場

商店街としても、公道を使った阿波踊り大会を開催するのは、あれこれと法的手続きをしたり、多くの人員を動員して交通整理や誘導を行ったり、苦情を受けたりと、非常に面倒なものです。

地元の連が参加するのなら、人付き合いやら自分が楽しく参加するためだとかで、そういったこともあまり苦になりません。

でも、地元の連が参加しなければ、面倒ばかりが増え、開催することに負担を感じてきます。それに、小さな商店街のイベントでは、やはり地元の連が出るのと出ないのとでは、盛り上がりが段違いに違います。

そういった事情から、地元連の踊り手が少なくなって存続できなくなり、それを機に阿波踊り大会を開催するのをやめてしまったのでは・・・と想像できるのですが、どうでしょう。

しもたかサマーフェスティバルの会場
しもたかサマーフェスティバルの会場

阿波踊りの後継イベントで、駅近くの駐車場で行われます。

しもたかサマーフェスティバル 抽選会の様子
抽選会の様子

みんな真剣です・・・。

現在、阿波踊りの後継として、8月の終わりの週末に「しもたかサマーフェスティバル」が行われています。

2010年時点で、第40回目ということなので、阿波踊り大会の時からのカウントなら、同じく45回目の下北沢と37回目の経堂の間に始まったという事になります。

このフェスティバルは、広い駐車場を使っての典型的な商店街のイベントといった感じで、会場には出店が並び、中央に設置された櫓ではイベントや踊りが行われます。

しもたかサマーフェスティバル 松沢サンバの様子
しもたか名物、松沢サンバ

子供達が楽しそうに踊っていました。

しもたかサマーフェスティバル よさこい踊りの様子
よさこい調の盆通り

ちゃんと鳴子を持って踊ります。

訪れたのは、2011年。その時に櫓で踊っていたのは、盆踊りやよさこい、松沢サンバなど。プログラムを見る限りでは、阿波踊りはなく、完全に下高井戸から阿波踊りは消えていました。

それに下北沢の阿波踊りで嫌々踊っていた昭和信用金庫の方々が、同じ衣装で生き生きとよさこいを踊っているのを見ると、昭和を知らない世代を中心に、時代は阿波踊りからよさこい踊りに変わりつつあるのかな・・・などと思ってしまいました。

ちなみに松沢サンバとは、すぐ近くにある松沢小学校の創立100周年に創られたサンバ調の踊りで、あの派手な衣装で情熱的に踊るサンバとは違いますが、下高井戸名物になっているようで、この曲が流れると、子供達が喜んで踊っていました。

2、感想など

しもたかサマーフェスティバル 楽しく踊る子供達
楽しく踊る子供達

夏になると日本中で踊られる盆踊り。地域によって様々な盆踊りがあります。その中でも特に有名なのが阿波踊りです。特徴的な踊りと、ノリの良さから全国的に広まりました。

阿波踊りが爆発的に広まったのは、戦後の復興が一段落した頃です。当時の日本は娯楽が少なく、また右へ倣えといった風潮があったこともあり、各商店街が積極的に取り入れました。

とはいえ、ちゃんとした阿波踊りをしようとするなら、それなりの人数が必要ですし、練習も太鼓や鉦などは大きな音が出て、なかなか練習する場所がありません。かといって、毎回CDでというわけにはいかず、踊りの質を維持していくのも大変です。

それとともに、娯楽の多様性が進み、よさこいやサンバの方が風潮にあっているといった商店街も登場してきました。

残寝ながら下高井戸では阿波踊りは行われなくなってしまいましたが、しもたかサマーフェスティバルとして行事は引き継がれています。踊りが始まると、小さい子などが積極的に踊りの輪の中に入っていく様子は、阿波踊りからの流れなのかもしれませんね。

せたがや百景 No.34
下高井戸の阿波おどり
2025年5月改訂 - 風の旅人
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・地図・アクセス等

・住所松原3丁目31(しもたかサマーフェスティバル会場)
・アクセス最寄り駅は京王線下高井戸駅。
・関連リンク下高井戸商店街
・備考ーーー
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