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せたがや地域風景資産 No.1-31

蘆花恒春園花の丘

せたがや地域風景資産 No.2-20

水辺の自然とふれあえる蘆花恒春園

芦花公園には地域の人々の手入れによって一年中きれいに花が咲いている花の丘があります。その丘では月に一度花の丘フェスタが行われ、地域活動によって地域コミュニティーの活性化が図られています。

・場所 : 粕谷1丁目20-1
・登録団体など : NPO 芦花公園花の丘友の会
・備考 : 花の丘フェスタは毎月第一日曜(1、8月を除く、9月は第一土曜)

*** 蘆花恒春園花の丘の写真 ***

蘆花恒春園花の丘の写真
花の丘

真ん中に花壇があり、周りに桜の木があります。

蘆花恒春園花の丘の写真
花壇とコヒガン桜と清掃工場の煙突

色鮮やかです。

蘆花恒春園花の丘の写真
花の丘の散歩

桜の時期はいろんな人が散歩しに来ます。

蘆花恒春園花の丘の写真
花壇の手入れと見守る子供たち

お母さんの仕事が終わるのを待っているのでしょうか。

* 季節の花 *

蘆花恒春園花の丘の写真
スイセン
蘆花恒春園花の丘の写真
菜の花とコヒガン桜
蘆花恒春園花の丘の写真
ヨウコウ桜
蘆花恒春園花の丘の写真
チューリップ
蘆花恒春園花の丘の写真
芝桜
蘆花恒春園花の丘の写真
ポピー
蘆花恒春園花の丘の写真
つつじ
蘆花恒春園花の丘の写真
アナベル
蘆花恒春園花の丘の写真
ひまわり
蘆花恒春園花の丘の写真
コスモス

* 花の丘フェスタ *

花の丘フェスタの写真
フェスタの様子1

フェスタの日はフリーまけっとなどが並びます。

花の丘フェスタの写真
フェスタの様子2

訪れる人もいつもよりも多いです。

花の丘フェスタの写真
桜まつりのステージ

桜祭りのときだけステージが設置されます。

花の丘フェスタの写真
七夕

願いがかなうといいですね。

花の丘フェスタの写真
盆踊り・・・(終了後)

土曜日に行われます。

花の丘フェスタの写真
ハロウィン

仮装した子供たちでにぎわいます。

* 水辺の自然 *

やごの学校の写真
やごの学校
みんなのとんぼ池の写真
みんなのとんぼ池

* 野音の会 *

野音の会の演奏の様子の写真
野音の会
野音の会の演奏の様子の写真
演奏の様子

* 蘆花恒春園花の丘について *

せたがや百景にも登場するのでご存知の方も多いかと思いますが、環八の千歳台交差点付近に芦花公園があります。芦花公園は文豪徳富蘆花が暮らした土地を整備した公園で、園内には東京都の史跡に指定されている徳富蘆花氏の旧宅や墓石、遺品などを展示した記念館があります。

一般的には芦花公園という名称の方が認知されていますが、正式には都立蘆花恒春園となります。これは蘆花が自分の土地を恒春園と名付けていたことに由来しています。なんでも大正時代に台湾の南端の恒春という場所に蘆花の農園があるといった評判が立ち、ある人からその農園で働かせてくれないかと依頼されたとか。これはあくまでも噂で、台湾に農園があるといった事実はなかったのですが、これは何だか縁起のいい話だぞと考えた蘆花は「永久に若い」という意味も含めて自分の土地を「恒春園」と名付けたそうです。

そして後年、この地が公園化されるときにそのまま公園の名前に使用されました。でも、実際は呼びやすく、分かりやすい字を使った芦花公園という愛称の方が一般的な呼称になっている感じです。やはりこのほうが親しみがありますからね。そして旧宅や記念館がある部分を特に強調するときに蘆花恒春園、或いは恒春園エリアという言い方をしている感じです。

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この芦花公園の南側には花の丘という区域があります。花の丘なんてものはありきたりな感じがするかもしれませんが、ここの花の丘はなかなかどうして、とっても素晴らしい丘なのです。現在の芦花公園を象徴するような場所だといっても過言ではないと思います。もちろん都内にある公園なので、辺り一面花が咲いている丘というわけにはいきませんが、都内にある一般的な公園としてはかなり広い空間が花壇等に使用されています。

最初訪れたときは、百景の項目を調べにやってきた時でした。百景の紹介文には蘆花恒春園の部分しか触れられていなかったので、花の丘については全く知らない状態で訪れたものだから、芦花公園って凄い公園かも・・・とビックリしてしまいました。

そのときは蘆花氏は名前に花の文字を付けるぐらい花がとても好きな方で、そういった事にちなんで花の丘なんてものがあるのかなと勝手に思い込んでいたのですが、後日、地元の人々の熱意によって花の丘が設立されたり、ボランティアの方々によって管理されていたりすることを知り、単なる行政が造った花の丘ではなかったんだと驚いたのと同時に、なるほどと納得してしまいました。

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芦花公園は現在の敷地全てが徳富蘆花氏の敷地だったわけではありません。蘆花恒春園の辺りが元々蘆花氏の遺族から寄贈された土地で、少しずつ周りの土地を都が買収して公園の敷地を広げていきました。そして一番最近では平成7年頃に80軒ほどの民家が立ち退いて新たな公園のスペースができました。これが現在の花の丘の部分です。

最初、都はこのスペースを利用して「樹林公園」を計画していました。かつて蘆花が過ごした頃の武蔵野の森を再現しようとしたのでしょうか。それを知った地元商店街、町会、住民は、樹木よりも一年中花が咲いているような明るい公園にして、そこを地域の住民などの憩いの場としたいと考えました。そして有志が集って話し合いを重ね、具体的な形となったところで都に要望書を提出しました。

その要望が受け入れられて造られたのが花の丘で、平成11年4月に第一回桜祭りと同時に完成記念式典が行われました。これが花の丘が誕生した経緯です。もし当初の予定通りに「樹林公園」となっていたなら、駒沢緑泉公園の樹木園のような感じになっていたのかもしれません。

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現在花の丘を管理しているのは「NPO法人芦花公園花の丘友の会」という団体です。団体としては平成8年7月に結成し、平成11年11月にNPO団体として認可されていますが、それ以前から有志によって樹林公園から花の丘への変更交渉を行ったりしています。

団体結成後は花の丘の設立に携わり、そして花の丘の維持に努めています。その活動は現在でも積極的かつ、斬新的で、国土交通省の手作り郷土賞、東京都公園協会のボランティア活動部門の表彰など幾つものボランティア関係の賞を受賞しています。活動は大きく分けると3つに分けられて、「花グループ」という花壇の手入れを行う活動、「イベントグループ」という毎月第一日曜(除く1月、8月)に花の丘で行われる花の丘フェスタの実施する活動、「とんぼ池グループ」という「みんなのとんぼ池」「芦花公園自然観察資料館(通称:やごの楽校)」の管理運営です。

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「花グループ」についてですが、実際に花の丘を訪れるとよくわかるのですが、ここの花壇はよく手入れが成されています。そして一年中花が咲いているようにと色んな種類の花が植えられています。だから何か花の写真が撮りたいなと思った時に立ち寄ると必ず何かしら花が咲いているのでとてもありがたいです。

特に素晴らしいなと思ったのが、春の菜の花、芝桜、チューリップに夏のヒマワリ、秋のコスモスといったところでしょうか。こういった花はボランティアの方々が植えたものだけではなく、近所の千歳台小学校、芦花小学校の子供たちが総合学習として育てているものもあります。

2千平方mある花の丘には5つの花壇があり、一番大きくて色んな花で彩られている花壇はボランティアの方々が手入れをしている花壇で、その他のまとまって菜の花やひまわり、コスモスが植えられているのがそういった学習用の花壇になります。自分たちの育てている花が閉鎖的な環境である学校内の花壇ではなく、多くの人が訪れる公園にあるというのはいいものでしょうね。育てる喜びも何倍にもなるでしょうし、とってもいい経験になるかと思います。子供たちが親にこれは自分が植えた花だよと自慢している様子が浮かんできます。

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花の丘にはシンボル的存在である15本ある高遠コヒガン桜が並んでいて、春にはとても素晴らしい風景となります。この桜は長野県の高遠市から送られたものです。高遠市の桜といえば・・・ご存じの方も多いと思いますが、高遠城址の桜は桜百選にも選ばれるほどの素晴らしい桜で、写真愛好家の方々が一度は開花時期に訪れたいとあこがれるような桜の名勝です。

また高遠コヒガン桜の後ろには一際赤い桜があり、それはヨウコウ(陽光)桜という品種のようです。あまり一般的ではなく最近改良された園芸用の品種らしいのですが、これだけ赤いと梅の花と間違いそうです。その他の花に関しては解説するほどの知識を持ち合わせていないので、花の丘の会のサイトなどで確認して下さい。

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そして季節の花に合わせて、月に一度、第一日曜日に花の丘で花の丘フェスタというイベントが行われます。これがイベントグループになります。1月と8月には行われなく、2月にはもちつき大会、3月には菜の花まつり、4月には高遠コヒガン桜まつり、5月には子供まつり、6月にはポピーまつり、7月には七夕まつり、9月にはひまわり祭り&盆踊り大会、10月にはコスモスとやきいも大会、11月にはハロウィン・コンテスト、12月にはクリスマスツリー・コンテストといったイベントが行われています。

とりわけ4月の桜祭りが一番大きなイベントとなり、土日の2日間に渡ってステージが設けられ賑わいます。また10月の焼き芋大会では無料で焼き芋が配られるので、大行列ができるようです。11月のハロウィンは花の丘が仮装した子供達で賑わい、唯一土曜日の開催となる踊り大会では浴衣姿の子供たちで賑わいます。

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また花の丘フェスタに合わせるようにして芦花公園しあわせの野音の会の人達がやごの学校前で野外コンサート(パークライブ)を開いている事もあります。文化、芸術を通して環境を考えるといったキャッチフレーズの元で、地域(芦花公園)の魅力アップを目指しているようです。良い演奏だなと思ったら運営資金として100円ほど募金を募っているので協力するのといいでしょう。芦花公園ではこういったイベントが第一日曜日に行われているので、特にする事がないのでしたら花を見がてら訪れてみるのも悪くないかと思います。

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また花の丘のすぐ横には、「やごの楽校(芦花公園自然観察資料館)」と「みんなのとんぼ池」があります。これらの施設は「トンボはどこから飛んできたの?」といった子どもの素朴な疑問から、平成17年11月にとんぼ池と観察小屋を作るという試みが始まったそうです。

地域の人々の手によってまず池が掘られ、そして手作りで小屋が組み立てられました。管理、維持は「とんぼ池グループ」によって行われていて、定期的に池の清掃を行ったり、小屋の運営管理をしているほか、多摩川へ生物の採取をしに出かけたりもしているようです。都会では虫を観察する場所も機会もなかなかないので、虫が好きな子供たちの楽しい遊び場になっているはずです。

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ちなみにトンボの幼虫ヤゴは肉食なので、観賞魚を飼っている人には天敵となります。買ってきた水草に卵が付いていて気がついたら水槽にヤゴがいて、魚の死骸が・・・っていうのは、よく聞く話です。我が家でもベランダでメダカを飼っていますが、ヤゴを見つけたら即刻駆除しています。

食物連鎖を行っていない水槽では共存できないから仕方ないのですが、大きな池だと鳥などの捕食者を含めうまく循環しているはずですし、それをきちんと観察し、うまく維持管理できていれば子供にとってとてもためになるはずです。管理するのは難しいでしょうが・・・。

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このようにNPO法人芦花公園花の丘友の会が中心となって様々な活動を行うことによって、花の丘を中心とした芦花公園が魅力あるものとなっているのと同時に、このような地域を通じた活動を行うことで、地域全体で子供達の成長のために、また公園を訪れる人のために、そして自分たちと地域のコミュニティーの活性化につながっているようです。

近年では地域ぐるみの街づくり、子育て支援、高齢者支援などといったことが取りざたされますが、地域活動やイベントを定期的に行ったりすることで地域のネットワークが広がり、問題に対処しやすくなっているというのも注目すべきことだと思います。

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結局のところ花壇の手入れにしても一人で行えば土と人間の関係でしかありませんが、仲間と協力して行うことで人と人との関係に変わります。それに「育てる」ということは何かしら責任感を求められることなので、仲間意識や協調性も構築しやすいはずです。人と人とのつながりで作られている風景。だからこそせたがや地域風景資産に選定されていて、そういった目に見えない部分を知ると、また一層花壇の花もきれいに見えるのではないでしょうか。

そして元を正せばこういうきっかけや地域の絆を作ったのは徳富蘆花氏の存在であって、土地などを寄付した愛子夫人であることも忘れてはならない部分です。蘆花氏がいたからこそ今の芦花公園があるわけで、花の丘や地域のコミュニティーが出来上がったのも蘆花氏がこの地で暮らしていたからこそです。きっと蘆花氏が生きていた時代にこういう活動があれば喜んで参加していたのではないでしょうか。

<せたがや地域風景資産 No.1-31、蘆花恒春園花の丘 / 2-20 水辺の自然とふれあえる蘆花恒春園
2011年6月初稿 - 2015年10月改訂>