世田谷散策記 せたがや風景資産のバーナー
せたがや地域風景資産のロゴマーク

せたがや地域風景資産 No.1-32

祖師谷中橋

仙川にかかる祖師谷中橋は、控えめなデザインにすることで周りの風景にさりげないアクセントを付けている。また仙川沿いの遊歩道では、川の風景に対して住宅を閉じないような工夫がされていて、親しみのある風景をつくっている。

・場所 : 上祖師谷2丁目~6丁目に架かる橋
・登録団体など : 不明
・備考 : ーーー

*** 祖師谷中橋の写真 ***

祖師谷中橋の写真
祖師谷中橋

アーチが特徴です。

祖師谷中橋の写真
橋のある風景

橋の奥にある建物は個人のお宅です。

祖師谷中橋の写真
アーチ部分

近くで見ると結構亀裂が入っています。

祖師谷中橋の写真
中橋から仙川の眺め

ありふれた都会の川といった感じです。

仙川沿いの遊歩道の写真
案内板

散歩に良さそうです。

仙川沿いの遊歩道の写真
仙川沿いの遊歩道

いい雰囲気ですね。

* 祖師谷中橋について *

旧滝坂道と仙川が交わる部分に宮下橋がかかり、そぐ近くの丘にせたがや百景に登場する上祖師谷神明社があります。境内の街道沿いには石橋供養塔が置かれているので、きっと古くから街道で多くの人のために役立ってきた宮下橋の供養が行われてきたのでしょう。

この宮下橋の北側には駒澤大学の野球練習場と祖師谷寮があり、通りかかると選手の掛け声とノックの音が響いてきます。駒大といえば箱根駅伝が有名ですが、野球部も以前はそこそこ強かったように記憶しています。最近はどうなっているのでしょうか。よく分かりませんが、駒大野球部といえばDNAの中畑監督に、広島の野村監督の出身校として知られています。

プロ野球界ではエリート校?なのかどうか知りませんが、現役の監督が二人もいる(2014年現在)というのは凄いことのように思います。とまあ野球部専用のグランドがここにあり、野球部はここで練習しているわけです。上祖師谷神明社のお祭りのときに何人かの野球部員が狩り出されているのはこの地域ならではと言えるかもしれません。

line

この宮下橋の少し上流側、ちょうどグラウンドの裏手の道に祖師谷中橋がかかっています。この橋はちょっとしたガラスのタイルを利用したアーチが取り付けられているのが特徴です。そしてアーチ部分の背後にはおしゃれな洋館が建てられています。

最初は何かの施設というか、この橋と関係あるのかと思ったのですが、近づいてみると個人のお宅でした。橋に合わせて建てたものなのでしょうか。その辺の事情はよく分かりませんが、門のところにデザイン賞だったかかのプレートが誇らしげに飾られていました。確かに賞を受賞するぐらいよく風景に似合っているお宅だと思います。

line

この祖師谷中橋は1990年頃から始まった仙川の大規模な治水工事で多くの橋が架け替えられることになり、その際に世田谷区で計画された「仙川6橋の橋作りプロジェクト」の一つとして架けられた橋という事になるようです。あまり詳しくは分かりませんが、この「仙川6橋の橋作りプロジェクト」自体は途中で行政サイドの都合によって中断になったとか、なんとか。

実際他の橋が目を引くほどデザイン性に飛んでいるわけではなく、黒橋や灯篭が置かれている宮前橋ぐらいが特徴ある橋でしょうか。祖師谷中橋の設計者はステュディオ・ハン・デザインによるものです。予めPCコンクリートの桁が設定されていて、密集した住宅地域のたたずまいに仰々しいデザインやモニュメント性は相応しくないので、個性的なデティールを散りばめた軽やかなデザインの橋となったようです。

確かにその通りですね。控えめのデザインだからこそ橋が周囲に溶け込んでいる感じがしますし、風景のアクセントになっているものの周りの景観を壊すようなことはないし、また他の橋と少し違うことで渡る楽しさがあります。実際訪れている間にも多くの人が橋を渡っていました。もちろん旧滝坂道の狭い宮下橋を避ける意味合いもあるでしょうが・・・。

line

また川沿いはウォーキングコースにもなっています。祖師谷中橋付近は車道と被っていますが、少し歩くと歩行者専用の遊歩道になっていて、そこでは川に面する側に植栽をするなど川の風景に対して住宅を閉じないような工夫がされています。知名度があるとは言えない場所にある遊歩道ですが、地方によくあるような親しみをもてる風景がこんな場所にあるとは知りませんでしたし、驚きました。暮らしている人にとってもそうでしょうが、歩く人にとっても親しみのある風景がここにはあり、そしてアクセントを与える橋を含めてこの付近の仙川沿いを魅力ある界わいにしています。

<せたがや地域風景資産 No.1-32、祖師谷中橋 2011年5月初稿 - 2015年10月改訂>