* 東名高速の橋、公園橋 *
東名高速とグランド橋
橋のかかっている場所は切り通しとなっています。
環八の砧公園付近に東名入り口の交差点があり、頭上を高速道路が交差し、そして東名と首都高の出入り口があります。
東名の方は砧公園と大蔵運動公園の南側を沿うように西へ向かっていきますが、東名入り口の交差点ではかなり高い位置にあった高架は段々と低くなり、砧公園のファミリーパークの辺りで地面と同じ高さ、そして大蔵総合運動場に着いてみるといつの間にか地面よりも低い位置を高速道路が走っているという不思議な事になっています。
これは国分寺崖線に高速道路を通過させるにあたって急な坂にならないように土地を削って切り通しを造ったからです。そのため東名高速を横切る手段として切り通しの上に二つの橋がかけられました。
厳密に言うなら国分寺崖線を下った大蔵の殿山にも切り通しが造られ、そこにも橋が架けられているので、世田谷には3つの橋が東名高速に架けられていることになります。
大蔵通りの公園橋
バス通りにもなっている2車線の橋です。
崖線の上の一つ目の橋は、砧公園と大蔵総合運動場を隔てている大蔵通りにかかっている公園橋です。バス通りにもなっている二車線道路なので、それなりに交通量が多い橋です。
あまりこの橋を歩いて渡る人は多くありませんが、車道が一杯に広がっているので、ちょっと歩行者には歩きにくい橋となっています。
雪の日の公園橋から首都高方面
用賀のビルの下が首都高の料金所です。雪の日は下り線のみ大渋滞していました。
公園橋からは都内方面に展望が開けていて、東名の東京出口や用賀ビジネススクエアビルがよく見えます。そして東名高速が緩やかで長い坂になっているのがよく分かります。
しかしながらこっち方面を眺めると、1999年に起きた車の炎上事件を思い出してしまいます。酔っ払ったトラックが料金所手前で減速した乗用車に突っ込み、乗用車が炎上し、後部座席に乗っていた子供2人が焼死したという悲惨で衝撃的な事件でした。
普段静かな用賀の町にけたたましくサイレンが鳴り響き、空一面黒い煙が立ち昇り、町中にタイヤなどが燃える嫌な匂いが漂っていました。今でもこの日の事は忘れられません。
この事件は連日テレビで取り上げられたので覚えている人も多いかと思います。後年、福岡で同じように酔っぱらった車に追突された車が海に転落し、三人の子供がなくなるという事件が起き、この一連の悲惨な事件を受けて道路交通法の飲酒運転の罰則強化の改正が急激に進んだ事を考えれば、少しは亡くなった子供たちも報われるのでしょうか・・・・合掌。
* グラウンド橋と富士山 *
グランド橋
崖線の上に架かる橋です。橋のすぐそばには野球グランドがあります。
もう一つの橋はグランド橋といい、地元の人しか通らないような一方通行の橋です。公園橋とそんなに距離が離れていなく、なくてもよさそうな橋ですが、意外と歩いて渡る人が多い事を考えれば、やっぱり地元の人の為にはあったほうがいいかもしれません。
というより、公園橋は車道がめいいっぱい幅を使っているので、通行人が歩くスペースがなく、散歩や子供連れで公園を訪れる人が積極的にこちらの橋を利用している感じです。
座頭ころがし坂下の石像群
かなり細く急な坂道で、登り一方通行になっています。大黒様らしき像が何気に不気味です。
グラウンド橋を渡ったところにあるのは野球のグラウンド。橋が設置されたときに今と同じような野球グラウンドがあったのかどうかわかりませんが、そういったところからグラウンド橋が名付けられたのかなと想像できます。
このグラウンド橋から運動公園を沿うように下っていく坂は、座頭ころがし坂と呼ばれる狭く急な坂道です。いかだ道の裏街道的な道として使われ、多摩川が増水したときにこの道が利用されていたそうです。坂を下ったところには庚申塔などの石像群があり、今でも古くからの道といった感じがします。
現在の道は高速道路が造られたときに切通が造られるなど整備されたので比較的緩やかですが、以前は坂の名前の通り、座頭(=盲人)が通れないほど急な坂道だったようです。
早朝の富士山のある風景
世田谷の好きな景色の一つです。
グランド橋の特筆すべきところは、橋から富士山方面の素晴らしい眺めです。ここからの眺めは本当に素晴らしく、東名高速を走る車の流れと、晴れた朝などには富士山を見ることができます。
世田谷には成城や上野毛にある富士見橋とこの近くの岡本三丁目の坂の三カ所が富士山を眺められる有名なスポットとなっているのですが、個人的にはそれらよりもここの方が目の前の開放感があって好きです。
光の閃光
百景の文章をイメージしてみました。
線路の近くで電車を子供に見せ、子供をあやしている親子連れを時々見かけます。同じように高速道路を走っているとたまに頭上の橋で車の流れを眺めている親子を見かけます。
もちろん飛行機や船などもそうですが、乗り物が動いている様子は子供心をつかみます。まあそれは大人でも一緒で、旅心を感じるというか、喜んでいる子供の多くが男の子ということから男のロマンといった部類・・・、なのかもしれません。
グランド橋からのダイヤモンド富士
ちょっとずれてしまったのが残念。
朝富士山がきれいに眺められる時間帯も好きですが、それ以外の時間帯や季節によっても様々な車の流れや富士山の様子を見ることができます。
秋から冬にかけては特に夕日がきれいで、夕方訪れ、夕日が沈むまでなんとなく眺めてしまうこともあります。
夕日といえば、富士山と太陽が沈むのが重なるダイヤモンド富士といった現象も見ることができます。近くの岡本三丁目の坂道でダイヤモンド富士が見ることができるのが、国土交通省のサイトによると2月9~10日、11月1~2日なので、ここでは少しずれて2月8~9日と11月2~3日ころに見られるはずです。
詳しくないのでよくわかりませんが、年によって重なったり重ならなかったり、あるいはここではぴったりと真ん中に重ならないのかもしれません。
* 第三の橋、大六天橋 *
大六天橋からの眺め
鉄塔が富士山にかかってしまいます。
崖線を下った先にある橋は大六天橋といいます。橋のすぐそばに大六天社の祠があることから名付けられたようです。ここからの富士山の眺めも素晴らしいには素晴らしいのですが、崖線上にあるグランド橋よりも高さが低いために高圧電線の電線が富士山にかかってしまうのが残念です。
いずれこの橋の真ん前に外環道の分岐となるインターチェンジができる予定なので、そうなったら別な意味で壮大な眺めになるかもしれません。
大六天橋
崖線の下にある橋です。
ちなみにこの橋の近くには昔は撮影所があったのでウルトラマンシリーズの撮影にもよく使われていました。実際に登場場面を見てみると昭和40年代の東名高速が背景に描かれていて、古くさい車が走っている様子はなんとも時代を感じさせられ面白かったです。
それよりも安全基準が今と違うので橋に付けられているフェンスの高さの低いこと。大人の腰の高さしかありませんでした。落ちたらどうするんだろ・・・・。そっちの方が驚きました。
* 感想など *
夕暮れ時の東名高速
夕方は西日が強いので走りにくいです。
世田谷には多くの富士山を眺められるスポットがあります。世田谷は富士山から遠いので、どうしても周りの風景を含めた景色の良さがいいスポットの条件となり、私なりには崖線の中ではここの風景が一番のお気に入りです。
不思議なもので車の流れも川の流れのように様々な変化を感じます。朝の澄んだ富士山に通勤ラッシュ、夕方の逆光を浴びながら走る車、夜の光の閃光、そして季節ごとの雰囲気に休日や連休の混雑、車の流れと言えどもトラックが多いとか、乗用車が多いとか、実に様々な表情があります。
そういった車の流れを見ながら富士山を眺めるのはなかなか楽しいものです。おすすめは朝と夕方ですが、ぜひいろいろな時期、いろいろな時間帯に訪れて、お気に入りの表情を探してみてください。
それから、手を伸ばしてフェンスの上から写真を撮るのはいいのですが、くれぐれもカメラなどを落下させないようにしてください。大事故の引き金になりかねません。
せたがや百景No.67 東名高速の橋
ー 風の旅人 ー
2017年10月改訂