* 区立世田谷美術館について *

美術館周辺はとても雰囲気がいいです。
砧公園の北側、清掃工場や世田谷市場がある通りに面して駐車場があり、その西側の一角に世田谷美術館とレストランがあります。
砧公園は都立の公園ですが、世田谷美術館は世田谷区立の美術館になります。
現在美術館を管理しているのは公益財団法人せたがや文化財団で、世田谷パブリックシアター、世田谷文学館などといった区内にある文化、芸術に関する施設も一括して管理しています。
昔は美術館といえば美術の観賞といったことしか行われていなかったのが、美術館でコンサートといったような垣根を超えたことも行われるようになりました。

周囲は美術館に合わせて芸術っぽい雰囲気に造られています。
用賀駅方面から砧公園に向かう人は、プロムナードを通り、そして環八の信号があるところの入り口から中に入るのが普通だと思います。
それよりも北側、杉並の方へ環八沿いを歩くと、立派過ぎる歩道橋、パークブリッジがあり、さらにその先に石造りの入り口がひっそりとあります。
地元の人以外は使うことがない入り口ですが、ここが美術館の正面玄関といった感じで、真っすぐ進んでいくと途中には円形の柱が設置された出会いの広場があり、美術館の前の並木道に続いています。

屋根のアーチと建物の直線が美しい建物です。
世田谷美術館は砧公園が整備されてから約20年後の昭和61年(1986年)に開館した区立の美術館です。
収蔵品コレクションは・・・、一応一覧を見てみたものの何がどういった価値があるのかわからないので、とりあえず案内通りに書くと、収蔵作品はH・ルソー、F・ボテロ、Aボージャンなどの素朴派と呼ばれる画家たちや、世田谷区ゆかりの作家のものなど3200点あるそうです。
また、別館として区内に住む画家の住まいを美術館とした「向井潤吉アトリエ館 (弦巻)」「清川泰次記念ギャラリー (成城)」と老朽化したアトリエを解体、新築した「宮本三郎記念美術館 (奥沢)」もあります。

壁には四角い凹にこだわった装飾がなされています。
美術館の建物は、地下1階、地上2階の鉄筋コンクリート製です。
建物の設計は建築家の内井昭蔵氏によるもので、この建築によって毎日芸術賞、日本芸術院賞を受賞し、この後も多くの建築を手掛けています。
建物の特徴としては、遠くから見ると屋根の曲線と建物の直線の対比が特徴的で、緑の中に茶色っぽい赤色の屋根がよく生えているような気がします。
近くで見ると、壁が普通のタイル張りではなく、穴の開いた・・・なんでしょう、セラミック製の装飾でしょうか。詳しくないのでよくわかりませんが、なんだかラーメンどんぶり的というか、防音効果のありそうな感じの装飾で飾られているのが印象的です。

地下部分はとてもオシャレな空間となっています。
設計にあたって公園内にある美術館ということを意識して設計したとのことですが、どうなのでしょう。現在では背後に清掃工場が建ってしまっていて、美術館がすっきりと見えないのが残念なところです。
地下部分は地下の中庭、サンクンガーデンとなっていて、噴水があり、ゆっくりとくつろげるオープンカフェがありと、とてもおしゃれな空間となっています。
近年では土地の有効活用として地下を利用する建物が増え、こういったサンクンガーデンをよく目にします。特に地下鉄の駅やビルなどに多いでしょうか。
ここのサンクンガーデン部分はおそらくかなり綿密に、そしてこだわって造られています。美術館とあって、曲線、直線を大胆に使い、また壁や階段、床などの模様をうまく配置し、全体で美術館にふさわしい美術的センスを感じられる空間です。さりげなくセンスがいいといった感じでしょうか。

美術館の周囲はとても雰囲気の良い空間となっています。
毎年、年に数回期間を決めて行われる企画展は私のような美術にはあまり興味のない人間でも「おっ!行ってみようかな~」と思うような展示を行っている事があります。
変わったものとしてはヨルダン展とか大英博物館展、メソポタミア文明展、秦の始皇帝展、日本ものでは東寺国宝展、熊野古道や平泉をテーマにした展示も行われていました。美術館が博物館みたいになってしまうのも地域の美術館らしいところでしょうか。
海外へ行かなくとも貴重なものが見られる海外の企画展はなかなか魅力的です。普段の生活においてもいい刺激になるのではないでしょうか。興味のある文化や地域のものが行われるときにはぜひ足を運んでください。

また以前は比較的名が知られている画家の展示も行われていて、1989年にはシャガール展、1992年にはゴッホ展、1997年にはムンク展が開催されました。(他にも有名な画家がいるかもしれません・・・)
シャガールとゴッホの時は知りませんが、ムンク展の期間中は桜の時期と重なったのもあってかなり多くの人が訪れていたように記憶しています。私もあの有名な「叫び」を見たくて訪れましたが、その時が世田谷美術館に入った最初で最後の時となっています。
あの当時は有名な芸術家の絵画が流行った時期であり、景気も良かったので区立の美術館でもそういった企画が行われたのでしょうが、今では大きな企画は東京都美術館で行われ、なかなか世田谷美術館まで回ってこない感じです。

美術館と木々に囲まれた素晴らしい環境にあります。

レストランは披露宴にも使われます。
美術館に付随するようにあるレストランはフランス料理の「ル・ジャルダン」です。そこそこ有名で、グルメサイトなどの評判はいいようですが、お値段の方もそれなりにといった感じです。
美術館に付随し、しかも緑豊かな砧公園にあるということで店内、店外ともにとても雰囲気がよく、時々貸切で結婚披露宴が行われています。砧公園を散策していると披露宴前に記念写真を撮っている新郎新婦の姿を見かけることもあるかもしれません。