世田谷散策記 せたがや百景のバーナー
せたがや百景の案内板の写真

せたがや百景 No.55

成城の富士見橋と不動橋

せたがや地域風景資産 No.2-24

成城の富士見橋と不動橋

切り通しを抜けて小田急線が走る。二つの橋はこの小田急線に架かっている。よく晴れた日は、崖線を越えて丹沢の山々や遠く富士山を望むこともできる。夕日の沈むころは、懐かしい哀愁のただよう陸橋の風景が浮かび上がる。(せたがや百景公式紹介文の引用)

・場所 : 成城2~5丁目の小田急線上
・地域風景資産の関連団体 : 富士山を眺める会
・備考 : 関東の富士見百景(国土交通省選定)、ダイヤモンド富士(2月5日、11月5~6日頃)

*** 成城の富士見橋と不動橋の写真 ***

不動橋の写真
不動橋

崖線側の橋です。

不動橋からの眺めの写真
不動橋からの眺め

引き込み線やビルが建ち、ちょっと煩雑な感じです。

富士見橋の写真
富士見橋

都心側の橋です

富士見橋の写真
富士見橋から不動橋方面

中程に立派な案内板が建てられています

富士見橋の写真
富士見橋から富士山の眺め

せっかくなので枠に富士山を入れて

富士見橋からの眺望の写真
不動橋を渡る子供達と富士山

ちょっと味気なくなってしまいましたが、
こういう光景がここの魅力なのでしょうね。

富士見橋の写真
富士見橋の花壇

花壇がある橋も珍しいですね。

富士見橋の写真
関東富士見百景の案内板

 

菜園の写真
橋の間を利用した菜園

なんと今では線路の上が菜園となっています。

菜園の写真
同じく富士見橋から駅方面

なんか不思議な光景です。

* ダイヤモンド富士の日 *

ダイヤモンド富士の写真
ダイヤモンド富士の日の不動橋

多くの人が三脚を並べていました。

ダイヤモンド富士の写真
ちょっと微妙な感じのダイヤモンド富士

雲が・・・とその場にいた人みんなが思ったことでしょう。

夕刻の写真
夕暮れの富士山
夕刻の写真
暗闇迫る喜多見駅

* 成城の富士見橋と不動橋について *

小田急線の成城学園前駅と喜多見駅の間には急な崖、国分寺崖線があります。東名高速でも同じ事ですが、崖線を越える際に急な坂にならないように崖を削った切り通しが造られています。その切り通しの上に架かる橋が富士見橋と不動橋・・・、でした。残念ながら現在では川が埋められて暗渠となるのと同じで、切り通し部分に蓋がされ、橋自体が形式的なものとなっています。

line

かつては百景の切り絵のように崖線側に不動橋、駅の方に富士見橋と二本の橋が架かっていました。ちょうど現在の「東名高速の橋」と同じ感じでしょうか。橋は小田急線が開通した昭和2年頃に架けられ、最初は木製のシンプルなもので、徒歩や自転車専用のもの。そして昭和37年にはコンクリート製に架け替えられました。

その時の橋のデザインはなんと公募によって決められたようです。こういった住民の町づくりの意識が高いのはやはり成城だと感じてしまいます。そしてその橋から見る富士山や足下の切り通しを走り抜ける小田急線の眺めは格別だったようです。とりわけ切り絵のように富士見橋から不動橋を視界に入れて富士山を眺めるのがよかったようです。シンプルでデザインの素晴らしい橋は美しいものなので、構図的にもうまく収まりそうな感じです。

line

成城は撮影所があることから撮影の町として歩んできました。特に路上などの撮影にあまり規制がなかった昭和時代には頻繁に成城で撮影が行われています。とりわけ昭和の名作というか、世田谷の誇るウルトラマンシリーズでは多くのシーンが世田谷で撮影されました。そして撮影所に近い成城も頻繁に使われています。お金持ちの屋敷とか・・・。

その中でもこの不動橋や富士見橋もよく登場しています。特にウルトラマンレオの最後のほうの話では不動橋の袂にある家が主人公の下宿先になるので頻繁に登場するのですが、それを見るとどちらの橋も車両通行止めで、かなり高い位置まで落下防止のための金網が張られています。

なんていうか、富士見橋から不動橋を見ると金網のトンネルを人が通っているといった感じでちょっと想像していたイメージとは違いました。百景の案内板のような風景はかなり古い時代のもののようです。

line

現在では切り通し部分にふたがされ、菜園が造らてしまったので、富士見橋から不動橋を見てもまるで趣きのない絵となってしまいましたし、崖線側にある不動橋からもフェンスが邪魔でいまいちといった感じです。野川とロマンスカーの項目と同じで小田急線の複々線化や高架橋化によって生じてしまった弊害となるのでしょうか。

更には富士山のちょうど下にマンションが建ってしまっていて、これまたせっかくの風景が台無しです。それにここからは小田急線の走る様子も全くといっていいほど見えないので、特に楽しみのない風景となってしまいました。その割にはでかでかと百景の案内とかが設置されていますが・・・。これを見ると宿場町にかつての賑わいといった感じで掲げられている安藤広重の版画を思い浮かべてしまうのは私だけでしょうか・・・。何にしても色んな観点で過去の光景となってしまった感じです。

ただ冬の早朝、富士山を眺めながら不動橋を渡って子供達が通学していく光景は、今でも心に響く素晴らしい光景だと思います。この光景は他の富士山を眺められるポイントが真似できない部分で、かつてこの風景が本当に素晴らしかったんだなという事を感じる事ができました。

line

ちなみに2月5日と11月5日頃、この富士見橋と不動橋が一年で一番賑わいます。それはここからダイヤモンド富士が眺められるからです。ダイヤモンド富士というのは富士山の山頂にちょうど太陽が沈む現象のことをいい、山頂に重なった時にダイヤモンドのように富士山の山頂が輝きます。写真愛好家を中心に人気のある光景で、その日は多くの人がここを訪れます。

そういった事を知らないで通りがかると、何んなのこの人達・・・?何が起こるの?何があったんですか?といった感じでいつもと違った橋の雰囲気におののいてしまいます。聞くところによると昼ぐらいから三脚を立てて場所取りしている人もいるとか。寒い中ご苦労な事です。ただ見るだけなら後ろからでも十分見えるし、富士見橋の方はガラガラです。私的には富士見橋からの眺めの方が好きなのですが、やはり専門的な人達には前が開けている不動橋の方が人気があるようです。といってもやはりフェンスが邪魔だとぼやいていましたが・・・。

line

それにしても・・・・、線路の上が屋上菜園となったり、喜多見車両基地の上が公園となったり、さすが地価の高い高級住宅地といったところでしょうか。そのことの方にビックリしてしまいます。ちょっと気になって調べてみると、蓋をした成城学園前駅西側の線路上空人工地盤エリアは駅に近い部分に駐輪場と駐車場を設置し、残りの部分が「アグリス成城」という会員制貸し菜園となっています。

菜園となったのはこの場所が荷重条件が550kg/m2であることから建物を建てることができなく、商業利用は制限されているエリアであること。そして公園のように不特定多数の人々が出入りできる施設にすると近隣環境のセキュリティ面や周辺環境の悪化が懸念されるから好ましくないといったこと。都市のヒートアイランド化など環境対策ができる事といった事から採用されたようです。

line

そして注目すべきはこの線路上空人工地盤は屋上施設に相当するので、農地法適用外になり、貸し農園ではなく屋上緑化施設の貸し菜園事業といった分類になる事です。そのため料金も高めで、ちゃんとしたクラブハウスの建物があり、フロントやラウンジ、シャワー室完備といった設備も充実しています。

そして料金の方は一番小さい約3㎡の菜園でも月額7400円とか。区民農園が3年40㎡で10万ちょっとだと考えると、施設利用料も含まれていますが、いわゆる高級菜園ってやつのようです。しかも水やりなどの代行サービスもあったりして、なんというか、成城ってな感じでしょうか。

<せたがや百景 No.55 成城の富士見橋と不動橋 2009年9月初稿 - 2015年10月改訂>
( せたがや地域風景資産 No.2-24、成城の富士見橋と不動橋 )