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せたがや地域風景資産 No.2-23

喜多見ふれあい広場から見た「野川と国分寺崖線の纏まとまった緑」

小田急線の車両基地でもある「喜多見ふれあい広場」に立つと、足下を流れる野川のすぐ向こうに国分寺崖線のパノラマが広がります。野鳥が羽根を休め、広場や川辺で人が集う、地域の憩いの場です。(紹介文の引用)

・場所 : 喜多見9丁目25(きたみふれあい広場)
・登録団体など : 崖線みどりの絆・せたがや
・備考 : ーーー

* 喜多見ふれあい広場から見た「野川と国分寺崖線の纏まとまった緑」の写真 *

喜多見ふれあい広場の案内板の写真
きたみふれあい広場の案内板

園内は禁煙です。

喜多見ふれあい広場の写真
きたみふれあい広場の入り口付近

階段を登らないといけません。

喜多見ふれあい広場の写真
桜のある広場

あまり屋上といった感じはしません。

喜多見ふれあい広場と富士山の写真
花見の様子

地面から地響きがする以外は快適です。

喜多見ふれあい広場と富士山の写真
きたみふれあい広場からの富士山

冬の晴れた日には富士山を眺めることができます。

喜多見ふれあい広場と富士山の写真
崖線から見た富士山ときたみふれあい広場

4丁目の崖線の上から見た図です。

喜多見ふれあい広場から見た野川の写真
野川の桜並木と崖線1

小田急線やみつ池方面

喜多見ふれあい広場から見た野川の写真
野川の桜並木と崖線2

調布方面

野川の写真
野川と野川緑道

河川敷に降りられるようになっています。

野川の写真
野川と車両基地と桜並木

線路寄りにある方は整備工場となっています。

喜多見ふれあい広場から見た「野川と国分寺崖線の纏まとまった緑」について

この項目は恐ろしく長いタイトルですね。風景資産が百景と一番違うところは、それぞれの風景に携わっている人がタイトルの草案を出しているので、タイトルの長さや構成の統一性がないところでしょうか。素人だとあれも入れたい、これも入れたいと長くなりがちなものです。それに比べるとプロのコピーライターなどはズバッと要点をまとめたカッコいいタイトルや商品のキャッチコピーを鮮やかに作ってしまいます。

でも逆を言えば、自分たちが携わっているからこそ思い入れも強く、大切にしたい部分も多く、傍から見るとだらだらと長くなって見えるのはしょうがない事かもしれません。そして少し事情を知ると、このような長いタイトルには営利的な関係では切れない、人と人の絆のような推薦者の思いが詰まっている場合もあるように感じることもあります。

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さてこの「喜多見ふれあい広場から見た「野川と国分寺崖線の纏まとまった緑」」ですが・・・、やっぱり長いので個別に見ていくことにします・・・。まず喜多見ふれあい広場(正式にはきたみふれあい広場)ですが、この公園は世田谷区立の公園で、小田急線の北側、野川の左岸に位置しています。そして驚くべきはなんと小田急電鉄の喜多見電車基地の上部というか、屋上部に立地しているのです。

初めて知ったときはビックリしてしまいました。土地の少ない都会ならではの公園かもしれません。こういうのは土地の有効活用のモデルケースみたいな感じになっているのでしょうか。でも眺めのいい崖線の上から見ると、公園部にカモフラージュされている地下工場みたいな感じです。これなら空襲を受ける心配が・・・、大戦時の教訓を・・・ってな事はないのですが、戦時中の遺構などを見た事があるとあらぬ想像をかき立てられるのは確かです。

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話を戻すと、実際に公園として使用されているのは小田急電鉄喜多見電車基地の車庫部分(電車を置いておく場所)で、園内は約27,000平方mの広さがあります。この広場から小田急線までの間には工場のような建物があるのですが、こちらは整備工場となっています。車庫部分なら薄暗くたって、換気が少々悪くたって問題ないといったところなのでしょうか。実際のところ内部がどうなっているのか興味がありますが、残念ながら見学はできないので想像するしかありません。でも車両基地の上に公園ができてしまうとは・・・、やっぱりすごい世の中だなと思ってしまうのは田舎で育った私だけでしょうか。

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古い地図を見るとこの部分にはかつて砧西公園があったようです。そしてこの付近はかつてとてものんびりとした風景の見られるような場所だったようで、せたがや百景には「野川と小田急ロマンスカー」という項目が選定されています。車両基地が造られる前は世田谷通りなどから小田急線を見たときに、野川を渡る赤いロマンスカーと周辺の緑の風景がマッチして印象的な光景だったようです。

しかしながら小田急線の複線化と車両基地の建設でそのような光景を見ることができなくなってしまいました。きたみふれあい広場はどのような経緯でこういう形の広場や車両基地の建設にいたったのか知りませんが、相反するインフラと緑地化をうまく共存させてしまったのは凄い事かと思います。

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公園自体は車両基地の上にあるという以外はごく平凡な公園となるでしょうか。桜が植えられていて、芝生も敷かれているので花見にはよさそうな感じです。屋上に造られた公園ということで平坦で起伏が少なかったり、時々ゴォーと地面から列車が動いている音がしてくるのは、まあ立地上しょうがないところですね。気にすれば気になる程度といった感じでしょうか。その代わりというか、地上から10メートルの屋上に作られているので、東に野川や成城4丁目付近の国分寺崖線のみどりが望め、西には晴れた冬の日などに富士山や丹沢の山々を見ることが出来ます。

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次に野川ですが、この付近の野川沿いは桜並木の遊歩道が整備されていて、春には歩くのがとても気持ちいい川沿いになります。桜も車両基地やふれあい広場のある側には白っぽい大島桜が中心に植えられていて、対岸の成城側にはピンクのソメイヨシノが植えられていて、対岸を歩いて帰ろうといった気分になったりします。川自体もすぐ川辺に下りることができ、桜の時期には川辺にシートを敷いて花見をしている人も多くいました。

野川自体は国分寺崖線沿いの湧水が集まって流れているような川なので、水が自然のものに近く、生命豊かな川として知られています。川を覗くとフナなどといった魚が泳いでいるのを見ることができます。そして小魚や昆虫などを餌にしている鳥たちも目にするはずです。

ただ現在下流の方から治水工事が進められていて、全体的に河床を掘り下げるような工事が行われています。この付近がどのような工事が行われるのか、それとも工事されないのかわかりませんが、今後も今のようなのんびりとした風景が保たれてくれることを願っています。

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最後に国分寺の崖線ですが、このきたみふれあい広場、といっても広場に入る階段のテラス部分から野川や崖線が良く見えます。特に春は手前の大島桜、対岸のソメイヨシノ、崖線の緑ととても美しい風景を見ることができます。

ここから見える崖線は小田急線よりも北側の成城4丁目の崖線となります。成城4丁目の崖線には線路から喜多見不動尊、成城みつ池(自然保護区)や成城4丁目十一山市民緑地、成城4丁目緑地、ビール坂緑地とまとまって緑のある公園などが多いのが特徴です。そのため崖線全体で見るなら比較的緑がつながっていて、大袈裟に言うなら崖線本来のまとまった緑を眺めることができるといえます。

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成城付近の崖線は緑豊かな場所、崖線を利用した町並み、そして坂のある風景と自然だけではなく、様々な角度から魅力ある風景となっています。それはせたがや百景にも地域風景資産にも崖線関連の項目が多く登録されている事からも分かります。

地域風景資産で言うなら4つの項目が選定されていて、その中の「成城3丁目の国分寺崖線の樹林」「成城3丁目桜と紅葉の並木」そしてこの項目は、「崖線みどりの絆・せたがや」という団体の推薦によるものです。この団体は、近年崖線が代替わりなどをきっかけに開発され、樹木が伐採され、年々緑が少なくなっていくことに心を痛めていた人達が集まり、会の発足につなげたのです。

そして当時の熊本世田谷区長宛に「国分寺崖線の纏まったみどりを守る緊急提言」を行っています。そういった経緯があるからタイトルに「国分寺崖線の纏まったみどり」という文字が入っているのでしょう。そういった事情を知った後で長いタイトルを見ると、ただ長いだけではなく、緑の多い崖線を守りたいといった気持ちが強く表れているからこそなんだなと感じました。

<せたがや地域風景資産 No.2-23、喜多見ふれあい広場から見た「野川と国分寺崖線の纏まとまった緑」
2011年7月初稿 - 2015年10月改訂>