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せたがや地域風景資産 No.1-25

喜多見大橋から見た野川上流の眺め

生態系のバランスの取れている川は美しいものです。次太夫堀公園の桜とメダカが多く暮らす野川の合わさった風景はどこか懐かしく、とても絵になっています。

・場所 : 喜多見6、7丁目 (玉堤通りと野川が交差する地点)
・登録団体など : 喜多見ポンポコ会議
・備考 : ーーー

*** 喜多見大橋から見た野川上流の眺めの写真 ***

喜多見大橋の写真
喜多見大橋の欄干

玉堤通りに架かる橋です。

喜多見大橋の写真
茶屋道橋から見た喜多見大橋

通行していると分かりませんが青い橋です。

喜多見大橋から見た野川上流の眺めの写真
喜多見大橋から上流の眺め

次太夫堀公園の桜がきれいです。

喜多見大橋の下流の写真
喜多見大橋の(下流)南側

この付近は特に緑豊かです。

喜多見大橋の下流の写真
南側の茶屋道橋など

この付近はどれも青い橋です。

野川の様子の写真
川辺の鳥たち

色んな生き物が暮らしています。

野川の改修工事の写真
野川の改修工事1

ここまでやると違う風景になりそうです。

野川の改修工事の写真
野川の改修工事2

次太夫堀公園付近です。

* 喜多見大橋から見た野川上流の眺めについて *

地域風景資産には喜多見から多くの項目が選ばれています。そのいずれも「喜多見ポンポコ会議」という団体の推薦によるものです。この「喜多見ポンポコ会議」は東名高速と中央高速、そして関越などといった高速を郊外で環状に結ぶ外環道の建設が決まり、その予定路に含まれる自分たちの町では環境面などでどういった影響を受けるのか、どれほど外環道が必要とされていて、実際に完成したらどのような効果があるのかをきっちり検証してその是非を問いたいといった事がきっかけで2000年4月に発足した団体です。

その過程で自分たちの暮らす町の魅力はなんだろう、守っていきたいもの、残しておきたいものはなんだろうと考え、地域の文化や魅力を地域紙であるポンポコ新聞を発行して紹介したり、野川を守っていく活動を行い、そういった積極的な活動を評価され、風景資産にも多くの項目が登録されています。

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その外環道は東名高速が野川をまたぐ付近にジャンクションができ、野川の右岸に沿う形で成城方面に地下トンネルが掘られる計画となっています。土地の買収が困難な時代となってしまったので新しい道路が地上に造りにくいのは分かりますが、地下で高速道路がどんどんと結ばれる時代がくるとは・・・思ってもみませんでした。

地下に高速道路が造られて影響がでると思われるのは崖線の湧き水を含めた付近の地下水への影響と、野川の環境でしょうか。特に野川は様々な影響が・・・と思っていたのですが、現在治水対策のため河川整備が行われていて、高速道路ができる以前にコンクリートでガチガチに囲まれた河川になりつつあるようです。

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ちょこっと調べてみると、昭和31年より1時間30ミリ降雨対応を行う工事が行われ、昭和57年には幾つかの台風で被害が出たことから全流域にわたって1時間50ミリ降雨対応の整備計画を策定し、現在その計画に沿って河川整備が行われている最中です。

先日訪れてみたら河床が掘り下げられ、ここまでやるかというぐらい徹底的に河川の改修工事が行われていました。ここまで河川が人工的になってしまったら今更高速道路を地下に造っても野川にはあまり変化がなさそうな感じですね・・・。

ただ、今後野川から地下へ浸み込む地下水がどのくらい減るかで、付近の地下水などに影響が出るのではないかといった懸念があります。もっとも都心部では地下水や湧き水の減少は避けては通れない問題です。便利さ、安全性、衛生問題との引き換えにした都市化の宿命といったところでしょうか。

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野川は国分寺崖線の湧水を集めながら崖線に平行して流れている多摩川水系の一級河川です。源泉の一つが国分寺にある環境省選定の名水百選である真姿の池湧水群であることも知られています。また世田谷の少し上流にあたる調布市では灯ろう流しが行われていたり、桜並木のライトアップが行われているなど、流域の地域に根付いている川ともいえます。

世田谷区内でいうなら、喜多見ふれあい広場の横を通り、次太夫堀公園の横を通り、鎌田で仙川が合流してきて、二子玉川で多摩川に合流しています。どちらかというと仙川の方が地名にもなっている分、知名度があり、大きな川といったイメージを持っている人もいるようですが、仙川は野川の支流となります。

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さて地域風景資産ですが、多摩堤通りが世田谷通りの手前付近で野川を越えますが、そこに架けられている橋が喜多見大橋で、その橋から上流を眺めた風景が登録されています。この付近の野川、現在工事を行っているので微妙ですが、工事を行う前でいうなら新井橋ぐらいから喜多見ふれあい広場ぐらいまでの間に関しては、川の様子にあまり違いはないと思われます。

その中であえて喜多見大橋から上流の眺めと限定しているのは・・・、なぜでしょう。おそらく大きな通りに架けられている橋ということで古く、知名度がある点、ちょうど次太夫堀公園の桜と緑がある点、「野川ガサガサ」を行っている場所だからといった点から具体的な場所が示されたのではないでしょうか。

どうでもいいことかもしれませんが、私個人的には茶屋道橋からの眺めが好きだったりします。なんかほのぼのした雰囲気がするというか、まあ感覚的なものです。こういったのは人それぞれなので喜多見大橋から上流の眺めというのは一つの例であって、風景や散策が好きな人には特にこだわることもないかと思います。

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「野川ガサガサ」がでてきたので紹介すると、「喜多見ポンポコ会議」の活動の中に「野川ガサガサ」というのがあります。「ガサガサ」というのは、川好き、生物好きな人が使う俗語みたいなものなので、あまり一般的な言葉ではありませんが、簡単に書くなら川などのガサガサした茂みなどをガサガサとしながら網を入れて探すことを「ガサガサ」、或いは「ガサガサをする」といいます。

「喜多見ポンポコ会議」では年に四回、春夏秋冬に1時間ほど「ガサガサ」を行い、簡単な生態調査を行って川に戻しています。このガサガサでは多くのメダカが捕獲されるそうです。実際見ていないのでどのような種類のメダカなのかは分かりませんが、現在日本では野性のメダカは絶滅危惧種となっています。

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それは日本にメダカが住める環境、きれいな水が緩やかに流れるような環境が少なくなってしまったことでもあります。でも野川は崖線からの湧水を集めながら流れているので水が比較的きれいであり、また稚魚が隠れられるだけの茂みが多いことから、メダカが暮らしやすい環境があるといえます。

ちなみに我が家でもメダカを飼っていますが、メダカは魚の中でも極端に水の表面付近を好む魚です。飼育、繁殖自体は容易なのですが、稚魚が生まれても同じ水面を泳ぐ親に食べられてしまいます。水槽内では稚魚を隔離してやればどんどん増えるし、ほっておけば親の餌になるだけで増えません。

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また、野鳥の会などといった鳥を観察する団体なども活動していて、バズーカーのようなカメラを携えながら歩くおじさん、おばさんの集団も見かけることもあります。そういった野川や野川に暮らす生物を愛する団体が協力して野川に生えている外来植物を駆除したりもしているようです。

このように野川にファンが多いのはきちんとした生態系を持っていることにより自然味があり、また適度な川幅や水量の川だからではないでしょうか。そのへんは人工的なせせらぎと明らかに違う部分です。同じように地元にファンが多い烏山の弁天池も同じような感じでしょうか。

ただ今後は喜多見大橋まで洪水対策として河床を1.5m掘り下げる工事が行なわれます。喜多見大橋から上流については調整しながら進めていくとかなんとか。具体的に今後がどうなるかよく分からないのでなんともいえませんが、工事が終わった後もメダカが暮らせるような川、いわゆる生態系のバランスが取れた美しい川であってほしいと思います。

<せたがや地域風景資産 No.1-25、喜多見大橋から見た野川上流の眺め 2011年6月初稿 - 2015年10月改訂>