世田谷散策記 せたがや百景のバーナー
せたがや百景のマーク

せたがや百景 No.4

世田谷線(玉電)が走る

せたがや地域風景資産 No.2-17

ほっとやすらぐ世田谷線界隈の情景

東急世田谷線は三軒茶屋と下高井戸を結んでいる。住宅街を縫って走る沿線にはのんびりとした風情がただよい、百景に選ばれた所も多い。玉電(たまでん)と呼ばれて、多くの区民から愛されている。(せたがや百景公式紹介文の引用)

・場所 : 三軒茶屋から下高井戸の世田谷線沿線と駅舎
・地域風景資産の関連団体 : 世田谷線とせたがやを良くする会
・備考 : 宮の坂駅では古い車体を利用した待合室があります。また田園都市線の宮前平にある「電車とバスの博物館」にも古い車両が展示されています。山下駅に世田谷線グッズなどが買える「たまでんカフェ山下」があります。

*** 世田谷線と界隈の写真 ***

三軒茶屋駅を写した写真
三軒茶屋駅

キャロットタワーの足下にある始発駅です。

教学院付近の踏切を写した写真
教学院付近の踏切

二つ目の踏切です。

キャロットタワーと世田谷線を写した写真
キャロットタワーに向かって
沿線の花と電車を写した写真
沿線の花と
電車が住宅地の脇を走る様子を写した写真
住宅街を走る

この付近は住宅のすぐ脇を通ります。

住民が踏み切り町をしている様子を写した写真
沿線の小さな踏切

電車もゆっくり走っているので、のどかな雰囲気です。

環七の若林踏み切りを写した写真
若林踏み切り

ここでは信号に電車も合わせます。

若林踏切を遠くから写した写真
若林踏み切り(遠景)

東京の大動脈を横切ります。

商店街と電車を写した写真
商店街を走る

さりげない光景が魅力なのかも。

七夕飾りと電車を写した写真
七夕の季節

若林駅前の七夕飾りと

アジサイと電車を写した写真
あじさいと

沿線にあじさいが多いです。

紅葉した木々と電車を写した写真
紅葉の季節

赤松公園の木々と

フリーマーケットの横を電車が走る様子を写した写真
フリーマーケットの脇を

地域密着といった感じです。

お祭りの神輿の横を電車が走る様子を写した写真
秋祭りの神輿と

世田谷八幡宮の秋祭りです。

かつての車両が待合室に使われている写真
古いタイプの車体を使った待合室

電車で電車を待つというのは変な感じです。

古いタイプの車体の前面部を写した写真
古いタイプの車体の前面部

昭和的というか、レトロな感じです。

山下駅にあるたまでんカフェを写した写真
山下駅にあるたまでんカフェ

玉電のグッズなども売られています。

区民祭で売られていた玉電Tシャツを写した写真
区民祭で売られていた玉電Tシャツ

微妙な感じがするのですが、どうなのでしょう。

* 玉電や世田谷線について *

世田谷には路面電車のような世田谷線が走っています。現在走っている区間は三軒茶屋から下高井戸までの区間で、都心と郊外を結ぶ路線ではなく、田園都市線(東急)と小田急線、京王線を縦に結ぶ貴重な路線だったりします。題名の玉電という愛称で呼ばれているのは、昔の玉川電鉄の名残りで、路面電車の愛くるしい様子から玉川電車と呼ばれていました。

line

玉電について簡単に書くと、1907年(明治40年)に玉川電気鉄道により渋谷から二子玉川までの路面鉄道が開業しました。私鉄の中ではずば抜けて古い歴史を持っています。それは人を運ぶ目的よりも都内の建築資材として多摩川の砂利を運ぶ目的があったからです。関東大震災後には二子玉川の上流の砂利を運搬するための砧線が作られ、復興に大活躍したそうです。

その後路線を拡張していき、支線として1925年(大正14年)に三軒茶屋~下高井戸区間が開通しました。これが現在の世田谷線です。1938年(昭和13年)には玉川電気鉄道は東京横浜電鉄に合弁され、その後現在の東京急行電鉄(現東急)に社名が変わりました。昭和44年5月には国道246号の拡張と首都高の工事のために路面電車で運行されていた渋谷ー二子玉川間の玉川線が一旦廃止されます。

line

その8年後の昭和52年にようやくほぼ全線地下路線となり復活。新しい玉川線、あるいは愛称として親しまれていた玉川電車が新しくなったといった意味もあるかもしれませんが、新線は新玉川線と名づけられました。渋谷から二子玉川までが新玉川線、二子玉川から終点の中央林間までが田園都市線と同じ路線なのに二つの線に分かれているといった状態が続いていたのですが、2000年8月に路線名が田園都市線と統一され、新玉川線の名称は消えてしまいます。

これが簡単な玉電にまつわる歴史となるのですが、さすがに随分と過去の話なので、最近では「玉電」と呼ぶ人もほとんどいなくなりました。というか、年配の方でも「昔の玉電は・・・」というような回想的な言い方をする人はいても、今の世田谷線や田園都市線に対してそんな呼び方をする人はいないかと思います。それに最近では猫の駅長「たま」がいる和歌山電鉄が「たま電」として有名となっていて、玉電といえば猫の駅長の・・・といった感じでしょうか。

line

世田谷線は路面電車の車両が走っているので、路面電車とかチンチン電車だと思っている人がいますが、実際の所は鉄道専用の線路を走っているので普通の鉄道です。でも、厳密にいうなら環七の若林踏切で電車が道路の信号と同調して停車、発進することから、この交差部分だけは定義として路面電車になるようです。

昔は踏切として遮断機がおりていたので、現在でも若林交差点ではなく、若林踏切と名前が残っています。ちなみに昔はえらい渋滞していました。おまけに一時停止するべきなのか、しなくていいのかよく分からない状態でした。大概の車はそのまま通過していったのですが、中には踏切らしきものがあるということで急に止まる人もいて、後続車が慌てて急ブレーキという場面も・・・。今のようになって本当にスムーズになりました。

line

今では近代的な形をした車両が走行していますが、昔は緑色の独特な車体も走っていました。なんか愛くるしいというか・・・、その姿から青虫といった呼ばれ方をしていたようです。今で言うならレトロっぽいとか、雰囲気があっていいというのですが、他の私鉄がどんどんと新しい車両を投入していた時代には、乾電池で走っているとか、おもちゃの電車などと学校で揶揄されていました。その車体は現在宮の坂駅の待合室として使われています。こんなところで活躍していることに感激。なかなか粋な計らいです。

車両説明の案内板が置いてあり、それを読むと、どうやら最後は江ノ島電鉄に譲渡され、江ノ電で走っていたようですね。昔から似ているなと思っていたのですが、納得。でもやはり・・・、今時の感覚から言えば、東急といえばステンレス製の銀色の車体といったイメージが強いので、東急には緑色は似合っていないような・・・と思ってしまいます。

line

もの凄く有名というわけではないのですが、あじさいの季節に世田谷であじさいが有名な場所はどこだろうと、「世田谷」、「あじさい」などといった言葉を入力して検索すると、世田谷線のあじさいが多く出てきてしまいました。意外な組み合わせにちょっとビックリ。

世田谷の花マップで確認すると上町から松原の間の線路沿いにあじさいが植えられているようですね。それと共にチューリップの表記もあるので、春先にはチューリップに彩られているのでしょうか。現在の世田谷線は車体が彩り豊かにペイントされているので、なかなか花が似合っているのではないでしょうか。

line

JRの特急や小田急線のロマンスカーといった花形列車のような華はありませんが、愛嬌や親近感といった部類では負けていないはずです。アジサイが満開の線路沿いでベビーカーに子供を乗せたお母さんが世田谷線を子供に見せているといった光景がとても印象的でした。

ちなみにこの付近ではもう一つカラフルな花が見れます。それは玉川花火大会の花火です。ちょうど花火大会の日に通りがかると線路沿いに多くの人がいてビックリ。お目当ては世田谷八幡方向に打ち上がる花火でした。世田谷線と花火という組み合わせも面白いかと思います。

line

現在でも世田谷線沿線はどことなくのんびりした印象を受けます。ギスギスしていないというか、肩を張らないというか、なんとなく自然体といった感じです。そういうのを下町というのかどうか分かりませんが、今の世田谷の中ではそういう雰囲気を持った貴重な地域だと思います。

のんびりと小さな踏切で電車を待つ人。家という垣根の中を走る電車。大きな交差点では歩行者と一緒に信号待ちをする電車。特に都会では踏切がなくなっているのでそう感じるのかもしれません。そういった風景を大事にしようといった試みも行われていて、「ほっとやすらぐ世田谷線界隈の情景」としてせたがや地域風景資産に選定されています。

line

具体的には山下駅に世田谷線グッズなどが買える「たまでんカフェ山下」がオープンしたり、世田谷線沿線で行われるイベントを盛り上げたり、清掃活動を行ったりしています。身近なところでは区民祭で「玉電グッズ」が販売されていたりします。Tシャツやらようかんなどといったものが売られていて、新たな話題や地域活性化につながればいいかと思います。

こういった試みはやはり世田谷線が心から好きだからできるのでしょうね。しかしながら玉電がプリントされているTシャツって、売れているのでしょうか・・・。玉電の形をした包装箱に入った羊羹をもらってうれしいでしょうか・・・。余計なお世話かもしれませんが、ちょっと心配です。

<せたがや百景 No.4 世田谷線(玉電)が走る 2008年6月初稿 - 2015年10月改訂>
( せたがや地域風景資産 No.2-17、ほっとやすらぐ世田谷線界隈の情景 )