世田谷散策記 せたがや百景のバーナー
せたがや百景の案内板の写真

せたがや百景 No.5

太子堂下の谷界わい

太子堂2丁目、4丁目 茶沢通りの中ほどから入ったところに下の谷商店街がある。下町情緒の懐かしい雰囲気の店が並んでいる。第一、第三日曜日の朝9時から10時まで朝市が立ち、賑わう。まちと人々がつくり出す原風景とでもいったものが見られる一帯だ。(せたがや百景公式紹介文の引用)

・場所 : 太子堂2丁目、4丁目辺り
・備考 : 朝市は現在行われていません。

*** 太子堂下の谷界わいの写真 ***

下の谷商店街入り口を写した写真
下の谷商店街入り口

細い路地といった感じです。

下の谷商店街を写した写真
下の谷商店街の通り

あまり活気がありません。

下の谷商店街の看板を写した写真
烏山緑道付近の看板

よく見ると下の谷商店街ではなく商店会なんですね

下の谷商店街の外れの様子を写した写真
下の谷商店街の外れ

奥のほうはこんな感じです。

下ノ谷橋の碑を写した写真
下ノ谷橋の碑

昔は烏山川に下ノ谷橋がかかっていたようです。

* 太子堂八幡神社の祭礼 *

太子堂八幡の祭礼期間中の商店街を写した写真
太子堂八幡の祭礼期間中の商店街

ちょっと違った雰囲気になります。

出発準備中の太鼓車の様子を写した写真
出発準備中の太鼓

子供たちがたくさん集まっていました。

活気のある下ノ谷神輿の宮入を写した写真
元気のいい下ノ谷神輿

神社に集まる町会の中では一番元気がよかったです。

下ノ谷神輿の拍子木を写した写真
神輿の拍子木

なんとなく撮ってみました。

* 中央街や歩行者天国など *

茶沢通りの歩行者天国の様子を写した写真
茶沢通りの歩行者天国

日曜日には歩行者天国になります。

太子堂中央街入り口を写した写真
太子堂中央街入り口

下の谷へ続く商店街です。

日曜日の中央街の魚屋さんを写した写真
日曜日の中央街1

魚屋さんは威勢よく営業していました。

日曜日の中央街を写した写真
日曜日の中央街2

路地自体は歩く人はまばらな感じです。

* 太子堂下の谷界わいについて *

三軒茶屋にこんな場所があるとは知りませんでした。私にとって三軒茶屋といえば、大通り(玉川通り、世田谷通り)から一歩入ればそれなりに下町情緒あふれるようなごちゃごちゃした商店街があり、多くの大学があることから安い飲食店が軒を並べているといった印象が強い町です。

学生時代にはよく三軒茶屋に飲みに来ていましたし、今でも学生時代の仲間と飲むときにはたまに三軒茶屋を利用していたりします。世田谷線を利用すれば小田急線や京王線との接続がいいのも魅力です。って、飲んでばかりの町ですね。

でも冷静に考えると、田園都市線(旧新玉川線)沿線で店が多くて、しかも安くて、更に様々なスタイルの料理から選べるのはなんといっても三軒茶屋です。チェーン店の居酒屋から昔気質の居酒屋、赤提灯、地方の郷土料理に今風のこじゃれたバー、多国籍料理と何でもOK。レパートリーが多彩なので、少人数の場合などはその日の気分次第で店や料理を選べるのが三軒茶屋で飲む魅力でしょうか。

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さて、下の谷商店街ですが、その歴史はちょっと変わっていて、今でも下町の情緒が強く残る谷中商店街の幾つかの店舗が大戦中に疎開してきた事に始まるようです。だから下町という表現が強調して使われていたり、本場の下町に似た雰囲気を感じたりするようです。

ということなので、谷中や千駄木の商店街ばりの下町風情あふれる商店街を!とまではいかないにしても雰囲気のある商店街を期待しつつ訪れたのですが、下の谷商店街の寂れ方は私の期待を大きく裏切りました。これは寂れた温泉街どころではないかも。頭上の看板の「下の谷商店街」の文字は消えかかり、いやよく見ると「下の谷商店会」なんだ・・・。ってそんなことよりも、開いている店は数軒ほどだし・・・、完全に消滅しかかっている商店街でした。

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茶沢通りからこの下の谷商店街まで続いている太子堂中央街は日曜日、あるいは平日の夕方には歩行者天国となりそれなりに多くの人が歩いていました。太子堂下の谷界わいということなので、この中央街も含まれるのでしょうか。こちらは八百屋さんや魚屋から威勢のいい掛け声が聞こえてきて、それらしい雰囲気を幾分感じるものの、通り全体としてみると散発的な感じでした。通り自体にそれほど多くの小売店がないので、通り全体でといった雰囲気にならないのはしょうがないといったところでしょうか。

ちなみに下町とくれば・・・、やっぱりお祭りですね。太子堂八幡の大祭期間中には下ノ谷町会から町会神輿が出ています。ぶらっと縁日の日に立ち寄ってみると、この時ばかりは普段静かな通りも賑やかになっていて、えらく活気付いていました。それに神輿の担ぎ手の威勢のよさもまた下町らしいところです。現在では祭礼日が一年で唯一下町っぽさを感じる日かもしれません。

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この中央街を含めて全体的な印象としては、歩いている人は多いんだけど、あまり活気がある商店街ではないかなといった感じでした。それはこの商店街から一歩路地に入ってみて理解できました。細い道の両脇にはアパートがぎっしりといった光景が続いていたからです。新しいものから、昭和を感じさせるような建物まで色々。多くの人が歩いているのは単に周辺の人口が多いからのようです。でも無精な一人暮らしの住民が多いのか、八百屋や魚屋よりもコンビニへ入る客が多いように感じるのがちょっと気になるところです。

なるほどと思いながらも、それよりも何でこの地域はこんなに道が狭くてごちゃごちゃしているんだといった事に興味が湧いてきました。ここまでごちゃごちゃした地域もある意味珍しいのでは・・・。ってか、これはちょっとひどすぎるのでは・・・。調べてみると震災後の急激な人口移入によって道をきちんと区画しないままに宅地化されたためだとか。無計画な開発を行うとこうなるんだといったような典型でしょうか。この地域の配達を任された人、引越しなどをする人はさぞ大変に違いありません。

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といった感じで、現在の下の谷界隈は活気があるとは言えない状態になっていました。でも百景の文章を読む限りでは、かつては活気を感じられる商店街だったようですし、百景の切り絵に関してもやはり活気のある朝市といった場面が描かれています。

調べてみると一時期は77軒もの商店があったそうですが、今では17軒ほどになってしまったそうです。これも時代の流れというやつでしょうか。消費スタイルも大型店でまとめ買いというのが今時のスタイルですし、そもそも世田谷自体は山の手になり、下町のような雰囲気で買い物する事が一般的ではないような気がします。

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三軒茶屋自体で見ると、幾つかの大学が近年郊外へ移転していったものの、今なお学生などの一人暮らしの多い町であるのは変わらないし、乗換駅という活気もあります。それに駅前の再開発により世田谷で一番の高層ビルキャロットタワーが建てられ(現在では2番目)、地下を含めた駅前が活性化しました。昔と比べても町自体の活気は衰えていないはずですし、比較的小売店も元気に営業している感じです。それは日曜日に茶沢通りを歩行者天国にするぐらい人が集まっている事から分かると思います。

そう考えると、周辺に暮らす住民の年齢層や家族構成といった変化や、消費者の趣向や消費スタイルなどといった時代の移り変わりによって、活気のある場所がちょっとずれてしまっただけと考えるのが個人的には一番しっくりするような気がします。ちなみに朝市なら同じ三軒茶屋と言うにはちょっと離れていますが、世田谷観音の駐車場で毎月第二土曜日の早朝に朝市が行われています。こちらのほうは徐々に人気が出てきていて、今ではちょっとした町の顔になりつつあります。

<せたがや百景 No.5 太子堂下の谷界わい 2008年6月初稿 - 2015年10月改訂>