* 粕谷の竹林について *

タケノコが生えているのを見つけるとちょっとうれしくなってしまいます。
粕谷に限らず世田谷区内を歩いていると立派な竹林や雑木林を時々見かけます。昭和初期頃の緑豊かだった世田谷の名残りで、その頃は民家も少なく、多くの農家が竹林や雑木林を所有していたと聞きます。
戦後になってから人口の東京への一極集中が起こり、どんどんと世田谷の人口が増えていきました。それと共に駅から近くにある竹林や雑木林、そして畑が次々と宅地に変っていき、今では捜すほどにしかなくなってしまいました。
現在畑や竹林が残っている地域は駅から離れた交通の不便な場所がほとんどです。そういった中でもとりわけ多くの竹林が残っている地域の一つが粕谷で、現在では芦花公園の北側の粕谷2丁目辺りに竹林を多く見ることが出来ます。

手入れの行き届いた立派な竹林でした。
実際に歩いてみたのですが、さすがにせたがや百景に載っている住所付近の竹林はなかなかの広さを誇っていましたが、それ以外はいまいちパッとしない感じでした。
もっともこういった竹林が所々に残っていると知らずに歩いたなら、お~竹林があるといった感じで結構感動したかもしれませんが、わざわざ粕谷二丁目辺りに竹林があると目指して訪れたので、あっ、これが噂の竹林ね・・・といった感想になってしまいました。

百景の案内板が置かれています。玄関まで遠い・・・。
第三回せたがや地域風景資産にも粕谷の竹林が選ばれているのですが、その中心は本橋家。本橋家の門の前にはせたがや百景の案内板も設置されていて、ここが粕谷の竹林の象徴的な場所になるようです。
とはいうものの、個人のお宅だし、外から見ただけでは、あまりにも土地が広すぎてよく分かりませんでした。この付近の一角が親戚を含めて本橋家といった感じのようのです。風景資産によると野草苑も所有しているようですが、それも外からではよく分かりませんでした。

狭い場所にも竹林があったりします。
その他、広い竹林もあれば、マンションの隙間や住宅の庭といった場所、また狭いスペースに保存林として残っている場所もあります。狭いスペースなどでもなるべく残して地域の特徴を出そうとしているのでしょうか。
でも意外と竹林は手入れが大変だったりします。手入れする人がいなければ荒れ放題な雑林、藪になってしまい、ヤブ蚊の大発生・・・、そして全伐採ってなことを考えると、なんとなく残していこうというだけではこういう取り組みは難しいと思います。そう考えると徐々に消えていく風景になってしまうかもしれません。

ここにも立派な竹林があります。
同じ粕谷には蘆花恒春園があり、ここには文豪の蘆花が植えたとされる竹林と武蔵野の林が残っています。ここが粕谷で一番手頃に竹林を散策できる場所となります。
粕谷以外では喜多見にある竹山市民緑地(地域風景資産No.1-24)は竹林を市民緑地として開放していて、ここは竹林の中に設置されている遊歩道を歩けるので竹林の雰囲気をより楽しめるかと思います。
粕谷の北、烏山の市民緑地、北烏山九丁目屋敷林(地域風景資産No.3-20)にも竹林があり、ここには古民家もあって昔ながらの竹林を所有する農家という雰囲気があります。この二つの市民緑地は昔の面影を求めるなら最適です。