* 西沢つつじ園と烏山つつじ緑地 *
烏山の国道20号にある烏山総合支所入り口交差点の北側に昭和大烏山病院があり、ちょうどその裏手に西沢つつじ園があります。
この西沢つつじ園はこの付近の地主、西沢さんの個人つつじ園で、西沢さんの家の周囲やつつじ園にツツジが咲く様子はとても見事です。
駅から遠く、しかも奥まった場所にあるのであまり世間一般には知名度は高くありませんが、ここのツツジは一見の価値があります。
西沢つつじ園は約3000平方メートルにおよぶ西沢さんの敷地と区の烏山つつじ緑地1000平方メートルとに分かれています。
どこからどこまでが個人の庭で、どこからどこまでが区の緑地なのか、いまいちはっきりしませんが、おそらく通路がきちんと舗装されているエリアのみが緑地になるのではないかと思います。
烏山つつじ緑地内は歩道が整備されているので車いすや足の悪方にも歩きやすくなっていて、所々にベンチも設置されているので、花を見ながら休憩もできます。
そして花の素人にとってうれしいことに、ツツジの種類が写真入りで載っている解説板もあります。このツツジきれいだな、なんて花だろう?と思ったら案内板で品種を調べることができ、花の勉強にもなります。
4月中旬から5月にかけてのツツジの季節には辺り一面が色とりどりのツツジであふれかえります。クルメ、キリシマ、リュウキュウなど約100種類2万本のツツジが植えられているそうです。種類の多さや色の違いから、目に入ってくる色が飽和してしまうぐらいの色鮮やかな光景となっています。
これだけのツツジがどういった経緯で住宅街の一画に?と疑問を持つかと思いますが、戦前から畑の周りにツツジがあり、戦後になって畑にもツツジを植えたのがつつじ園の始まりだそうです。
ここのツツジ園は世田谷の誇りと書くと語弊がありそうですが、少なくとも烏山に暮らす人たちにとっては誇りであり、愛され続けている場所であるようです。
訪れると、特に年配の方が多いのですが、毎年毎年楽しみにしている様子がありありと伝わってきます。子供連れの老人などが子供に「ここは東京で一番きれいな場所なんだよ。」といった言葉をかけている光景などを見ると、微笑ましくなってきます。
また病院が近いこともあって点滴をしたままの患者さんや入院着を着た車いすの方などが散歩していたり、介護施設からやってくる団体さんの姿も見かけます。元気に咲くツツジから元気を分けてもらってくださいといったところでしょうか。
このように地元の人にとってツツジの咲く季節にはとてもいい散歩コースとなっていて、この時期だけは遠回りしてもこの前を通って行く人も多いようです。
近年では情報サイトや情報誌で取り上げられるようになったので、わざわざ区外から訪れる人も多くなったようです。世田谷のさりげない名勝が多くの人に知れるのはうれしいことです。
すぐ近くにある烏山寺町の一つ妙寿寺でも色とりどりのツツジを見ることができます。檀家である西沢さんの寄進で植えられたそうです。まだ若い木が多いのですが、後十年後には迫力ある風景となり、人気スポットになっているに違いありません。
普段は公開されていませんが、もしツツジの時期に客殿の公開が行われていたのなら、ちょっと無理をしてでも足を運んでみてください。2階から見るツツジは絶景です。
また土日に訪れるとツツジの販売をしています。小さな苗木ですが500円~千円程度で買うことができます。少し大きめのは応相談といった感じです。
誰しも興味があることだと思いますが、買うときによく聞こえてくるのが、「どれくらいでここに咲いているぐらいな立派なツツジに成長しますか?」といったような事です。これは結構気が長い話で最低15年ぐらいはちゃんとお日様を当てて育てないとダメなようです。
敷地内にあるものの中には80年とかの大きなものもありますが、年配の方でそこまでの成長を期待して購入するのなら孫に託すしかないようです。そんな冗談がよく聞こえてくるのは、やはり年配の方が多いからですね。
若い人は買いたくても、世田谷で一軒家で日当たりのいい庭付きの家というのは・・・さすがに相続しない限り厳しいものがあります。