* 給田小学校の民俗館について *

校門のすぐそばに古民家(民俗館)があります。
給田小学校には地域にあった宍戸家の茅葺古民家を移築した古風な民俗館がありましたが、平成17年からの給田小学校の建て替えに伴って古民家は一度解体されました。
このまま消滅してしまうのかと思っていたら、新校舎が完成した後に再び復元され、落成式が平成22年1月30日に行われました。
そのすぐ後に訪れてみたのですが、日曜日の夕方だったので完全に人気がなく、普段はどういう状態になっているのか分かりませんが、一般の人が見学し難そうな感じでした。
でも校門のすぐそばに設置されているので、内部に興味がなく、ただ単に見たいだけの人には見やすいようになっています。それにしても復元された民俗館って・・・、遠目から見るとなんかプラスティックでできたおもちゃの家みたいな感じでした。
どこまで復元して、どこを新しくしたのかは遠くからだったのでよくわかりませんでしたが、立地条件を含めてあまりにも昔と違いすぎて何とも感想に困ってしまいます。
ただ小学校の校庭にあるので安全、防火という意味で茅葺き屋根をトタンで覆ったりするような安全対策が施されるのはしょうがないといえばしょうがないのでしょうか。

奥は古農具などが展示された資料館です。
その後2014年に選定された第三回せたがや地域風景資産にも選ばれました。普段から公開したりするような活動を行っているのかな。行ってみなければ。
と最初は思ったものの、選定の趣旨などを読むと、「宍戸家より給田小学校に移築・保存され古民家は、せたがや百景にもなっている。日常的な児童の憩いの場であると共に、千歳民俗資料保存会と児童による掃除や障子の張り替え、PTA や地域の団体による行事など、学校、地域、子ども、保護者の協働による「生きた風景」となっている。小学校の敷地内にあることから、セキュリティ上、地域風景資産としての公開性に一定の制限がつくことはやむをえない。海外では景観をテーマとした環境教育、児童教育が盛んである。古民家を通して、子どもたちに昔の建築物や地域活動に興味を持ってもらうなど、環境教育の場として一層活動を広げていくことが期待される。」とありました。う~ん、どうなのでしょう。
勝手な想像で書くのもなんなのですが、世田谷には農大の農具を展示した博物館に次大夫堀公園民家園、北烏山九丁目屋敷林市民緑地など本物の古民家や道具、生きた景観があります。むしろそこを訪れる方がいいのではと思ってしまいます。
近年では本物を知らないで育ってしまう子供達が多く、社会に出てから色々と困ることも多々あるようです。例えば古民家園では囲炉裏で煙を出して、茅葺き屋根に虫が付かないようにしています。だから煙ったく、煤っぽい臭いもあります。それが本物の民家です。
農機具も実際に畑で使わなければただの置物でしかありません。私自身、小学校時代に千歯扱きや発展形の足踏み式脱穀機を使ったことがありますが、そのころは力がなかったのでなかなか脱穀ができなく、油断していたら回転式ドラムに巻き込まれて痛い経験をしたことがあります。生きた痛い経験です。そう考えると実際に次大夫堀公園で田植えをしている子供たちの方が生きた体験をしているのではないでしょうか。
海外では景観をテーマとした環境教育、児童教育が盛んであるとありますが、それは調和した景観、いわゆる単体ではなく、複合的な景観ではないのでしょうか。
単に校庭に置かれている、しかも現代風にアレンジされた古民家で景観を云々というのはちょっと趣旨が違うような・・・とまず感じてしまったのですが、実際に活用しているところを見たわけではないので、単なる私の妄想です。