* 多摩川土手の桜、二子玉川駅近く *
二子玉川駅近くの土手(再開発前)
他に写真が見当たらなかったので落書き付きで申し訳ありません。
落書きは絶対にやめましょう。
二子玉川駅前の旧246号の通りは多摩川を越える二子橋の手前で多摩堤通りと交差しています。この多摩堤通りは多摩川に沿って南北を結んでいる道です。現在版の筏道といった感じで、信号が少なく、距離的にも短く、抜け道としての利用価値が高い道となっています。
その多摩堤通りの二子玉川駅付近では道路は多摩川から少し離れているのに、川側が土手になっています。そしてこの土手がとっても面白い構造をしています。
何が面白いかというと、土手が川から少し離れた場所にあるために土手の外側(川側)にも家が建っているのです。そのため土手の上に立ってみると、町中に忽然と土手があるという感じなのです。
でもこれって・・・土手の外側(川側)に住んでいる人って大丈夫なのだろうか。人ごとながらちょっと心配になってしまいます。それに土手があっても途中に車が通れるように切れていては意味ないような・・・。
って、よく見ると、切れた場所には落書きが・・・、じゃなくて縦の溝が入っていました。帰ってから調べてみると、これは閘門というもので、氾濫の恐れがある場合には板で塞ぐようになっているようです。
今まで実際に使われたのか、どの程度使用されたのかは分かりませんが、川側に住んでいる人はそういう事態になったら怖いですね。
土手の桜並木
この付近は今のところ昔と似たような状態で土手と桜並木が残っています。
近年、二子玉川駅の南側では大規模な再開発が行われ、大きなビル群が建ち、大きな二子玉川公園ができ、それと共に河川敷では大規模な護岸工事が行われ、川辺に大きな堤防ができました。
そのため町中だけではなく、川辺も松林が伐採されたりと風景がガラッと変ってしまいました。
残して欲しいと思うような風景もあったのですが、これで今まで土手の外側に暮らしていた人も大雨が降る日に不安を感じる事がなくなったのではないでしょうか。
その結果としてこのちょっと風変わりな駅周辺の土手の必要性がなくなってしまったのは確かです。駅近くの一等地。平坦にして歩道を造るなり、家を建てるなり有意義に使えそうな気もします。
しかしながら取り壊すにはちょっともったいない土手です。なぜなら土手に咲く桜が見事だからです。
ライズビルと土手の桜
土の土手と近代的なビルとの対比が面白いです。
二子玉川の駅から南、河口方面に向かって多摩堤通りを進んでいくと、土手が桜並木になっていて桜の時期にはいい散歩道となります。
土手といっても車道沿いに植わっていて、その桜が土手を覆うといった感じです。この付近の多摩堤通りは片側2車線の広い道路ですが、かつては片側一車線でよく渋滞していました。
更にはバス通りでもあり、川沿いには土建屋が多いのもあってトラックやダンプカーの通行も多く、桜にしてみれば排気ガスやら車の震動やらと過酷な環境でした。そういった環境だったせいか今でも土手の方に傾いたような格好で桜が生えています。
間隔が広い部分があるのは間の桜が枯れてしまったからです。二子玉川の再開発で道が広げられ、幾分桜にとっては楽になった事かと思いますが、今後どうなるのでしょうか。
今のところ桜並木のある道というのは変っていないのですが、伐採されてしまった区間もあり、この土手の存在意義が薄くなった現状では今後消えてしまう風景なのかもしれません。
* 多摩川土手の桜、第三京浜より南 *
野毛付近の土手に咲く桜
下から見上げると迫力があります。
多摩川に張り出した二子玉川公園の富士見テラスより下流では土手がちゃんと川沿いになります。そして第三京浜の赤い高架橋があり、この橋より下流では多摩堤道路は土手の上を走るようになります。
ここからの土手の全てではありませんが、土手の斜面に桜が植えられていて、多摩堤通りを通行すると桜並木を通っている感じとなります。
複雑な枝振りの桜
斜面に生えているので複雑な枝をしている木もあります。
土手の斜面に植えられている桜は車の影響を受けないのでとてもいい枝振りをしていて、砧公園の桜のように幹の太い桜もあります。
ただ斜面に生えている木も多く、斜面の高い方の枝が窮屈な感じで伸びていたり、地面を這っていたりします。
木のそばまで寄ると、老木だし、ちょっと痛々しく感じる部分もありますが、遠くから見ると本当に美しい桜です。
多摩川の土手 玉堤付近の桜
この辺りでは桜が並木のようになっています。
でも本当に美しいと感じるのは河川敷を歩いている時で、特に西日が当たる夕方は何とも言えぬ風景になります。
この付近の河川敷は多摩川遊園といった広場や運動グランドなっていて普段からこの辺りは犬の散歩や遊んだりする子供達などで歩く人も多いのですが、桜の時期には更に増えます。
そして休日の昼間などには大きな桜の木の下で花見をする人も多く見受けられます。
早咲きの河津桜と富士山
ソメイヨシノよりも少し早く咲きます。
またこの辺りの桜の中には早咲きの河津桜も少し混じっていて、ソメイヨシノよりも1ヶ月ぐらい早く桜を楽しむこともできます。
2月ころは空気が冷たく、早朝などはとても空気が澄んでいます。河川敷から富士山がくっきりとよく見える日もあります。運が良ければ桜と一緒に楽しむこともできますが、いかんせん富士山までは距離があるので、一緒に写真に収めるのは難しいです。
色んな種類の桜
まだ若そうなので最近植えたものでしょうか。
河川敷というのは日当たりがいいので、冬でも風のない日は比較的ポカポカして気持ちのいい場所です。
砧公園でも日当たりのいい場所にある桜から開花していくように、桜というのは日当たりのいい場所の方が早く咲きます。そういった意味で太陽の光を遮る障害物のない川沿いの桜は絶好の場所とも言えます。
でも百景の紹介文では都内で最も早く咲く桜として知られているとの事ですが、実際のところはどの程度認知されているのでしょうか。ニュースなどでも取り上げられているのでしょうか。それとも過去の話となったのでしょうか。
それに暖かい日が続くと真っ先に咲きそうな桜ですが、寒の戻りと重なると川辺に吹く風は内陸以上に冷たく、むしろ土手の方が寒くなります。そういう気象条件と重なった場合はこちらの桜の方が遅く咲くといった事もあるような感じです。
紅葉の時期の土手
夕日にあたると結構いい風景になります。
桜の紅葉というのはあまり聞かないかもしれませんが、うまく光が当たるときれいです。
その点、ここの桜は河川敷なので均一によく光が当たり、紅葉の時もいい感じになります。秋の散策もお勧めです。
谷沢川の合流地点
大きな水門があります。
土手にある大きな水門は谷沢川の水門です。谷沢川は等々力渓谷を流れてくる川で、この水門から渓谷まではそんなに離れていません。
等々力渓谷を散策して河川敷まで足を延ばすというのも一つの散策ルートになります。もちろん二子玉川から二子玉川公園や河川敷を歩き、等々力渓谷を抜けるというのもいいです。
多摩川玉川公園と富士山の写真
子供の遊び場もいくつかあります。
とまあ冬は富士山が眺められ、春先に河津桜、そしてソメイヨシノが咲き、夏は水辺の涼や夕涼みなど、そして秋の紅葉と、散策ネタに困りません。
河川敷は広々としているので、ジョギングにもいいですし、遊具も置いてあるので、子供を遊ばせるのにも最適です。桜の時期以外もお弁当を持参してのんびりとくつろいでみてはどうでしょう。
* 再開発中の桜並木 *
再開発中のビルと桜
夕暮れのクレーンは味があっていいです。
再開発前ではなく、再開発中とタイトルが中途半端ですが、ちょうどここの桜並木がいいなと写真を撮り始めたのが、2009年のこと。再開発が進行中でした。
翌年には桜並木のほとんどが消滅したり、立ち入りができなくなっていたりと、ちゃんと写真を撮れたのはこの年だけでした。
ライズビルのクレーンと桜
ビルとクレーン、そして桜が絵になっていました。
再開発のライズビルの建設の時には三棟同時に工事が進み、大きな赤いクレーンが沢山伸びている様子が印象的でした。
神社の赤い鳥居や社殿と桜がよく似合うように赤いクレーンと桜も結構似合っていました。
再開発前の多摩川土手
二子玉川公園のテラスがないので背景がすっきりしています。
桜のトンネル
今はなくなってしまった風景です。
今でも多摩堤通りのトンネルの手前付近の桜並木は残っているので、桜並木としての景観は残っていますが、その先の部分、今では二子玉川公園のテラスがある辺りの景観はとても素晴らしかったです。
短いけど桜のトンネル・・・、いや、桜のゲートと呼ぶべきかもしれませんが、奥には武蔵小杉のビル群が見えていて、面白い光景でした。
河川敷に降りる部分にも大きな桜があり、ここの風景がとても開放感あって私のお気に入りでした。
* 感想など *
土手に咲く桜と武蔵小杉のビル群
二子玉川公園のテラスになっている部分です。とても好きな桜でしたが今はありません。
多摩川の土手に咲く桜。砧公園もそうですが、開放感があって好きです。桜らしくどっしりと枝を伸ばしている姿がやっぱり本来の桜の姿であって、見ていて落ち着きます。
ただ河川法では堤防の上や斜面に新たに植樹することが禁止されています。木の根っこが強度を高めて守ってくれそうな気がしますが、逆に木が水流の抵抗となり、その部分から決壊しやすくなるからです。
だから今後河川敷に新たに桜の木が植えられることはなく、枯れたら伐採されるだけで、多摩川土手に咲く桜という風景は徐々に消えていきます。今のうちに桜のある風景を楽しみましょう。
せたがや百景No.79 多摩川土手の桜
ー 風の旅人 ー
2018年4月改訂