* 上野毛付近の多摩川堤 *

ライズビルの存在感がすごいです。崖線の比ではありません。
二子玉川は近年行われた再開発によって高層ビルが建ち、ショッピングセンターができ、二子玉川公園ができと、大きく町の風景が変わりました。
とりわけライズビルは世田谷一の高さ150mもあり、その存在感は半端ではなく、二子玉川だけではなく周辺の地域から二子玉川方面への眺望も変わりました。
特に再開発地域と隣接している上野毛ではその影響が大きく、崖線上にある五島美術館や関東の富士見100景の富士見橋などといった少し名の知れた眺望も大きく変わり、少々残念な風景になってしまった場所もあります。

再開発、堤防工事前の風景です。
このライズビルが建っている土地は、古くは読売遊園や二子玉川園といった遊園地があったり、近年ではナムコワンダーエッグがあったり、「いぬたま・ねこたま」があったりと、なかなか凄い歴史を持った土地だったりします。
二子玉川公園ができた土地の方は東急自動車学校があった場所で、古くは玉川プールがありました。
この玉川プールは玉川電鉄が巨費を投じて建設したプールで、長さ50メートル、幅25メートル、10メートルの飛込台や子供用のプールなどがあり、当時世界水連が公認する日本唯一のプールでした。全日本の水泳大会が開催され、輝かしい世界記録が続々と生まれた場所です。

現在は二子玉川公園になりました。
その後、経営権が玉川電鉄から明治大学に移った事で「明大プール」となり、後に東急自動車学校に替わり、この度の再開発で大規模な二子玉川公園として整備されました。
東急自動車学校はというと、2009年12月に多摩市へと移転していきましたが、現在地が東急沿線ではないのは止むを得ない事情なのでしょうか。
さらには都立玉川高校もすぐ隣にあったのですが、昔は進学校だったのがどんどんと偏差値が下がっていき、人気も右肩下がり。
2008年には砧工業高校と統合して都立世田谷総合高等学校となり、岡本に移転していきました。

現在のテラス部分には立派な桜がありました。
この項目は「国分寺崖線を眺められる多摩川堤」といったタイトルになっています。
多摩川堤が素晴らしいということなのか、緑豊かな崖線を眺められるから素晴らしいのか、その両方なのか、その一番の意図するところがよく分かりませんが、土手の場合、大規模な堤防工事や二子玉川公園ができた事で、選定時点とは随分と様子が変ってしまいました。
二子玉川付近の川沿いはせたがや百景に登場する松林や桜の木が植わっているといったいい風景だったのですが、堤防工事によって多くが伐採されたり、移植されてしまいました。
この地域風景資産の対象となっている松林から第三京浜までの間はもともと何もないというか、広々とした感じのする場所で、土手の上の道も非常にシンプルな土の道で、いかにも土手ってな感じがしてよかったように思います。
現在では二子玉川公園の展望テラスができたり、遊歩道ができたりときれい整備されました。これはこれでいい風景になったなと思いますが、ちょうどこの位置に咲いていた桜が好きだった私としては、ちょっと複雑な気持ちです。

テラスができて見やすくなっています。
崖線の方は五島美術館、上野毛稲荷神社、上野毛自然公園とつながっている部分の緑と、第三京浜付近にまとまって見られる緑が特徴です。
昔は自動車学校があってその奥に見ることができました。公園ができるという事で、崖線の緑が目立たなくなるのではと思っていたのですが、川沿いに富士山がよく見える高台のテラスが設置されたので、崖線の緑が以前よりもよく見えるようになりました。

冬の晴れた日などには富士山を眺めることができます。
公園のテラスはそこそこ高く、以前の堤防付近まで張り出しているので、天気のいい日には多摩川の向こう側に富士山を眺める事もできます。
カフェも設置されているので、くつろぐにはなかなか気持ちのいい場所です。
この項目のタイトルも公園ができてしまったので、「国分寺崖線を眺められる二子玉川公園」とする方がいいかもしれません。

五島美術館、上野毛稲荷神社、上野毛自然公園のあたりで、緑が多いです。
用事があったついでに対岸からこの付近を眺めてみると、新しくできたライズビルの存在感がすごいこと。対岸から見てもその高さは圧倒的です。
そのため視覚的に崖線の特徴ある緑の風景の印象が薄くなっているようです。
それから崖線を眺めていて気になったのですが、五島美術館、上野毛稲荷神社、上野毛自然公園がある部分に緑が多いのは分かるのですが、第三京浜の手前付近にも緑が多いのです。
丸子川沿いの道を走っていても第三京浜の橋付近の崖沿いには緑が多く、今までちょっと気になっていたのですが、こうやって見てみると結構まとまっていて、崖の緑が第三京浜の間までずっと続いている感じです。

春には丸子川が桜並木となります。
この謎の区間、丸子川沿いは桜の木が多いようで春にはピンクに染まりなかなかの景色となります。隠れた穴場ですが、道が狭いので観賞するのは細心の注意が必要です。
いったいこの土地は何ぞや。地図で見ても何も記されていない地域なので、地主さんの土地となるのでしょうか。いずれ市民緑地などで公開されるとうれしいですね。