世田谷散策記 せたがや百景のバーナー
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せたがや百景 No.29

経堂の阿波おどりと万燈みこし

ハイライトは万燈神輿。夜のまちに神輿の胴の武者絵が浮かびあがり、提灯の灯が揺らぐ。これを、かつぐために、威勢のよい若者が関東近県から500人も集まるという。阿波踊り参加者も毎年増えている。(せたがや百景公式紹介文の引用)

・場所 : 経堂駅前、農大通り商店街周辺
・備考 : 経堂まつりとして7月中旬の週末に開催(商店街のサイトで要確認)

*** 経堂まつりの写真 ***

経堂まつりのサンバの様子を写した写真
ハートフル農大通り入り口

城山通りの入り口です。

経堂まつりのサンバの様子を写した写真
ハートフルのモニュメント

両親と子供といった設定でしょうか

経堂まつりのサンバの様子を写した写真
高架下のステージ

小さなステージなのですぐに人で一杯になります。

経堂まつりのサンバの様子を写した写真
農大の応援団

農大通りとくればやはりこの方々。
頭上に電線などが多くて大変そうでした。

経堂まつりのサンバの様子を写した写真
経堂むらさき連の子供踊り

 

経堂まつりのサンバの様子を写した写真
経堂むらさき連の女踊り

 

経堂まつりのサンバの様子を写した写真
経堂むらさき連の男踊り

 

経堂まつりのサンバの様子を写した写真
経堂むらさき連の男踊り

 

経堂まつりのサンバの様子を写した写真
経堂むらさき連の舞台踊り

 

経堂まつりのサンバの様子を写した写真
経堂むらさき連の鳴り物

 

経堂まつりのサンバの様子を写した写真
経堂むらさき連の踊り手達

 

経堂まつりのサンバの様子を写した写真
サンバと阿波踊り・・・

 

経堂まつりのサンバの様子を写した写真
サンバ

 

経堂まつりのサンバの様子を写した写真
欧米人のチームも

 

経堂まつりのサンバの様子を写した写真
サンバと踊る人々

観客のノリがいいのが特徴でしょうか

経堂まつりのサンバの様子を写した写真
サンバの演奏者

こちらも盛り上がっていました。

* 経堂農大通り商店街と経堂まつりについて *

小田急線の経堂駅の南口から城山通りに向けて伸びている通りは農大通りと名付けられています。城山通りからは少しずれますが和光小学校のある通りに進んでいき、最終的には世田谷通りまで農大通りは続いています。もちろん世田谷通りに出たところにあるのは東京農業大学で、その横には農大一高、中学と農大関連の学校が建ち並んでいます。とまあ書くまでもないのでしょうが、古くから農大に関わってきた道という事で農大通りとなったのでしょう。

その農大通りの経堂駅から城山通りまでの区間はなかなか活気のある商店街となっています。正式には経堂農大通り商店街と言うようですが、愛称としてハートフル農大通りと呼ばれているようです。なぜハートフルとなったのかは詳しくはわかりませんが、農大通りにはハートを形取った像が置かれていて、商店街のマスコット的な存在となっています。

色んな形のハートの像があると思ったらこれはホームページを見ると農大一家を表しているようです。お父さんとか、自分とか、お祖父さんとかいった感じです。しかもなんと四世代家族といった家族構成のキャラクター設定となっています。ん!ってことは・・・、桜新町の三世帯で有名なサザエさん一家を越えた?存在になるのでは。

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このハートフル農大通りでは7月中旬頃、商店街が中心となって経堂まつりが開催されます。2013年時点で第40回という事なので、それなりに歴史を積み重ねているイベントと言えます。その経堂まつりでは阿波踊りの練り歩きが行われます。これが百景にある阿波踊りです。狭い商店街を威勢良く、また力強く、そして女らしくと踊り歩く様子は見ている方も楽しくなってきます。

ただ、かつて祭りのハイライトであった万燈神輿は現在では行われなくなってしまいました。百景の説明文にあるように、「夜のまちに神輿の胴の武者絵が浮かびあがり、提灯の灯が揺らぐ。」といった神輿はあまり特徴的な神輿がない世田谷において貴重な存在であったに違いありません。現在区内で万燈神輿が担がれているのは代田八幡神社の下代田東町会(代沢1丁目)だけです。

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近年の傾向では土曜日の夜は阿波踊りの練り歩き、日曜日の夜はサンバのパレードといった感じで祭りが進行しています。ここ数年の祭りのプログラムは農大通り商店街のホームページで確認できるのでそちらをご覧になってもらうとして、万燈みこしが最後に行われたと思われる2001年の第28回経堂まつりのプログラムを書くと、

7月20日(金) 午後7時~9時まで
・阿波踊り 経堂むらさき連  ・万燈みこし 2基
7月21日(土) 午後4時~9時まで
・農大応援団パレード (チア・ガール 吹奏楽団 バトントワラーズ) ・阿波踊り 午後6時半より(経堂むらさき連、東林間連、下北沢連、宝船連、三軒茶屋連) ・サンバ大パレード 午後7時より

といった感じです。

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神輿が出ているときは金曜日に行われていたようです。そして翌年からのプログラムを見ると万燈みこしがなくなった分、和太鼓やエイサーが増えていました。で、なぜ万燈神輿が行われなくなってしまったのか。一説によると、担ぎ手不足のためだとか。当時の説明文では関東一円から神輿好きな担ぎ手が数百人訪れていたとありますが、そういった文化は時代遅れとなってしまったようです。

実際、経堂の鎮守である経堂天祖神社の秋祭りでもお神輿を担ぐ人が少なくなってきていますし、区内でも見ても全体的に担ぎ手が足りなくて苦労している神社が多くなっています。でもその分阿波踊りやサンバの踊り手が増えているので、これも時代の流れというやつなのでしょう。人々の趣向や楽しみが変るのはしょうがないことです。一番大切なのは経堂まつり自体がずっと人々に愛されながら続いている事です。伝統にこだわるのもいいけど、時代の流れと共に、また流行と共に形を変えていく祭りも楽しいものです。

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なぜ経堂で阿波踊りが盛んなのか。普段多くの人が集まる場所ではないので疑問を感じるかもしれません。これは経堂を基点に活動している経堂むらさき連の存在が大きいと思います。地元に有名な阿波踊りの連(チーム)があるからこそ阿波踊りの文化が根付き、ずっと盛り上がり続けるというものです。

商店街を各阿波踊りの連が練り歩くときでも、やはり経堂むらさき連が来ると一際歓声が大きくなります。高架下の舞台で行われる演舞でも拍手喝采です。もちろんそれは団員が商店街の人々からなっているのが大きいのでしょうが、やはり地元のお祭りで地元の名前が入ったチームがなければ盛り上がりませんし、地元のチームに一際大きな声援を送りたくなるのは人情というものです。

しかしながら地元に愛され続けるにはそれなりに演技のうまさも要求されます。訪れる他の団体には関東の本場高円寺からの団体もいますし、あまりにも地元の団体が見劣りすると観客も毎年毎年成長がないなといった感じで飽きてしまいます。でもここでは心配ご無用。楽しそうに踊っている様子は見ている方も楽しい気分になってくるほどです。地元であり、それに演技のうまさ、見ている人を楽しくさせる要素と相成って地元の人々に愛されているんだなと思いました。

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商店街のページを読むと、経堂むらさき連は1973年に農大通り商店街の人々が商店街の活性化の為に結成した阿波踊りのグループだそうです。ちょうど経堂まつりの開始と重なるので、経堂むらさき連は経堂まつりの歴史そのものという事になるようです。連員は幼稚園の子供から60代まで総勢170名程だそうです。

経堂まつり以外では下北沢の阿波踊りや区民祭、そして関東で一番大きな大会である東京高円寺阿波おどり大会にも出場しています。演技のうまさとかは解説するほど知識はないのですが、2005年の第49回東京高円寺阿波踊り大会では北塩原村友好賞を受賞した事もあるようです。大袈裟に言うなら「世田谷には経堂むらさき連あり」といったところでしょうか。

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また、近年ではサンバのパレードというのも経堂まつりの顔としてすっかり定着しました。日本各地で行われる阿波踊りに比べて多くのチームが参加するサンバのパレードはあまり多く行われていません。そういった事情もあるので、サンバ通の間では経堂まつりはちょっと有名かもしれません。2009年では4つのチームが商店街をパレードしていました。やっぱり阿波踊りと比べてしまうと派手ですね。阿波踊りはジャパニーズ・サンバと言われるぐらいテンポよく、賑やかな踊りですが、やはりサンバと同時に見比べてしまうと地味に感じてしまいます。

ちなみに関東で一番賑わう阿波踊りは高円寺の阿波踊りで、サンバは浅草サンバカーニバルとなります。どちらも演技者にはあこがれの大会となり、レベルの高い演技は観客を魅了し、とんでもない観客数で賑わいます。経堂まつりをきっかけに興味を持ったなら訪れてみるといいでしょう。両方とも八月の終わりの週末に行われます。ただ両方とも凄まじく混雑し、場所取りに苦労します。

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最後に経堂まつりの今後ですが、年々訪れる人が増えているようで都内での経堂まつりの認知度も上がっている感じです。こういったイベントで世田谷の商店街が活気づくのはとてもいい事なのですが、ただ少々祭りの運営能力というか、会場自体が飽和しかけている感じです。特にイベントを行う通りが大混雑しています。平行して抜け道でもあればいいのですが、この辺りは路地がごちゃごちゃしていて見学者に混じって通行人が多いのが混雑する原因です。

多くの阿波踊りの専門サイトでも指摘しているように、路地の狭さに人の多さが加わって踊りにくい、見学しにくいといった状態となっています。その分観客と演者の垣根が低く、盛り上がるとも言えますが、やはり接触などの事故や、演者にしてものびのびと踊れないといったマイナス面も大きくなります。小さなイベントで始まった経堂まつりなので昔は良かったかもしれませんが、今では阿波踊りやサンバが来るから端によけて下さいといった方法ではちょっと難しい状態です。

今後もっと人が増えたらと思うと・・・、身動きができなくなってしまいそうです。そう考えると、これ以上の規模拡大は期待できそうにありません。もしくは経堂の町をあげてのイベントにするなら、北口のすずらん商店街と協力して長いパレードコースにして混雑を分散させるのも手かと思います。このまま更に混雑が酷くなってしまうと、そのうち大きな事故やもめ事が起きそうに思えて心配です。

<せたがや百景 No.29 経堂の阿波おどりと万燈みこし 2009年3月初稿 - 2015年10月改訂>