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せたがや百景 No.12

若者と下北沢のまち

本多劇場、ロングラン・シアター、ザ・スズナリなどの劇場があり、演劇の新しいメッカとなっている。まちにはたくさんの若者が訪れ、ユニークな店も目立っている。探れば探るほど、多くの顔を見つけることのできるまちといえるだろう。(せたがや百景公式紹介文の引用)

・場所 : 下北沢の駅周辺一帯
・備考 : 下北沢演劇祭は2月中、下北沢音楽祭は7月第1週

*** 下北沢の写真 ***

本多劇場の入り口を写した写真
本多劇場の入り口

やっぱりここは人が多いです。

本多劇場を横から撮った写真
本多劇場横

「演劇の街下北沢へようこそ」の文字がいいですね。

「劇」小劇場の写真
「劇」小劇場

演劇祭の期間はちょっと華やかです。

ザ・スズナリの写真
ザ・スズナリ

ここは昭和のまんまの雰囲気が残っています。

本多劇場脇のギリシャ神殿風に塗られた高架橋の写真
本多劇場脇の線路の高架橋

いつの間にかギリシャ神殿風になっていました

音楽祭のパレードの様子を写した写真
音楽祭のパレード

楽器は各々が持ち寄ったものなので多彩です

音楽祭のパレードの名物おじさんを写した写真
パレードの様子

音楽祭のパレードと言えばやはりこの名物おじさん

プラカードを掲げてパレードを歩くグリーンバードの方々の写真
グリーンバードの方々

今では下北沢のイベントには欠かせない存在ですね

工事中の下北沢駅を写した写真
京王下北沢駅

現在再開発の工事中です。

今はなくなった駅の横の小田急線の踏切で待つ人々を写した写真
今はなき小田急線の踏切

時間によっては多くの人が開くのを待っていました。

下北沢で見かけた変わったお店を写した写真
変わったお店1

なかなか目立っています

下北沢で見かけた変わったお店を写した写真
変わったお店2

こちらも個性的ですね。
「I LOVE 下北沢」のTシャツがポイントかも

* 下北沢のイベント *

下北沢で行われていたフリーマーケットの写真
フリーマーケットの会場

細い道沿いでやっています

下北沢の路地を練り歩く神輿の写真
秋祭り

狭い路地を多くの神輿が練り歩きます。

サンバパレードの様子を写した写真
サンバパレード

熱気に溢れていました。

盆踊り大会の様子を写した写真
盆踊り大会

再開発でできたスペースで行われていました。

節分の天狗パレードを写した写真
節分の天狗パレード

天狗が豆をまきながら練り歩きます。

下北沢名物阿波踊りの様子を写した写真
阿波踊り大会

地元の連を中心に町が阿波踊り一色になります。

* 若者と下北沢のまちについて *

せたがや百景に中にあって唯一抽象的な項目がこの「若者と下北沢のまち」です。他のものはこれだといった「もの」があったり、過去にあったのですが、これは町全体と若者って・・・あまりにも抽象過ぎるような気がします。ですから人それぞれに解釈が違ってくるのは必然で、仮にせたがや百景を題目に写真コンクールを開いた場合、この項目だけは極端に写真が違ってくるに違いありません。

それは今の下北沢を見てそう感じる人、または時代の流れを感じながら解釈する人、若者から見た目線に年寄りから見た目線などなど色々な解釈が出てきるからです。

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とまあそういったわけで、私なりに勝手な解釈をさせてもらうと、下北沢はとても魅力あふれる町です。私的には町歩きをしているときに感じる楽しさや高揚感、街の雰囲気といったものが魅力だと思うのですが、具体的にどう魅力があるのかというと、これがなかなか言葉に表現するのが難しいものです。

う~ん、なんかうまい表現が見つからない。一言でビシッと言いたいけど・・・、どうも無理のようです。何か他の例えで言えないだろうか。そういえば町を歩いていてるときに感じる感覚が何処かに似ているんだよな。これはずっとジレンマに感じていたのですが、100景の文章を考えながら町を歩いているとひらめきました。そうだ香港の重慶マンションに雰囲気が似ている。

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その重慶マンションとは、バックパッカー(貧乏旅行者)では知らない人はいないだろうというぐらい有名な安宿が集まったビルで、香港の一等地にありながらそのビルだけがおんぼろで、ひときわ目立った存在です。ビルの中も香港にありながら出稼ぎ労働者が町を作ってしまった感じなので、とても多国籍な空間ができあがり、さらには旅行者が集まるのでミーハーさや初々しさが加わり、なんとも個性的で独特の文化を持った空間が出来あがっています。

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なぜここと似ていると感じたのかはまず匂いです。どうも私は鼻が敏感なようで匂いで感覚を記憶してしまう傾向があり、下北沢を歩いている感覚と重慶マンションを歩いているときに感じる匂いの感覚が一致するのです。インドの香辛料の匂いやら怪しいお香の匂いやら・・・。そして多国籍さもまた同じですし、ちょっと怪しい感じ(非合法的な)もそうですし、オンボロさというと語弊があるかもしれませんが、一等地にありながらこの町の古さや汚さは何といった感覚も同じかもしれません。

それに路上でのフリーマーケットなどを見ていても、そこで売っている人が自分と同じ匂いがするというか、旅人の持つ独特の雰囲気が漂っていて更に心落ち着く感覚を感じたりします。後は細い路地が入り組んだごちゃごちゃした町並みが混じりあって生活感漂っているというか、人間味があるというか、アジアって感じというか、旅をしているという感じがするというか、そういうところが私は好きなのかもしれません。

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これはあくまでも私の感覚での事ですし、一昔前の下北沢の町を知っているからそう感じる部分もあります。なので他の人には当てはまらないかと思いますが、私なりの下北沢に魅力を感じる部分のようです。このように人それぞれ下北沢のここが好きだといった何かしらの理由があるかと思います。

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さて話を下北沢の町に戻すと、ここは昔からごちゃごちゃした町でした。ちょっと怪しい店とかも多く、私の昔の印象は何でもありな町といった感じでした。しばらくは用がなかったので10年ぶりぐらいに再びやってきたのですが、近年では原宿や渋谷に似てきたかなといった感じです。特に北口の奥の小道などはちょっとお洒落な店が並んでいてそっくりな感じがします。またとても変わった外観や個性的な店が増えていましたね。今の時代の若者が好きそうな感じの店で、多くの若者が足を止めて品定めをしていました。

ただ、最近では消防法とかの法律が厳しくなり、町並みも昔に比べると落ち着いたのかなといった印象も持ちました。これは時代の流れというやつなのでしょう。時代の流れといえば、小田急線が地下鉄となり、町から踏切が消えてしまいました。ごちゃごちゃした町並みの中に踏切があると、雑踏的な情緒が増していい意味で下北らしさというか、魅力の一つだったように思います。

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それに乗換駅らしく学生、特に高校生が多いのも昔からの光景です。そういった若者が途中下車などをして町歩きを楽しんでいるという事は若者に魅力ある町である事です。流行に敏感な若者に支持される町というのは、町自体が魅力的でなければなりません。魅力的であること。すなわち時代の先端をいく若者文化を作り続けているからこそ、若者と下北沢の町というタイトルになったに違いありません。

若者の町=若者に魅力ある町=活気がある町=進化する町とまあやはり行き着くところは、文化や若者の活気で溢れている雰囲気がする町が下北沢で、下北沢の魅力ということになるでしょうか。

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そして下北沢といえば演劇。って、私のように文化音痴な人間には、「へぇ~、そうだったんだ。」といった感想しかありませんが、百景の文章にも書かれている下北沢の演劇に関してですが、今でも町中に多くの演劇場があります。昔は経営者の違う劇場が多くあったのかもしれませんが、今ではそのほとんどが本多劇場グループの劇場です。

これは元映画俳優の本多一夫氏が、自分の苦労から若い演劇人に発表の場を与えてやろうとの思いで下北沢駅周辺に貸し劇場を次々に設けたものです。一番大きな本多劇場で収容人数が380人、後は100人前後の小劇場が多いので超有名な劇団の舞台は期待できませんが、手頃な値段で気軽に若手劇団員の演劇を楽しむことが出来ます。

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あまりよくは知りませんが、演劇自体は流行ったり、廃れたりと時代の荒波にもまれて今に至っているようですが、それでも今なお多くの劇場が下北沢に残っていることを考えると、下北沢の町は演劇の町として演劇に関わる人には定着している事で、その名がふさわしいように感じます。もちろん演劇を知らない素人の意見ですが・・・。

また、そういったことにちなんでか毎年2月には町をあげて下北沢演劇祭が開かれます。といっても演劇がいつもよりも多く行われるといった感じなので、劇場が活気づくといった感じでしょうか。だから演劇に関心がないと町を歩いていてもポスターがいつもより多いなぐらいしか感じないと思います。そんなに値段は高くないのでデートで映画を見に行く予定を演劇に変えてみるのも悪くないかと思います。

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また近年では7月の第1週に行われる下北沢音楽祭も演劇祭と並んで下北沢の顔となりつつあるようです。音楽祭の期間中には町の何カ所かにステージが設置され、地元のバンドマンや団体、学生などによる演奏が行われます。町の中が音楽一色とまではいかないまでも、屋内で行われる演劇祭とは違って町の中が音楽によって活気づいているように思えます。

その音楽祭では下北沢らしいと言うか、とても面白い音楽パレードが行われます。これはクリーンクリーンパレードと名付けられ、環境美化推進をテーマに掲げながら町をパレードするといったものです。パレードでの演奏の中心はニューオリンズスタイルのバンド「ブラックボトムブラスバンド(BBBB)」と区立富士中学校ブラスバンドで、それに楽器を持った有志が加わり、また商店街や町会などの協力を得て町を演奏しながら歩きます。

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もちろん下北沢の環境美化と言えば日頃下北沢の町でゴミ拾い活動を続けているNPO法人のグリーンバード、下北沢チーム抜きでは語れません。今や彼らは下北沢のイベントには欠かせない存在ですね。このパレードにも加わっていますが、音楽パレードは音楽のできる人に任せて、グリーンバードの人たちはゴミのポイ捨て禁止などの横断幕やのぼりを掲げていました。

いつもは縁の下の力持ち的な存在ですが、このときはちょっと輝いて見えました。こういった華やかなイベントも若者のためにあるけど、影で清掃活動などで支えているのも若者であるのが下北沢なのです。本当に下北沢を歩く度に若者の街下北沢という謳い文句をあちこちで実感します。

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その他でも他の百景の項目に登場する大きなイベント、節分のときの天狗道中や夏の下北名物阿波踊りというのも町をあげての行事であり、若者が中心となって行事を運営しています。そして夏には夏祭りとして盆踊りといった伝統的なイベントが行われたり、サンバパレードという新しい試みが行われたりしています。こういった商店街のイベントも演劇や音楽といった芸術活動、若者のファッションなどの文化に負けないぐらい魅力的なものであり、このような多角的な魅力が多くの人をひきつける要因になっているのも確かです。

また、近年では下北沢で再開発が進められようとしています。鉄道だと乗換駅なので交通の要所として便利がいいのですが、車だと下北沢駅前へ行くのはちょっと不便です。それを解消するために環七とつながる大通りを造ってしまおうという計画が立てられ、それには町の大規模な再開発も含まれています。とりわけ小田急線の地下化は大きな変化となりました。その跡地を利用して道路が造られたりするようですが、再開発後はどのように町が変わるのか。下北沢らしさは消えないのだろうか。そういった心配は下北沢が好きな人には気になるところです。

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行政側はたいてい都合のいい事しか情報開示しないものです。住民の意見を反映とまではいかないにしても、ちゃんと聞き入れてくれるのかという部分で不明な部分があり、フリーマーケットを訪れると、住民の意見を聞かずに行政主導で再開発を行えば下北沢の魅力が失われてしまうんです!と反対運動を若い人がやっていました。う~ん、便利になるだけではないんですね。

まあこういうことは色んな考え方ができるし、目に見える利害と見えない利害があるのでなんとも言えませんが、町のことを考えて行動する若者がいることにちょっと感心させられました。若者が文化を創り、それによって町が進化し、更には町を守っているのですね。下北沢は。

<せたがや百景 No.12 若者と下北沢のまち 2009年3月初稿 - 2015年10月改訂>