世田谷散策記 タイトル
せたがや百景 No.87

駒沢緑泉公園

駒沢3-19

人工芝と噴水と緑の公園、樹林園には落葉樹、常緑樹、潅木などが植えられた丘や川がつづく。素足の子ども達が小川の流れに入って遊び、幼い子は人工芝の上をのびのびとかけまわる。都市生活に欠かせないものとして公園空間はある。(せたがや百景公式紹介文の引用)

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1、駒沢緑泉公園について

駒沢緑泉公園付近の地図(国土地理院)

国土地理院地図を書き込んで使用

現在の国道246号、通称玉川通りが桜新町駅前を通る旧・国道246号と分岐する交差点の北側に、区立の駒沢緑泉公園があります。

どん詰まりの路地の奥にあるので、その存在を知っている人は少ないのではないでしょうか。旧道の通り沿いに案内板が設置されているものの、交差点付近にあるので目立っていません。

実際、地図で確認してみると、住宅地の中に埋まっているといった感じです。しかも、この公園周辺の路地はとても入り組んでいます。

路地同士がうまく接続していないパターンは、地権者の間でもめて耕地整理が行われなかったり、それぞれが好き勝手に宅地開発を行った場合によく見られる現象です。

この公園の西側、桜新町エリアでは、旧国道246号の北側はきれいに耕地整理されているのですが、南側は地権者がもめにもめまくって、話がまとまらなく、あみだくじのような状態になっています。

親戚が一時期この中に住んでいたので、その苦労を知っているのですが、大通りに出るまでが大変で、対向車が来たら横の道に避けて進むといった、ゲームのような感じになります。

そのことが頭にあると、ここでもそういったことが起きたんだろうな・・・と、地図を見ながら思ってしまいます。

1960年代の駒沢緑泉公園付近の航空写真(国土地理院)
1960年代の様子

国土地理院地図を書き込んで使用

公園ができる前、国道246号が整備されつつある1960年代の写真を見てみると、なんとビックリ。一面が畑になっていました。どうりで公園周辺の道が途切れているわけです。予想していなかった展開に驚きました。

周囲が宅地化する中、よくこれだけの畑が残っていたものです。地権者は頑なに畑を守り続けたのでしょうか。

1970年代の駒沢緑泉公園付近の航空写真(国土地理院)
1970年代の様子

国土地理院地図を書き込んで使用

駒沢緑泉公園の開園は、昭和49年(1974年)。宅地化が進む中、自然の魅力を引き出すための公園として、整備されました。

開園当時の航空写真を見ると、周囲には中途半端に建物が建っていて、もうちょっとこの時点で努力していれば、かなり使い勝手のいい公園になったんだろうな・・・と思ってしまいます。

もう一つ写真を見て気が付いたのが、公園の南端にある緑色の四角い物体。何だろう。今はこんな建物ないぞ・・・。と考え込むものの、百景の説明文を読み直して分かりました。文章にある「人工芝と噴水」になるようです。

ここには人工芝が敷かれた空間があり、ちゃんとした噴水が設置されていたようです。現在では地面はタイル敷きの広場になり、噴水も地面から直接吹き出るタイプに改良されています。

駒沢緑泉公園 噴水のある広場の写真
噴水のある広場

樹木に囲まれた開放感のある空間になっています。

駒沢緑泉公園内は、大まかに分けると3つの部分に分かれています。国道246方面から紹介していくと、まず大きな広場があります。かつては人工芝生と噴水があった場所です。

ここは周囲を樹木に囲まれた多目的広場といった感じの広い空間で、ベンチなども多く設置されているので、昼間訪れると、仕事の休憩時間などに休んでいるような人を多く見かけ、夕方訪れると、子供たちが走り回っています。

駒沢緑泉公園 噴水で水遊びをする子供達の写真
水遊びをする子供達

なかなか楽しそうでした。

この広場にはちょっと工夫がされていて、広場の真ん中付近では地面から噴水がわき上がるような仕掛けがしてあります。

水の流れを楽しめるせせらぎはいくつかありますが、こういった形で地面に設置されている噴水は区内では見かけないので、へぇ~といった感じでちょっと感心します。暑い日などには子供達が噴水をシャワー代わりにして遊んでいるのが楽しそうであり、また涼しげでもありました。

駒沢緑泉公園 噴水のある広場 高く吹きあがる様子の写真
高く吹きあがる様子

結構な高さまで吹き上がっていました(2009年)。

この噴水は時間ごとに強くなったり、弱くなったりします。訪れたとき(2009年)には、毎時ちょうどにひと際高く吹きあがるようになっていて、けっこうな高さまで吹きあがっていました。5m以上はあったでしょうか。

しかし、ここではありませんが、地面からの噴水で女児が股間を負傷というショッキングな出来事が全国のニュースで流れたので、今ではこういった噴水はどこも弱められるなどの対策が施されているかと思われます。

駒沢緑泉公園 樹木園の入り口の写真
樹木園の入り口

8時半から17時まで入園できます。

その次は木々が生い茂り、せせらぎの小川が流れている樹木園と名付けられているエリアです。

この樹木園のエリアは、自然景観や水や樹木の保護のためなのか、周辺住宅への配慮や安全対策なのかわかりませんが、午前8時半から午後5時までしか入る事ができないようになっています。

駒沢緑泉公園 樹木園内の木の写真
樹木園内の木

樹木園の名に負けない雰囲気があります。

樹木園の内部は散策路が設置されていて、木々の間を散策できるようになっています。

雑木林というと語弊があるかもしれませんが、園内は多くの木々があるので、日差しの強い日でも幾分涼しく感じます。

駒沢緑泉公園 樹木園を流れるせせらぎの写真
樹木園を流れるせせらぎ

楽しげな雰囲気と自然らしさとを兼ね備えている感じです。

設置されているせせらぎでは、噴水広場同様に子供達が元気よく水遊びをしていたりします。

広々とした噴水広場と違って、ここは岩がごつごつとしていて、立体感があります。せせらぎの初め部分にある岩に登ったり、岩を避けながらせせらぎを歩いたりと、ちょっと腕白に遊ぶことができ、噴水に飽きたらせせらぎで、せせらぎに飽きたら噴水で、といったような遊び方もできます。

駒沢緑泉公園 樹木園の池の写真
樹木園の池

木々の中にある池といった感じで、夏には清涼感があります。

せせらぎから流れてきた水は池にたまります。池といっても底がコンクリートの人工の池で、浅く、水遊びもできそうですが、訪れたときは水がよどんでいました。暑い時期になると水遊びができるようにきれいに掃除されるのかもしれません。

この公園付近はちょっと北側を流れていた蛇崩川の源泉の一つがあったようです。厳密にこの公園と被るのか、被っていないのか分かりませんが、せせらぎのある水の豊かな公園となっているのは、そういった理由なのかもしれません。

駒沢緑泉公園 紅葉するイチョウの木々の写真
紅葉するイチョウの木々

敷地内のすぐ外側は住宅地になっています。

木々が生い茂り、小川のようなせせらぎがありと、部分的に切り取ると雰囲気のいい雑木林なのですが、そんなに広い公園ではないので、すぐ背後にマンションや住宅があるといったところは都会的というか、釣鐘池公園みたいな感じです。

公園ができる前は畑が広がっていたので、園内にある大半の樹木は公園化の時に植えられたものですが、イチョウがまとまってある場所は、古い航空写真を見ると元からあったようです。

駒沢緑泉公園 秋の樹木園内の写真
秋の樹木園内

落ち葉が多く、秋の散策も風情があってお勧めです。

駒沢緑泉公園 紅葉時の池の周囲の写真
紅葉時の池の周囲

紅葉と落ち葉で雰囲気が変ります。

晩秋になると樹木園の木々が色づきます。樹木の種類が多く、雑木林っぽい感じだったので、あまり期待せずに訪れたのですが、紅葉も意外といい感じでした。

園内にはイチョウの木も幾つか植えられているので、イチョウの紅葉を楽しめ、また池の周囲にはモミジが植えられているので、庭園的な雰囲気を少しだけ感じられます。樹木の種類が多いので、いろんな紅葉が少しずつ楽しめるといった感じでしょうか。

あと、目についたのが、落ち葉の山。落葉樹が多いので、園内が落ち葉だらけでした。池にも大量の落ち葉が浮かんでいて、幾何学模様を作っていました・・・。

駒沢緑泉公園 遊具があるエリアの写真
遊具があるエリア

北側に設置されています。

そして最後は、児童公園のようになっている部分です。樹木園の北側、国道246側の反対側には、小さな子供向けの遊具が置かれている広場があります。

スペース的にはあまり広くありませんが、面白い形の滑り台や砂場などがあり、小さな子供を連れた方の憩いの場となっている感じでした。

駒沢緑泉公園 樹木園横の花畑の写真
樹木園横の花畑

ここも公園の一部なのでしょうか。

この3つの他に、樹木園の西側にボタン、シャクナゲなどが植えられている花畑エリアがありました。

花壇というよりは花の畑といった感じのスペースで、ちょっと中途半端に感じるスペースになっていましたが、現在では樹木がしっかり育って、庭園のようなスペースになっています。

最終的には樹木園に吸収させるのでしょうか。中途半端にある民家は、将来、公園地になる予定になっているのでしょうか。公園の西側はちょっと中途半端に感じてしまいますが、詳しい事情はわかりません。

駒沢はらっぱプレイパーク入り口の写真
駒沢はらっぱプレイパーク入り口

楽しげな看板が目印です。

駒沢はらっぱプレイパーク内の写真
駒沢はらっぱプレイパーク内

工場裏の空き地といった昭和的な雰囲気を感じてしまいます。

花が植えられているエリアと、道を挟んだ先には駒沢はらっぱプレイパークがあります。区内に四つあるプレイパークの一つです。緑泉公園のとは別の管轄になるとは思いますが、せっかくなので紹介しておきます。

プレイパークに自体については別の項目で紹介しているので詳細は割愛しますが、ここでは常駐するプレイリーダーの下で泥だらけになりながら元気に子供達が遊んでいます。

個人的にはすぐ隣が工場というのがいいですね。工場裏の秘密基地というか、工場裏の遊び場というか、なんか昭和の時代を連想して懐かしくなってしまいます。

とはいえ、この工場や民家がなければ一つの大きな公園になるんですよね・・・。

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2、緑泉公園の盆踊り

駒沢緑泉公園 盆踊り大会の会場の様子の写真
盆踊り大会の会場の様子

この日は噴水の代わりに櫓が建ちます。

駒沢緑泉公園の噴水のある広場では、毎年8月3日と4日に駒沢三丁目町会主催で盆踊り大会が行われています。

会場となる広場には露店なども並ぶので、ちょっとした夏祭りといった感じになります。

駒沢緑泉公園 盆踊りのやぐらと樹木の写真
盆踊りのやぐらと樹木

樹木のシルエットが美しいです。踊っている人も美しいけど・・・。

一般的に、いや世界的にと言うべきでしょうか。公園の噴水というのは一番見映えのいい場所に設置されます。噴水を中心にその広場が設計されるといった感じです。

盆踊り用の櫓はちょうど噴水の位置に設置されるので、バランスがいいというか、絵的にちょうどよく、シルエットとして聳えて見える背後の樹木と合わせて、とても雰囲気がいいです。

駒沢緑泉公園 盆踊りの様子の写真
盆踊りの様子

浴衣姿の御婦人や子供たちが楽しそうに踊ていました。

盆踊り大会は世田谷の各町会で行われているので、珍しい行事ではありませんが、ここの盆踊りは木に囲まれているという空間的な雰囲気が良く、もちろん踊っている人も多く、人にお勧めしたくなるような盆踊り大会です。

踊りに関しては一般的に行われているものと同じでしょうか。あまり詳しくないので、分かりません。

3、感想など

駒沢緑泉公園 噴水の落ち葉アートの写真
噴水の落ち葉アート

噴水の水で面白い模様になっていました。

私自身、この公園の近くを通る道を何年も通勤、通学していながら、存在を知ったのはせたがや百景を調べ初めてからでした。そしてこんな所に比較的大きな公園があったんだ・・・と、驚きました。

周辺に住んでいる人はともかく、私のようにこの桜新町や駒沢近辺に馴染みがあっても、この公園の存在を知らない人は多いのではないでしょうか。その分、穴場となっていて人が少ないといった感じです。

緑泉公園という名の通り、緑と水をほどよく調和させていて、気候のいい春にはきままに散策を。夏には水遊びや盆踊りを楽しんだり、秋には紅葉を楽しむこともでき、のんびりと小さな季節の変化を探しながら散策するのにうってつけです。

せたがや百景 No.87
駒沢緑泉公園
2025年5月改訂 - 風の旅人
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・地図・アクセス等

・住所駒沢3丁目19
・アクセス最寄り駅は田園都市線駒沢駅、あるいは桜新町駅。
・関連リンクーーー
・備考世田谷区立公園。樹木園の入場は午前8時半から午後5時(7、8月は18時)まで
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