* のざわテットーひろばについて *
野沢3丁目の住宅地の中、ひときわ目立つ真っ白に塗装された鉄塔があります。きれいな白で塗られていると無骨な鉄塔にも風景価値が加わるようで、お洒落なランドマークに感じてしまいます。
ただ汚れやすい色なので雨風で汚れたり、錆が出たりするととたんにみすぼらしくなってしまいそうです。この鉄塔のある風景を周りの風景と調和させると・・・などと色々と想像が膨らみますが、ここでの話題は鉄塔ではなく、鉄塔の下にある「のざわテットーひろば」になります。
「のざわテットーひろば」は鉄塔のほぼ真下に位置していて、だいたい普通の住宅の敷地2つ分ぐらいの広さがあります。この広場は一般的な公園のような広場ではなく、区内にあるプレーパークや児童館と似たような施設になります。プレーパークというのは遊びや行動の結果に対して誰かに責任を押し付けるのではなく「自分の責任で自由に遊ぶ」というのがモットーとした遊びのスペースです。
開園時間は10時から17時までで、毎週木曜と日曜日は休園日となっています。スペース的な問題、住宅地の中にあるといった立地もあり、普段利用しているのは幼稚園ぐらいまでの低年齢の子供が遊んだり、その親が子育ての相談に利用したりしているそうです。
この「のざわテットーひろば」は驚くべきことになんと私有地だったりします。しかも専門のプレーリーダーも常駐しています。遊園地とまでいかないにしても有料の公園で利用料金が・・・と心配になるのですが、プレーパークの価値観を共有できる人なら誰でも無料で利用できます。これは世田谷区の「世田谷区地域子育て支援拠点事業」の「おでかけひろば」という助成を受け、NPO法人の「野沢3丁目遊び場づくりの会」が運営しているためです。
どうしてこのような私有地の広場ができたのか。公式のサイトを訪れてみると、色々書いてありました。
まず「のざわテットーひろば」が始まったのが平成14年(2002年)になります。当初、この場所にはマンションが建つ計画だったようですが、付近の住民の反対運動があり、大家さんの山縣さんという方が土地を買い取り、「ここを子どものための広場として開けたらいいね」ということで、子育て支援団体の方々が協力して「地域のみんなで子育てしよう!」「子供たちにもっと自由な遊び場を!」といった思いでこの広場が生まれたそうです。
当然のことながら行政やボランティア、地域の団体の支援がないとこのような広場は維持できないわけで、私有地を使ったこのようなプレーパークというのは全国的にも珍しい存在となります。
「のざわテットーひろば」は普通の住宅街にあるし、敷地が広くないのであまり目立ちません。その分というか、白い鉄塔が目印となっていて、遠くからでもあそこにあるといった場所だけはわかるようになっています。入り口は子供が飛び出さないような配慮が見られるのと同時に楽しげな感じとなっていて、保育園っぽい雰囲気でしょうか。入り口のところに活動内容やイベントの案内などが張られている掲示板も設置してあり、ここではどのような活動が行われているのか、どういった施設なのかが分かりやすいようになっています。
敷地は細長く鉄塔の下まで続いていて、入り口側は駐輪場や藤棚の下のウッドデッキ席があり、真ん中には小さな休憩小屋があり、鉄塔のある奥側はどろんこ池やツリーハウスなどがある広場となっています。真ん中に小屋は建物は「NPO日本冒険遊び場づくり協会」の事務所もかねているそうですが、ワンルームで仕切りが無く、ここからひろばの全景が見渡せるようになっていて、子供を遊ばせているお母さん方のいい休憩場となっている感じでした。
遊具については、小さな子供用ですが、外には滑り台、ブランコ、ツリーハウス、木で作った家などがあります。砂場ならず泥の遊び場や隅のほうには畑もあり、小さな子供が土で遊べるようになっています。室内にも絵本が沢山置いてあり、雨の日も楽しめるようになっています。
イベントも行われていて、年に2回バザーが行われ、この他にも保護者の方が企画をして野点、流しそうめん、石窯を使ってピザを焼いたり、豆まきをしたりしているそうです。子育てに関しても外部から講師が来て、月に1回「子育て支援講座」「父親支援講座」が開かれています。
羽根木プレーパークのところでも書いたのですが、世の中には色んな子供がいて、様々な価値観を持った親がいます。だからこういう施設で遊ばせると必ず子供のためになるかというわけでもなく、子供の適正や親の教育方針にもよります。また母親通しのトラブル、いわゆるママ友のトラブルも近年多くなっています。ここでは少なくとも遊びに関しては同じような考え方を持っているし、プレーリーダーという中立の立場の人も常駐しているのでそういったトラブルは少ないのかなと思います。