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せたがや百景 No.79

多摩川土手の桜

東京で最も早く咲く桜として知られる。ありあまる春の光を全身に浴びるからだろうか。風に散る満開の桜が川辺に広がるタンポポのじゅうたんと一緒に多摩川堤ののどかな春の風景をかたちづくる。(せたがや百景公式紹介文の引用)

・場所 : 玉川1丁目~野毛2丁目の多摩堤通り沿い
・備考 : ーーー

*** 多摩川土手の桜の写真 ***

多摩川土手の写真
二子玉川駅と多摩川の土手

落書きをしちゃいかんよ。

多摩川土手の写真
土手と再開発

一気に風景が変りました。

多摩川土手の桜の写真
桜並木となっている土手

とても雰囲気のいい道です。

多摩川土手の桜の写真
桜を楽しみながら散策をする人々

桜の時期は普段よりも通行する人が多いです。

多摩川土手の桜の写真
再開発後の土手

この付近は背後のビル以外はあまり変化はないです。

多摩川土手の桜の写真
桜のトンネル

今はなくなってしまった風景です。

多摩川土手の桜の写真
再開発中のビルと桜

 

多摩川土手の桜の写真
土手に咲く桜

とても好きな桜でしたが今はありません。

* 第三京浜より南 *

多摩川土手の桜の写真
土手に咲く桜

下から見上げると迫力があります。

多摩川土手の桜の写真
複雑な枝振りの桜

斜面に生えているので複雑な枝をしている木もあります。

多摩川土手の桜の写真
色んな種類の桜

まだ若そうなので最近植えたものでしょうか。

多摩川土手の桜の写真
早咲きの桜と富士山

ソメイヨシノよりも少し早く咲いていました。

多摩川土手の桜の写真
玉堤付近の桜

大田区との境界付近です。

多摩川土手の桜の写真
桜と川崎側のビル

 

多摩川土手の桜の写真
紅葉の時期の土手
多摩川土手の桜の写真
谷沢川の合流地点

* 多摩川土手の桜について *

二子玉川駅前の旧246号の通りは多摩川を越える橋の手前で多摩堤通りと交差しています。この多摩堤通りは多摩川に沿って南北を結んでいる道です。現在版の筏道といった感じで、信号が少なく、距離的にも短く、抜け道としての利用価値が高い道となっています。

その多摩堤通りの二子玉川駅付近では道路は多摩川から少し離れているのに、川側が土手になっています。そしてこの土手がとっても面白い構造をしています。何が面白いかというと、土手が川から少し離れた場所にあるために土手の外側(川側)にも家が建っているのです。そのため土手の上に立ってみると、町中に忽然と土手があるという感じなのです。

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でもこれって・・・土手の外側(川側)に住んでいる人って大丈夫なのだろうか。人ごとながらちょっと心配になってしまいます。それに土手があっても途中に車が通れるように切れていては意味ないような・・・。って、よく見ると、切れた場所には落書きが・・・、じゃなくて縦の溝が入っていました。万が一のときはここに板などをはめ込むのだろうか。

帰ってから調べてみると、これは閘門というもので、氾濫の恐れがある場合には板で塞ぐようになっているようです。今まで実際に使われたのか、どの程度使用されたのかは分かりませんが、川側に住んでいる人はそういう事態になったら怖いですね。

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近年、二子玉川駅の南側では大規模な再開発が行われ、大きなビル群が建ち、大きな二子玉川公園ができ、それと共に河川敷では大規模な護岸工事が行われ、川辺に大きな堤防ができました。そのため町中だけではなく、川辺も松林が伐採されたりと風景がガラッと変ってしまいました。

残して欲しいと思うような風景もあったのですが、これで今まで土手の外側に暮らしていた人も大雨が降る日に不安を感じる事がなくなったのではないでしょうか。それとも余計なお世話、無用の堤防で税金の無駄使いだったのでしょうか。工事の最中には抗議の段幕も貼ってあったのでその辺の事情は実際にここで暮らしている人にしかわからない問題なのでしょう。

ただ、このちょっと風変わりな駅周辺の土手の必要性がなくなってしまったのは確かではないでしょうか。駅近くの一等地。平坦にして歩道を造るなり、家を建てるなり有意義に使えそうです。しかしながら取り壊すにはちょっともったいない土手です。なぜなら土手に咲く桜が見事だからです。

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二子玉川の駅から南、河口方面に向かって多摩堤通りを進んでいくと、土手が桜並木になっていて桜の時期にはいい散歩道となります。土手といっても車道沿いに植わっていて、その桜が土手を覆うといった感じです。この付近の多摩堤通りは片側2車線の広い道路ですが、かつては片側一車線でよく渋滞していました。

更にはバス通りでもあり、川沿いには土建屋が多いのもあってトラックやダンプカーの通行も多く、桜にしてみれば排気ガスやら車の震動やらと過酷な環境でした。そういった環境のせいか車道側に枝がなく、土手の方に傾いたような格好で桜が生えています。

間隔が広い部分があるのは間の桜が枯れてしまったからです。二子玉川の再開発で道が広げられ、幾分桜にとっては楽になった事かと思いますが、今後どうなるのでしょうか。今のところ桜並木のある道というのは変っていないのですが、伐採されてしまった区間もあり、この土手の存在意義が薄くなった現状では今後消えてしまう風景かもしれません。

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更に南に進むと、右側は河川敷となり視界が開けます。かつては左側に東急自動車学校があったのですが、今では二子玉川公園となり、しかも富士山が見えるテラスができたために車道はトンネル区間となってしまいました。大きく土手の風景が変ってしまった区間です。

ちなみに東急自動車学校ができる前はここには玉川プールがありました。玉川電鉄が巨費を投じて建設したプールで、長さ50メートル、幅25メートル、10メートルの飛込台や子供用のプールなどがあったようです。当時世界水連が公認する日本唯一のプールで、全日本の水泳大会が開催され、輝かしい世界記録が続々と生まれたとか。

その後、経営権が玉川電鉄から明治大学に移った事で「明大プール」となり、後に東急自動車学校に替わり、再開発で公園になったといった土地です。この自動車学校があった辺りから道路沿いの桜は枯れてしまったのかまばらとなり、土手の川側の斜面に木が増えてきます。土手の斜面に植えられている桜は車の影響を受けないのでとてもいい枝振りをしています。

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更に進むと、第三京浜の赤い高架橋があり、この橋より南側では多摩堤道路は土手の上を走るようになります。そしてその土手の斜面に桜がずらっと植えられていて、多摩堤通りを通行すると桜並木を通っている感じとなります。でも本当に美しいと感じるのは河川敷を歩いている時で、特に西日が当たる夕方は何とも言えぬ風景になります。

それはやはり桜の木の枝振りがいいからで、砧公園の桜のように幹の太い桜もあります。ただ斜面に生えている木も多く、斜面の高い方の枝が窮屈な感じで伸びていたり、地面を這っていたりします。木のそばまで寄ると、老木だし、ちょっと痛々しく感じる部分もありますが、遠くから見ると本当に美しい桜です。

この付近の河川敷は多摩川遊園といった広場や運動グランドなっていて普段からこの辺りは犬の散歩や遊んだりする子供達などで歩く人も多いのですが、桜の時期には更に増えます。そして休日の昼間などには大きな桜の木の下で花見をする人も多く見受けられます。

またこの辺りの桜の中には早咲きの河津桜も少し混じっていて、ソメイヨシノよりも一ヶ月ぐらい早く桜を楽しむこともできます。

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河川敷というのは日当たりがいいので、冬でも風のない日は比較的ポカポカして気持ちのいい場所です。砧公園でも日当たりのいい場所にある桜から開花していくように、桜というのは日当たりのいい場所の方が早く咲きます。そういった意味で太陽の光を遮る障害物のない川沿いの桜は絶好の場所とも言えます。

でも都内で最も早く咲く桜として知られているとの事ですが、実際のところはどの程度認知されているのでしょうか。ニュースなどでも取り上げられているのでしょうか。それとも過去の話となったのでしょうか。ちょっと疑問に感じる部分です。

それに暖かい日が続くと真っ先に咲きそうな桜ですが、寒の戻りと重なると川辺に吹く風は内陸以上に冷たく、むしろ土手の方が寒くなります。そういう気象条件と重なった場合はこちらの桜の方が遅く咲くといった事もあるような感じです。

<せたがや百景 No.79 多摩川土手の桜 2008年7月初稿 - 2015年10月改訂>