世田谷散策記 せたがや風景資産のバーナー
松陰神社通り商店街ののぼりの写真

せたがや地域風景資産 No.2-8

元気でやさしい松陰神社通り

松陰神社通り商店街では、人にやさしい商店街として、バリ アフリー型の道路整備や、各店舗のソフト面で取り組みを通して、誰もが楽しめる賑わいのある商店街の風景が生み出されています。(紹介文の引用)

・場所 : 世田谷線松陰神社駅周辺
・登録団体など : 元気でやさしい松陰神社通りまちづくりの会
・備考 : 萩・世田谷幕末維新祭りは第四週末、その他のイベントなどは公式サイトを参照。

*** 元気でやさしい松陰神社通りの写真 ***

松陰神社通りの写真
松陰神社通りの案内板

灯ろうっぽいというか、神社の参道っぽい感じです。

松陰神社通りの写真
藩士の紹介プレート

さりげなく道路脇にあります。

松陰神社通りの写真
商店街の様子

道路の真ん中に排水溝があります。

松陰神社通りの写真
商店街の様子

緩やかなカーブが旧道っぽい雰囲気をだしています。

松陰神社通りの写真
アーケードのあるお店

昭和を感じる雰囲気です。

松陰神社通りの写真
世田谷線松陰神社駅

小さな駅です。

幕末維新祭りの写真
商店街のマスコットしょーいん君

子供を襲っています・・・

幕末維新祭りの写真
しょーいん君捕まる!

子供を襲ってはいけません・・・

幕末維新祭りの写真
商店街を進む松陰神社の神輿1

商店街の渡御はかなり盛り上がります。

幕末維新祭りの写真
商店街を進む松陰神社の神輿2

商店街が一体となって盛り上がります。

* 元気でやさしい松陰神社通りについて *

世田谷通りから松陰神社に続く道が松陰神社通りで、途中に世田谷線の松陰神社駅があります。この通りの両脇には商店が続き、松陰神社通り商店街を形成していると同時に、松陰神社への参道となる道でもあるので、門前町的雰囲気も少し感じます。

またこの付近の若林町域は道路事情が悪いことで知られる地域で、あまり大規模な開発が行われていなく、下町っぽい雰囲気がする地域です。そういった周辺事情も合わさって、松陰神社通りは門前町のような、下町っぽいような、でもきれいに整備されているので今時の商店街っぽいようなといった様々な雰囲気を感じる通りとなっています。

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松陰神社通りのある若林3丁目、4丁目はかつての農道の名残から細く曲がりくねった道や袋小路が多く、ごみ収集車が入れない場所では軽トラックにゴミを載せて運んだり、救急車が入らない場所では徒歩で患者のいる場所に向かわなければならなく、タクシーを呼んでも家の前まで来てもらえないなどと不便極まりない地域です。道路事情の悪さからカーナビの実車検証の場にもされるぐらいです。

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また住宅が密集している事で、防災面での懸念があります。火事が起きたら消防車が入りにくいのもあって、延焼が起こり、大規模火災につながりかねません。しかも区役所のお膝元という土地柄、万が一大規模な災害が起きたときに区役所周辺に避難してきた人達が大規模な火災や輻射熱の影響によって二次被害を受けたり、区役所の機能がマヒしてしまう可能性もあります。

今後の町造りの方針として、新しい建築基準として「若林3・4丁目地区防災街区整備地区計画」の指定を区から受けていたり、地域の環境を良くするために「若林街づくり協議会」が住民によって結成されているのもこの地域の独特の事情です。

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そういった中、松陰神社通り商店街を中心とした地域では、「元気でやさしい町」、「ふれあいの生まれる町」、「だれもが安心して歩ける町」にすることを目的とした「元気でやさしい松陰神社通りまちづくりの会」という協議会が結成されました。誰もがということで、お年寄り、障害を持った人、子供、おなかに赤ちゃんがいるお母さんなどが歩きやすく、そして買い物がしやすいといったことを念頭に、商店街を中心にバリアフリーの街づくりを目指しました。まずは商店街が率先して住みやすい街づくりをといった感じだったのでしょう。

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その例として一番目に付くのが、排水を道路中央に設けていることです。このことで店舗前敷地と道路の段差がほぼなくなり、車いすだけでなく、ベビーカー、高齢の方、松葉杖の方にもスムーズに店舗への出入りができます。また店舗敷地と道路が一体となり、店のワゴン、看板も敷地内に収まるようになり、歩行者の空間が広がりました。

そして目の不自由な方の点字ブロックも商店街の道路幅に合わせ、通常より幅の狭いリーディングラインを設置しています。素人目には単純に排水の溝が2つから一つになるわけで、大雨のとき大丈夫だろうかといったことを心配してしまいますが、恐らくちゃんと計算して造られているので問題ないかと思います。

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また、視覚障害者の方も楽しく買い物できるように手持ちのAMラジオから店主の声で店の案内が聞こえてくる「音のウインドウショッピング」という試みも一部の店で行っています。もちろん基本の道路にはみ出した商品や看板をなくす運動も行っています。

こういった試みや工事は東京都の「ユニバーサルデザイン福祉のまちづくり推進モデル事業」として平成16年から平成19年にかけて行われました。その他、吉田松陰をモデルにした「しょーいん君」をはじめ「しんさくくん」「げんずいくん」というマスコットがいたり、街灯の柱に長州藩士の紹介文が取り付けられていたりするのも面白い趣向です。

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また松陰神社通りで忘れてはならないのが、毎年10月27日の吉田松陰の命日に近い第四週末に行われる「萩・世田谷幕末維新祭り」です。世田谷区内で行われるイベント中でも大規模な部類に入り、多くの人が訪れます。

目玉となっているのは幕末の志士と奇兵隊パレードで、世田谷区役所から始まり、そして松陰神社通りを練り歩いて松陰神社に向かいます。松陰神社では幕末の活劇が行われたり、地元の団体による演奏や演技が行われたりと多くのイベントが行われ、また萩物産展、会津物産展といったものも大盛況です。

そして2年ごとに神社のお神輿が若林の町を練り歩きます。夕方松陰神社通りを通って宮入りする様子はとっても賑やかで、担ぐ人、声援を送る沿道の商店街の人と、通り全体が一体となってまさに元気な松陰神社通りとなります。

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平成22年に行われた第6回東京都商店街グランプリではこの「萩・世田谷幕末維新祭り」で優秀賞として表彰されています。また第3回のグランプリでも「元気でやさしい商店街づくり ユニバーサルデザインの商店街づくり」でも優秀賞に選ばれています。

これは東京都が都内の商店街が取組む優れた活性化事業を審査し表彰するもので、世田谷区内では祖師谷のウルトラマン商店街が2回、下北沢商店街連合と梅が丘商店街が一回受賞しています。今のところグランプリ(大賞)を取った商店街はないので、ぜひ今後に期待したいところです。

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世田谷には多くの魅力的な商店街があります。商店街はそれぞれの土地の文化的背景を表していることが多く、地域ごとにそういった様子を感じながら散策すると楽しかったりします。ですからどの商店街がいいとか、素晴らしいとかという評価はしにくいものですし、歩きやすさとか、店の充実度などといったものを細分化して点数方式とした評価は専門家のすることで、旅人(散策人)の範疇ではありません。

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ここの商店街の売りはバリアフリーに積極的に取り組んでいるところです。でも正直言って散策者にとってはバリアフリーというのは全く気にならないといか、気がつかないで立ち去ることも多々あります。しかしながらそういったものに真剣に取り組んでいることは、普段から訪れるお客様のことを考えていることであって、もてなしの心があるということです。そういったもてなしの心を持った町の雰囲気はいいもので、散策していても自然と肌で感じます。

そして後で調べて、バリアフリーに取り組んでいたんだと知ることが多かったりします。この松陰神社通り商店街も私の中ではそういった種類の商店街で、歩いていてとても雰囲気よく感じ、また昔ながらの下町っぽい雰囲気や風景が残っていて、散策をしていても楽しいと感じた商店街の一つです。

<せたがや地域風景資産 No.2-8、元気でやさしい松陰神社通り 2011年7月初稿 - 2015年10月改訂>