祖師谷中橋
上祖師谷2丁目~6丁目に架かる橋平成4年に現在の橋に架け替えられた人道橋である。仙川沿いには遊歩道の整備がされ、祖師谷中橋で休憩する人も多い。 仙川には渡り鳥が飛来するなど都市の貴重な自然的環境ともなっている。橋は川の自然を観察する場所等としても適している。 (紹介文の引用)
1、祖師谷中橋について

滝坂道の宮下橋に設置されています。
古くからの街道、滝坂道が仙川と交わる部分に架けられている橋は、宮下橋です。宮の下の橋ということで、橋の傍の丘の上には、せたがや百景に選ばれている上祖師谷神明社があります。
その神社の街道沿いには、石橋供養塔が置かれています。明和4(1767)年に建てられたもので、おそらく、古くなって架け替えた宮下橋への感謝と、長年人々の役に立ってきたことをねぎらうために、上祖師谷村の住民が設置したものでしょう。

今まで何個のボールが仙川に流れていったのでしょう・・・。
この宮下橋の北側には、駒澤大学の野球練習場と祖師谷寮があり、練習時間に通りかかると、選手の掛け声やノックの音が響いてきます。
駒大といえば、正月の箱根駅伝が有名ですが、野球部も以前はそこそこ強かったように記憶しています。
最近はどうなっているのでしょうか。よく分かりませんが、2014年には駒大野球部出身の監督が、DNAの中畑監督と広島の野村監督と、2人も采配を振るっていました。プロ野球界ではエリート校?なのかどうか知りませんが、それなりの野球部と言えるのではないでしょうか。
ちなみに、上祖師谷神明社のお祭りのときには、お神輿を担ぐために手の空いた野球部員が狩り出されているのは、この地域ならではと言えるかもしれません。

ガラスがはめ込まれたアーチが特徴の橋です。
この宮下橋の一つ上流側、ちょうどグラウンドの裏手の道に、祖師谷中橋がかかっています。車は通れず、歩行者や自転車用の橋です。
この橋は、西側の部分にガラスのタイルを利用したアーチが取り付けられているのが特徴です。
公衆トイレなど水場でよく見る感じのデザインなので、そう感じるのかもしれませんが、清潔感があるというか、ちょっと涼し気な感じを受けます。

オレンジ色の棒が取り付けられています。
あと、目を引くのが、橋の下流部側だけオレンジ色の長い棒が取り付けられていることです。
何を意図してデザインされたものかわかりませんが、これはちょっと微妙ではないでしょうか。田舎だと、こういった感じでホースを使う場面をよく見かけるので、どうにもホースにしか見えません。なので、ホースを出しっぱなしにして・・・といった場面が頭に浮かび、だらしなく感じてしまいます。

橋の奥にある建物は個人のお宅です。
アーチ部分の背後にはおしゃれな洋館が建てられています。最初は何かの施設というか、この橋と関係あるのかと思ったのですが、近づいてみると個人のお宅でした。
橋に合わせて建てたものなのでしょうか。対岸から眺めると、このお宅のために祖師谷中橋が架けられたように見えるぐらい、よく風景的に合っています。笑
その辺の事情はよく分かりませんが、このお宅の門のところにデザイン賞だったかかのプレートが誇らしげに飾られていました。

*国土地理院地図を書き込んで使用
この祖師谷中橋が造られた経緯を書くと、1990年頃から始まった仙川の大規模な治水工事で、流域の多くの橋が架け替えられることになりました。
その際に世田谷区で計画された「仙川6橋の橋作りプロジェクト」の一つとして、この祖師谷中橋が建造されました。

ありふれた都会の川といった感じです。
しかしながら、行政サイドの都合で、この「仙川6橋の橋作りプロジェクト」は途中で中断になってしまったようです。予算オーバーでしょうか・・・。バブルが弾けてしまった時期でもありますし・・・。
実際、この付近に架かっている橋は、祖師谷中橋以外は、目を引くほどのデザイン性に飛んでいません。黒橋や灯篭が置かれている宮前橋ぐらいが、少し特徴あるかな・・・といった感じです。

近くで見ると結構亀裂が入っています。
祖師谷中橋の設計者は、ステュディオ・ハン・デザインによるものです。
予めPCコンクリートの桁が設定されていました。それをふまえて、密集した住宅地域のたたずまいに仰々しいデザインやモニュメント性は相応しくないので、個性的なデティールを散りばめた軽やかなデザインの橋となったようです。
確かにその通りですね。控えめのデザインだからこそ橋が周囲に溶け込んでいる感じがしますし、風景のアクセントになっているものの、周りの景観を壊すような仰々しさはありません。また、他の橋と少し違うアクセントがあることで、渡る楽しさがあります。

距離がわかりやすく書かれていて、散歩に良さそうです。

川沿いのお宅の生垣が素晴らしいですね。

一つ上流の橋になります。

白色のみどり橋やゴルフ練習場のフェンスが見えます。
仙川沿いはウォーキングコースにもなっています。祖師谷中橋付近は車道と被っていますが、少し歩くと歩行者専用の遊歩道になっています。
この遊歩道は川に面する側に植栽をするなど、川の風景に対して住宅を閉じないような工夫がされていて、川辺らしく開放感を感じられます。
また、歩きやすいように案内板が設置されていたり、目標やアクセントとなる橋もあるので、雰囲気がいいだけではなく、歩くことに魅力的な遊歩道になています。
祖師谷公園の親水テラスも含め、この付近の仙川自体は、コンクリートの護岸で固められ、実に都会的な殺風景な川となっていますが、橋を含めた周囲の風景は、親しみのある風景となっていて、けっこう魅力的な界わいとなっているように感じます。
2、感想など

ゲートをくぐって橋を渡るというのは気分的に楽しいものです。
仙川に架かる祖師谷中橋。アクセントのようなデザインが施されています。これを面白いと感じるか、無駄と感じるか、中途半端と感じるか、特に何も感じないかは、人それぞれだと思います。
結構、意見が分かれそうな気がしますが、私的にはアーチ状のゲートをくぐることで、橋を通過した感覚が強調されることが好きです。無駄とも感じてしまうような些細なデザインですが、日常に遊び心を持てるのは楽しいですし、そういったことを感じる心の余裕も欲しいものです。
もし「仙川6橋の橋作りプロジェクト」が遂行されていれば、雰囲気のいい仙川沿いの遊歩道の散策が、もっと素敵なものになっていたのに・・・と思うと、ちょっと残念に思ってしまいました。
せたがや地域風景資産 #1-32祖師谷中橋 2025年5月改訂 - 風の旅人
・地図・アクセス等
・住所 | 上祖師谷2丁目~6丁目に架かる橋 |
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・アクセス | 最寄り駅は京王線千歳烏山駅、仙川駅。駅から離れています。 |
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