世田谷散策記 せたがや百景のバーナー
せたがや百景の案内板の写真

せたがや百景 No.77

兵庫島

昔、新田義興が謀られて最期を遂げたとき、同じ船に乗っていた家臣、由良兵庫助の屍が流れついたところから、兵庫島といわれるようになった。この小島からずっと河川敷がつづき、野球場、サッカー場、テニスコート、ピクニック広場などのある二子玉川緑地運動場になっている。水辺に広がるスポーツ、レクリエーションゾーンとして多くの区民に利用されている。(せたがや百景公式紹介文の引用)

・場所 : 玉川三丁目付近の玉川河川敷
・備考 : ーーー

*** 兵庫島の写真 ***

兵庫島の写真
兵庫島の入り口(兵庫橋)

野川に架かる橋です。

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新二子橋から見た兵庫島公園

緑の多い丘を中心とした公園になっています。

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兵庫池

底がコンクリートの人工の池です。

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兵庫池にかかる橋

こんもりした部分がかつて島だったのでしょうか。

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兵庫島の内部

丘の中は緑が多いです。

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藤棚

くつろげるようになっています。

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ドナウ川との友好記念の碑

彫刻家「鈴木政夫氏」の制作レリーフ

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多摩川八景の案内板

昭和59年に選定されたものです。

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若山牧水の歌碑
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手作り郷土賞の碑
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多摩川水神様

2014年に訪れたらなくなっていました。

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売店と新二子橋
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人口の小川で遊ぶ人々
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人工の流れの始まり地点
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多摩川の河川敷と二子橋

多摩川を見ながらのんびりとしている人が多いです。

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河川敷の石

落書きされた石が多かったです。

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兵庫島から見る二子玉川駅

駅のホームが川の上にあります。

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休日の対岸の河川敷

川崎側はバーベキューができるので賑わいます。

* イベントなど *

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花みず木フェスティバル

この日は多くの人が訪れます。

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246ハーフマラソン

島がコースになっています。

* 兵庫島について *

正平十三年(1358年)に新田義貞の次男である新田義興一行が新田家再興のため鎌倉へ向かっている途中、矢の口の渡し(*矢口の渡し(大田区)と矢野口の渡し(調布)の二説あります。)で多摩川を渡っている最中に敵軍の策略を受け、一行は殺されたり自害して全滅してしまいました。

中でも義興の従者である由良兵庫助、新左衛門の兄弟は、舳先に立ち、刀を逆手に取り直して互いに自分の首を切り落として壮絶な自害を遂げたそうです。その死体は多摩川を流れていき、流れ着いたのがこの二子玉川の小島で、土地の人が祟りを恐れてこっそりと島に供養し、その後兵庫島という名で呼ばれるようになったとか。その兵庫島を昭和63年に世田谷区が整備し、公園にしたのが兵庫島公園です。

ちなみに世田谷区にはもう一つ新田義興一行についての不確かな史跡があります。それは松原にある半田塚で、多摩川で戦って敗れた残党十五、六人がこの地までたどり着いて息絶えたという謂われが残っています。

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東急二子玉川駅はホームが多摩川にせり出して設置されているユニークな駅です。ちょうど駅の架橋付近が兵庫島公園の南端になります。ただ兵庫島と名前に島がついていますが、現在の兵庫島は島ではなく、多摩川と支流の野川の合流点に位置する陸続きの河川敷です。

この付近は多摩川と野川のデルタ地帯である為、洪水や大雨の度に島の形が変わったり、川筋が移動したりしてきました。2015年の豪雨時に兵庫島が完全に孤島となった様子がテレビで流れましたが、そういったことが起きる度に地形が変わっていったと想像できます。

それは大昔の話でしょっと思うかもしれませんが、いやいや、百景の選定以前の写真を見ると、まるで東南アジアの川といった表現が大袈裟ではないようなデルタ地帯となっていました。河川敷には貸しボート屋が営業していて、海の家のような休憩所があり、バスも直接河川敷に停まっているといった状態。今も昔も河川敷でくつろいだり、楽しんだりするという感覚は一緒なのですが、絵的にあまりにも違いすぎてちょっとビックリしてしまいました。

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兵庫島は最終的に現在のように他の河川敷と陸続きになり、そのまま護岸工事や公園化で河川敷の整備が行われたので、今後も島と名がつきながら河川敷であり続けるはずです。その兵庫島への入り口は二子橋の北側にある兵庫橋になります。この辺りではよく釣りをしている人を見かけますが、一体何が釣れるのでしょうか。一応この橋の辺りは野川という事になりますが、昔の汚かった都市河川では考えられないことです。これも河川がきれいになった証拠なのでしょうね。

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兵庫橋から渡ると小高い丘があります。この部分が昔からの兵庫島の部分のようです。この丘には伝説の由良兵庫助のお墓が・・・と期待したいのですが、残念ながらありません。あるのは幾つかの石碑などで、まず目に付くのがドナウ川との友好記念の碑です。

これは世田谷区が昭和60年(1985年)5月にウィーン市ドゥブリング区と姉妹都市提携を結び、この交流が発展し、昭和61年(1986年)10月に世田谷区とウィーン市との共同宣言により、多摩川とドナウ川が日本で初めての「友好河川」になったそうです。それを記念し、また両都市の市民の友情の証として、更には多摩川もドナウ川もいつまでもその美しい流れを守り続けようという誓いのシンボルとして、ここ兵庫島に設置したとか。

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その他では多摩川八景の案内板もあります。これは国土交通省が多摩川への関心を高め、河川環境整備の方向性を探ることを目的として、市民の投票をもとに昭和59年(1984年)4月に選定したものです。兵庫島の他には上流から「奥多摩湖」「御岳渓谷」「玉川上水」「秋川渓谷」「多摩川大橋付近の川原」「多摩川台公園」「多摩川の河口」です。選定時期がせたがや百景と同じなので、今では・・・といった部分もあるのはしょうがないことですね。

後は若山牧水の歌碑や藤棚、東屋やトイレが設置されています。わかりにくいところに一応多摩川水神様の祠があったのですが、2014年に訪れた時には御神体のような石が置いてあるだけでなくなっていました。その祟りですかね。2015年の豪雨は。昔だったらそうなって撤去した者が咎められ、新たに大きな水神様の祠が建てられ、どうか二度とこのようなことは・・・ってな運びになりそうです。

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小高い丘の周りには兵庫池があります。真ん中付近が狭まって橋が架けられているといった典型的なヒョウタン型の池ですが、池の底はコンクリートで固めてある完全な人工の池です。場所柄大雨で水没したときなどに掃除がしやすい為だとか。

池の周りには開放的な芝生の広場や子供の広場、川の流れ近くは砂利広場があり、座ってくつろげるようになっています。その他にも人工的な水辺を造った枯れ流れや野草の広場があり、川べりでのピクニックだけではなく、水遊びや散策が楽しめるようになっています。

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兵庫島公園の北端は国道246号の新二子橋の北側の広場までで、それより先はグラウンドが沢山並ぶ二子橋公園と別の公園になります。といった感じでシンプルな公園ですが、川辺の立地を生かした開放感ある公園になっている印象を受けました。

それに二子玉川の駅や玉川高島屋から近いという交通の便の良さも魅力的です。季節のいい休日には玉川高島屋などでお弁当購入して、芝生などでピクニックをしている家族連れの姿も多く、地元はもとより広い地域の人々が憩いと安らぎを求める場となっている感じがします。もちろん平日は近くで働いている人が休憩時間に利用したり、学生が帰宅前にくつろいでいたり、子供を連れたお母さんの姿も多いです。

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それから平成11年より条例で兵庫島公園を含めた河原ではバーベキューや花火打上などの火気使用は全面禁止となっています。これはかなり徹底されていて河原や近くの路上駐車を取り締まる巡回パトロールを行っています。

理由は・・・、テレビでも度々取り上げられたぐらいなので書くまでもないと思いますが、あまりのマナーの悪さです。ゴミは放置し、深夜まで大音量で音楽を鳴らしたり、花火を打ち上げたりといった行為が多発したからです。とりわけ二子玉川駅周辺の河川敷にはバーベキュー、花火禁止と書かれた看板がこれでもかというぐらい設置されています。

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以前はゴールデンウィーク付近の休日には兵庫島や付近の河川敷が人で埋まるぐらいのバーベキュー客がいました。今では条例が守られつつあるので、バーベキュー客は規制のない川崎側の方で行っています。だから休日になると二子玉川からバーべキュー用の荷物を持った人々が二子橋をぞろぞろ渡っていくといった光景が繰り広げられます。

もちろんマナーが改善されているはずもなく、テレビで知るところによると川崎の方ではバーベキュー無法地帯となっていました。ただ、今では川崎側でも条例が制定され、指定された場所でしか行えなくなり、しかも有料となりました。かなり改善されたのではないではないでしょうか。

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イベントとしては、毎年4月29日に「花みず木フェスティバル」が兵庫島公園をメイン会場として、二子玉川の町全体で行われます。これは花みず木の町二子玉川の町おこしといったイベントで、苗木が配られたり、小さな舞台が設置されてちょっとしたステージイベントが行われたりします。詳しくはNo.80の「はなみずき並木の二子玉川界わい」に載せています。

8月には玉川花火大会が行われますが、兵庫島からでは世田谷側の花火にしても、川崎側の花火にしても橋が邪魔なので見にくいはずです。また11月に行われる246ハーフマラソンではランナーが兵庫島を激走していきます。ここが公式なマラソンのコースになっているのには驚きました。

<せたがや百景 No.77 兵庫島 2009年4月初稿 - 2015年10月改訂>