世田谷散策記 ~せたがや百景~

せたがや百景 No.76

新二子橋からの眺め

多摩川を真中に左右に世田谷、川崎のまちの眺望がひらけ、さらに上流の光景も目に入ってくる。ふだん住みなれたまちなかでは感じられない、もう一つのまちの姿だ。このパノラマ風景を見ていると、河川や地形がまちの形成に深く関わっていることが納得できる。(せたがや百景公式紹介文の引用)

・場所 :国道246号線の多摩川高架橋
・備考 :ーーー

***  このページの内容  ***

line line

広告

* 二子橋と新二子橋について *

新二子橋の写真
新二子橋と二子橋(奥)

新二子橋と二子橋はそんなに離れていません。

多摩川はかつて暴れ川と異名をとったほど、洪水の多い川でした。また江戸の最終防衛ラインとなっていて橋がかけられなかった歴史も持っています。

そういった経緯もああるのか、改めて地図を見てみると、世田谷区から多摩川にかかっている一般の橋は二子玉川にある二子橋と国道246号バイパスに造られた新二子橋しかありません。

その他にも橋は架かっているのですが、それは第三京浜や東名高速といった自動車専用道路の橋が二つ、東急田園都市線の鉄道橋が一つと一般の人が気軽に対岸と通行ができない橋です。対岸に渡ろうと思うと結構不便です。

二子玉川 初代二子橋の親柱の写真
初代二子橋の親柱

二子玉川の花水木広場に置かれています。

新二子橋は現在の国道246号線にかかっている橋です。「新」と付いていることから「旧」もあるわけで、旧道の大山街道にあたる二子玉川駅前から高津の商店街に続く通り沿いにかかっているのが二子橋です。

こちらは大正14年に初めて橋が架けられ、それまでの二子の渡しに取って代わりました。

その後電車の軌道も施設され、昭和53年には交通量の増加に伴い拡張工事が行われ、現在に至ります。初代の橋に使われていた親柱は二子玉川の花水木公園と川崎側の渡った先にひっそりと飾ってあります。

二子橋下のお地蔵様などの写真
二子橋下のお地蔵様など

橋の下にひっそりと祀られています。

二子橋は旧道になった今も交通量が多く、いつも車の列ができている感じです。そんな賑やかな橋の下、何気なく通ってビックリしました。橋の下に南無阿弥陀仏の碑とお地蔵さまが祀られていました。

一体何があったのでしょう。橋の工事での事故、洪水など思いつきましたが、なんというか、橋の下にあるとその辺にあるのと違って不気味に感じてしまうもので、調べずに立ち去ってしまいました。

新二子橋の写真
多摩川に架かる新二子橋

デザインも佇まいも面白味に欠ける橋です。

新二子橋の方は、国道246号のバイパス化に伴って1974年(昭和49年)3月に施工が始まりました。

実際に供用が開始されたのはその4年後の昭和53年6月と、これは橋自体の工事よりもバイパス全体の工事が長引いたようです。

橋の建築方式は鋼鈑桁橋で、橋長は577.9m、幅員は33.3mです。

新二子橋の上の写真
新二子橋の上で(二子玉川方面)

側道が設けられていますが、車では通ることができません。

この新二子橋を渡るには車だと瀬田の交差点から、歩行者は高島屋の裏側、二子玉川商店街付近から橋に上がっていきます。不思議なことに実際には使用されていないのですが、この橋の途中には側道が設けられていて、二子玉川の商店街付近に通じています。

どう考えても車が二子玉川に降りれるようにと造ったと思われるのですが、降りた先に246号から流れた車の量を吸収しうる大きな道がなく、現在では歩行者用の中途半端な歩道になっています。

一体これは・・・買収計画の失敗?構造状の欠陥?色々と思いつきますが、税金の無駄使いであるのは確かです。今後玉川高島屋を壊して再開発をする気なのでしょうか。そうこうしているうちに耐久年数が過ぎてしまいそうです。

新二子橋の白バイの写真
新二子橋の白バイ

白バイがうようよしています。気を付けましょう。

この橋の上は長い直線で高速道路並にスピードが出やすくなっています。そのため県境の橋なのによく白バイが取締りをしている事でも有名です。スピードはほどほどにしましょう。

特に原付はよく捕まっています。とはいえ路肩のない狭い橋の上を30kmで走るというのは恐怖そのもの。ゆっくり走ると身の危険を感じ、スピードを出すと違反や罰金の危険を感じなければならなく、50㏄の原付にとっては走りにくい道かと思います。

時間はかかりますが、二子橋の方を渡るのが無難ですし、そういう人も多くいます。遠回りする勇気やゆとりを持つことも人生においてのリスク管理の一つかと思います。

広告

* 新二子橋からの眺め *

新二子橋からの眺めの写真
新二子橋からの眺め

左が川崎、右が二子玉川になります。

多摩川によって世田谷区と川崎市が区切られています。というより、多摩川下流域では多摩川によって東京都と神奈川県が区切られています。

世田谷区と目黒区といったような区境と違って、やはり県境ともなると、気持ち的に対岸はちょっと違った世界に感じてしまいます。川を渡って東京側を眺めても同じような風景なのですが・・・。やっぱり違う県といった気持ちの問題なのでしょう。

とはいえ、橋を渡ると家賃が安くなるというのも現実的な事柄なのかもしれません。学生時代、親の仕送りで世田谷に下宿していた人が、新入社員となり初めて自分でアパートを借りるときなど、川崎側の値段に魅力を感じる人も多いです。

でも私の周りでは少しぐらい高くても、少しぐらい駅から歩いても世田谷を選んでしまう人が多かったりします。理由は住みやすいとか、雰囲気がいいからだとか。そう言われると、ちょっとうれしかったりします。

二子玉川と川崎を眺めるの写真
二子玉川と川崎を眺める

鎌田のあたりから見ると、二子玉川の再開発以前は川崎の方が栄えている感じでした。

百景的に見てみると、二子橋と新二子橋は位置的にはすぐそばにかかっています。根本的な眺めならどちらでもいいように思いますが、新二子橋はかなり高い高架橋になっているので眺めのいいこっちの橋が選ばれたと思います。

しかしながら先に書いたように、現在では橋からの眺めの左右がそんなに違って見えることはないと思いますし、そもそも「町の形成が・・・」というにはちょっと視線が低すぎるように思えます。

二子玉川に新しくできたライズタワービルとか用賀ビジネススクエア、もしくはヘリコプターで上空から見たならちゃんと川の流れがわかるような気がしますが・・・。

それに現在では両岸に堤防が整備され、河川敷はきれいにグラウンドに整備されているので、川の流れも人工的で歴史的な事を想像できる状態ではないと思います。

新二子橋からの富士山の眺め
新二子橋からの富士山の眺め

パッと見はきれいに見えますが、電線やらマンションが被っていまいちでした

また、晴れていれば橋の上から富士山を見る事もできます。世田谷から川崎へ向けて走ると下り坂になっているので、目の前にぱっと見えていい感じです。

バイクで西へ向かう時には今日の神奈川の方はいい天気だなといった安心感にもなります。

ただ改めて自転車で訪れてみると、ちょうど送電線と被ってしまい絵的にはいまいちかなといった感じでした。

* 感想など *

新二子橋から見た二子玉川再開発の写真
新二子橋から見た二子玉川再開発

夜景ポイントとして良さそうな感じです。

船で行き来していた川に橋が架かると、行き来が楽になり、往来が活発になります。そして対岸との風景や文化の差がどんどん縮まっていきます。

文化的には近くなっても、隣の芝生が青く見えるというか、明確な境界線である川を隔てると対岸の様子が気になるもので、ライバル心を必要以上に持ってしまうものです。二子玉川が大きく再開発し、聳えるようなビルが建ち並んだ今、それを見ている川崎側の方も次は我が町だといった感じで変わっていくのではないでしょうか。そんなことを思いながら橋の真ん中で両岸の町の様子を眺めてみてみてはどうでしょう。

せたがや百景No.76 新二子橋からの眺め
ー 風の旅人 ー
2018年4月改訂

広告

* 地図、アクセス *

・住所鎌田1丁目 厚木街道
・アクセス最寄り駅は田園都市線二子玉川駅。
・関連リンクーーー

広告

***   類似・関連項目   ***

***   関連カテゴリー   ***