世田谷散策記 せたがや風景資産のバーナー
せたがや地域風景資産のロゴマーク

せたがや地域風景資産 No.2-5

大ケヤキのある円泉ヶ丘公園

国立小児病院跡地につくられた新しい公園です。だれもが使いやすいユニバーサルデザインに配慮され、かまどベンチなどの設備も備わっている、まさに地域の防災の要となっている公園です。(紹介文の引用)

・場所 : 太子堂3丁目
・登録団体など : 太子堂本町会、せた がや郷土史研究会
・備考 : ーーー

*** 大ケヤキのある円泉ヶ丘公園の写真 ***

円泉ヶ丘公園の写真
太子堂円泉寺側の入り口

斜面の下側の入り口になります。

円泉ヶ丘公園の写真
斜面緑地にあるケヤキの木

斜面もうまく利用しています。

円泉ヶ丘公園の写真
斜面緑地のスロープ

急な坂にならないように長い坂となっています。

円泉ヶ丘公園の写真
パーゴラとかまどベンチ

丘の上部分はちょっとした広場になっています。

円泉ヶ丘公園の写真
プラザ空間とグランドヒルズ三軒茶屋

とても眺めのよさそうなマンションです。

円泉ヶ丘公園の写真
プラザ空間のベンチや遊具

子供の遊具も少し置いてあります。

円泉ヶ丘公園の写真
かまどベンチとキャロットタワー

丘の上なので眺めはいいです。

* 大ケヤキのある円泉ヶ丘公園について *

淡島通りと茶沢通りが交差する代沢十字路の東側に太子堂中学校があり、その東には日本で最初の小児専門病院だった国立小児病院がありました。この病院の歴史は古く、1899年に東京第二衛戍病院として創設したのが始まりで、戦後は国立世田谷病院となり、1965年に国立小児病院として診察を開始しています。1995年にはダイアナ妃が訪れて脚光を浴びた事を記憶している方もいるのではないでしょうか。

2002年3月には国立大蔵病院と統合する事となり、名称は国立成育医療センターと変り、場所も国立大蔵病院のある世田谷通り沿いの大蔵2丁目に移転しました。現在は独立行政法人へ移行し、国立成育医療研究センターに改称されています。

line

この国立小児病院があった場所は太子堂円泉寺のすぐ上の丘で、太子堂や三軒茶屋を見渡せるといった絶好のロケーションでした。古くから太子堂の丘にあり続けた病院だったので、太子堂の一つの顔であったのは確かです。その跡地は再利用されることになり、建てられたのはグランドヒルズ三軒茶屋という大きなマンションでした。

見た感じからして高そうだなと思ったのですが、調べてみると住友不動産の最上級グレードマンションだとか。絶好のロケーションを利用した眺めや利便性の高い立地、そして贅を尽くした外観や内装、セキュリティーなどといったものが売りで、値段を見ると普通に億単位のいわゆる億ションでした・・・。

line

そのグランドヒルズ三軒茶屋と太子堂円泉寺の間の斜面や丘の上に造られたのが世田谷区立円泉ヶ丘公園です。平成17年10月から工事が始まり、平成18年4月に完成したので、出来立ての・・・とはもう言えませんが、まだまだ新しい公園です。名前は区立となっていますが、丘の地形や眺望を活かした「みどりのオープンスペース」として都市再生機構が整備したもので、現在は世田谷区立公園として供用されている街区公園となるようです。

工事の施工にあたっては「近隣住民とともにつくる公園づくり」を基本方針とし、話し合いにより様々な創意工夫を行ったそうです。そういった経緯やバリアフリーや災害時の利用に配慮されているなどといった点が評価され、社団法人日本公園緑地協会が主催する「第23回都市公園コンクール」において、造園施工(小規模)部門で国土交通大臣賞を受賞しています。

line

この公園の特徴は、二つの違った種類の部分に分かれていることでしょうか。一つは太子堂円泉寺の裏手から続く斜面を利用した斜面緑地です。緩やかなスロープに手すりがつけてあるといったバリアフリーを備えつつ、斜面を利用した明るい雰囲気の緑地となっています。

二つ目が丘の眺望を利用したプラザ空間です。マンションと斜面の間のスペースを利用しているので、そんなに広い空間ではありませんが、芝生が植えられていたり、パーゴラやベンチが設置されていたり、子供の遊具が置いてあり、日当たりもいい事から気持ちのいいオープンスペースとなっています。なにより三軒茶屋方面の眺めは抜群です。

line

また、LED埋込み式誘導灯、ソーラー時計台、井戸手押しポンプ、かまどベンチ、簡易防災トイレ(マンホール)などといったものがさりげなく設置されていて、都市公園らしく防災活動拠点の機能が備わっています。ここから数百メートル離れたところに同じように防災設備の整った三宿の森緑地もあるので、住宅や集合住宅がひしめき合っている事で有名な三軒茶屋周辺ですが、近くにこういった施設が幾つかあるといざというときには安心ですね。

それからタイトルにある大ケヤキですが、かつては区役所辺りからも見える程の大ケヤキがここにあったそうです。今でも何本か保存樹のケヤキが植えられていました。

line

といった感じで、この円泉ヶ丘公園はきれいで、眺めがよくて、防災設備がそろっていて、バリアフリーなどといった配慮も行き届いていてと完璧ともいえる公園ではないでしょうか。でもここの素晴らしいところは防災拠点とか、バリアフリー的なものよりも、せたがや地域風景資産のガイドブックにある、「新住民が増える中、コミュニティの拠点としても期待が高まっています。」ということでしょうか。

実際にどれほどうまくいっているのか分かりませんが、元々暮らす人と新しくできた集合住宅の住民との対立というか、壁ができてしまうことはよくある話です。施工にあたっては「近隣住民とともにつくる公園づくり」ということで話し合いが行われたようですが、完成した後も同じように公園をテーマに人々が話し合い、つながり合えているのならいいことだと思います。

<せたがや地域風景資産 No.2-5、大ケヤキのある円泉ヶ丘公園 2011年6月初稿 - 2015年10月改訂>