旅人が歩けばわんにゃんに出会う タイトル
旅人が歩けばわんにゃんに出会う ~ ユーラシア大陸横断編 ~

#42 電車を待つワンコ

タイ バンコク 2001年9月
Bangkok,Thai / Sep.2001
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タイ、バンコク 駅のホームと人々の写真
駅のホームと人々

バンコク(Bangkok / กรุงเทพมหานคร)、Thai Sep.2001

バンコク市内を歩いている時のこと。ふと鉄道駅のホームを見ると、人々に交じってワンコがさりげなく電車を待っていた。

タイ、バンコク 電車を待つわんこの写真
電車を待つわんこ(上の画像の拡大)

目を凝らしてよく見ると、多くの人々に交じって、ワンコがちょこんと電車の到着を待つ姿が見て取れる。

ワンコも電車に乗ったりするのだろうか……。ここは微笑みの国、タイ。野良犬にやさしい国なので、そんなメルヘンな情景が頭をよぎるのだが、現実的にはもちろん、そんなことはない。

そもそも、ホームで待っている人たちの様子をよく見ると、どこか違和感がある。電車を待っているせわしない雰囲気ではなく、実はみんなで集まって夕涼みをしているのだ。

ワンコも人間に交じって駅のホームで夕涼み中。というよりは、人間が多くいるので、「何かもらえたり、構ってもらえないかな……」といった期待を胸にやってきたのだろう。

タイ、バンコク 線路沿いの集落の写真
線路沿いの集落

この場所は、バンコクの中央駅となっているフアランポーン駅の少し北側。本線と支線が分岐する地点で、ちょうどヨマラート交差点の付近にあたる。

このあたりは線路沿いに家が建ち並んでいて、ちょっとした集落を形成している。言葉を選ばずに言うなら、いわゆるスラム街と呼ぶべき場所なのだろう。

タイ、バンコク 線路沿いの集落の写真
線路沿いの集落のワンコ

生活の場のすぐそばを列車が通過していく様子や、線路がまるで道路のように使われている光景は、日本ではまず見ることがない。非日常的な情景に、私はすっかり物珍しさを感じてしまった。

とはいえ、そこは人々が日常を暮らしている場所だ。よそ者がウロチョロしていると当然目立つ。あまり奥の方へ入らないように散策していると、また別のワンコを発見した。

写真を撮りたいけれど、目立つのは気が引ける。でも、どうしても撮らせてもらおう――。そう思ってカメラを向けるのだが、ワンコだけでなく周囲の住民からの注目も浴びるため、なかなか緊張する。おまけに周囲が薄暗かったこともあり、写真は少々手ブレしてしまった。

タイ、バンコク フアランポーン駅の写真
フアランポーン駅

線路沿いに集落があり、線路が道代わりになっていることにも驚いたが、実はもっと驚いたことがある。

それは、自分が列車に乗っていた時のことだ。フアランポーン駅に到着する直前、線路は多くのポイントに分かれるため、列車は安全のためにとてもゆっくりと走る。すると、なんとこのタイミングで、走行中の列車からひょいひょいと飛び降りていく乗客が少なからずいるのだ。「何てせっかちな……」というか、あまりにも危ない。

しかし、こういった環境のある国は意外と多い。そして、これを「当たり前」として生活していれば、たとえ他の国へ行ったとしても、線路に立ち入ったくらいで罰せられるとは思いもしないだろう。日本で外国人が線路に立ち入り、問題になっている背景にも、こういった根本的な文化の違いがあるのかもしれない。

世の中には、さまざまな「当たり前」が存在する。自分の物差しだけで否定するのではなく、その背景にある違いを頭の片隅に置きながら、異国の人々と接すること。それこそが旅において、そして真の国際交流において大切なことなのだと、バンコクの線路際で出会ったワンコと人々の姿から改めて気づかされた。

旅人が歩けばわんにゃんに出会う
#42 電車を待つワンコ
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