旅人が歩けばわんにゃんに出会う タイトル
旅人が歩けばわんにゃんに出会う ~ ユーラシア大陸横断編 ~

#40 カンチャナブリのわんにゃん

タイ カンチャナブリ 2001年8月
Kanchanaburi,Thai / Aug.2001
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タイの地図(*イラスト:ちゅんさん)

(*イラスト:ちゅんさん 【イラストAC】

バンコクから西に約130キロ、ミャンマーとの国境がほど近い場所にカンチャナブリがある。川と緑に囲まれた地方の都市で、のどかな印象のあるタイにおいても、特にのどかに感じる町だ。

タイ カンチャナブリ 町を歩くわんこの写真
町を歩くわんこ

カンチャナブリ(Kanchanaburi / กาญจนบุรี)、Thai Aug.2001 *All below

タイ カンチャナブリ 南国フルーツとわんこの写真
南国フルーツとわんこ

町の中心部はのどかで、古い木造の建物がある町並み、南国のフルーツが並ぶ地域の商店街の様子は、どこか昔の日本を思い出し、郷愁を誘う。

そんな町を歩いていると、さりげなくわんこが歩いていて、風景に同化していた。タイでは当たり前の日常になる。今の日本ではこういった風景はまず見られないが、昭和の時代はこういった光景もあった。

タイ カンチャナブリ 猫の丸焼き・・・、いや、お昼寝中の猫の写真
猫の丸焼き……、いや、お昼寝中の猫

散策していると、カンチャナブリ名物の猫の丸焼きを発見……、ではなく、日本で言う七輪みたいな物の上でお昼寝をしているにゃんこを発見。

寝心地がいいのだろうけど、こんなところで寝なくても……。そのまま火を点けられ、本当に丸焼きにされてしまいそうだ。どうにも危なっかしく思える。

思えば、昭和の時代のギャグアニメはそういったシーンが多かった。かの有名な「トムとジェリー」でも、こういう場面は必ず尻尾に火が付いたりしたものだ。にゃんこよ。くれぐれも気を付けるのだよ。

タイ カンチャナブリ クウェー川鉄橋の写真
クウェー川と鉄橋

さて、カンチャナブリと聞き、「馴染みのない町だけど……、その名をどこかで聞いたことがある。どういう町だっけ?」そう思った人も少なからずいるだろう。

カンチャナブリは、映画「戦場にかける橋」の舞台となった町。ここにはその象徴であるクウェー川鉄橋がある。

第二次世界大戦中、日本軍は資源が豊富な東南アジアを支配していった。開戦当初は破竹の勢いで領土を拡大していくのだが、次第に劣勢となる。そんな戦況のなか、日本軍はタイから隣国のビルマ(現・ミャンマー)へと結ぶ鉄道(泰緬鉄道)の敷設を急ぐのだが、クウェー川やその周辺での工事は難航を極めた。

タイ カンチャナブリ クウェー川鉄橋の写真
クウェー川鉄橋を渡る列車

工事に当たったのは、捕虜や現地の人。工事を急ぐあまりに過酷な労働となり、更にはコレラが蔓延するなど、多くの犠牲者を出すことになる。

その史実をもとに、戦争の愚かさや捕虜の尊厳を描いたのが名作「戦場にかける橋」である。公開は1957年。監督はデヴィッド・リーン。制作は英米の協力で行われ、第30回アカデミー賞では作品賞、監督賞など7部門を受賞している。ちなみに、映画の撮影はここではなく、スリランカで行われたそうだ。

タイ カンチャナブリ 連合軍の墓地の写真
連合軍の墓地

日本人には少し耳の痛い土地だが、戦争博物館や資料館、共同墓地などを見学すると、日本で思っている以上に戦争について深く考えさせられる。

特に印象的だったのが、「許そう、だが忘れまい」と目立つところに掲げられていたこと。日本では侵略戦争は過去のことととらえがちだが、決して許された過去ではなく、事実は消えていないのだ。

言葉の響きのよさに「平和」を安易に口にしてしまいがちだが、戦争の歴史を学び、逆の立場の人の体験を知ってから口にしたい。薄っぺらい価値観の平和は単に自己満足に過ぎず、時に新たな対立を増やしてしまうのではないか――。

のどかなアジアらしい風景が広がり、町を歩けば犬や猫が無防備な姿でくつろいでいるカンチャナブリの地で、かつて過酷な歴史があったというギャップを感じながら、色々と考えさせられてしまった。

旅人が歩けばわんにゃんに出会う
#40 カンチャナブリのわんにゃん
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