#36 コーン島のワンコたち
ラオス コーン島 2000年11月Don Khon,Laos / Nov.2000
東南アジアを流れる大河、メコン川。源流を遡ると、なんと標高5,000mのチベット高原。そこから中国の雲南省を流れ、東南アジアにやってくる。
東南アジアでは、まずミャンマーとラオス国境を流れ、その後タイとラオスの国境を流れていく。そして、ラオス南部、カンボジア、ベトナムと流れていき、南シナ海へ注いでいる。
総延長は実に4,000km以上。メコン川といえば下流部のメコンデルタの印象が強いが、これだけ長い河川なので、様々な河川の風景を持っている。
メコン川はラオス南部からカンボジアへ入っていく。このカンボジアに入る手前、ラオス最南部のメコン川流域は、シーパンドン(Si Phan Don)と呼ばれていて、とても特徴的な地形をしている。
シーパンドンとは4千の島の意味。この付近は川幅がぐっと広がり、広いところで10キロ以上もある。ここに大小4千の島があるのだが、中流域にデルタ地帯が突然現れるといった表現が分かりやすい。
流れが穏やかなシーパンドンの南端からは、メコン川の様子が一変する。カンボジアにかけて岩石地帯となっていて、大きな滝もあることから、流れがとても激しい。
メコン川というと穏やかに流れていて、悠久とか、のんびりとかいった印象を抱くのだが、この部分だけはやる気が全然違う・・・、といった感じ。
ここの滝は落差は20mほどと、高低差による迫力はない。ただ、横に連続して10kmに渡って大小無数の滝があるので、世界で最も幅の広い滝ということになるようだ(ギネス記録による)。
ガイドブックなどを見ると、アジアのナイアガラだ!と書かれているが、それはちょっと言い過ぎだと思う。規模の大きな急流というのが、ふさわしい。というより、ナイアガラだと思って訪れると、ガッカリ感が凄いことになる。
アジアのナイアガラでも、ナイアガラじゃなくても、観光客には大した影響はないのだが、この滝があるせいで、下流のベトナムやカンボジアからの船がラオスへ進むことができない。内陸のラオスにとってはあまり喜ばしくない存在になっている。
シーパンドンは、メコン川の水に恵まれているのもあって、農業がとても盛んに行われている。人が住めるほど大きな島も多くあり、その中で観光客に人気となっているのが、滝のすぐ近くにあるコーン島(Don Khon)とデッド島。
ここにはゲストハウスやレストランが並んでいて、バックパッカーに人気の滞在地・・・。というより、沈没地としてよく知られている。
実際に滞在してみると、自然に囲まれ、静かで、時が止まっているかのよう。私が訪れた時には、電気、水道、ガスといったインフラは整備されていなかったので、文明社会から隔絶された世界といった雰囲気がたまらなく良かった。
と大袈裟に書いてみたが、実際は、電気に関しては車のバッテリーを使って照明が点くし、雨水などを貯めた浄水器もあるし、ちゃんとした食堂もあるしと、滞在中に困ることはほぼなかった。
コーン島は自然豊かな島だが、一回りしてしまうと、これといってやることがなくなる。本来なら1日滞在すれば十分、となるはずなのだが、島の空気の影響なのか、島民が沈没病のエキスを食事に混ぜているのか、どうにも腰が重くなる。
特にすることはないが、こんなのんびりした環境で過ごすことはめったいにない。なんて贅沢な体験だろう。と、2日目はボーとして過ごす。3日目は、更に腰が重くなり、旅人にも休息が必要だ・・・と言い訳し、もう一日ボーとしながら過ごし・・・。と、徐々に時間の感覚がなくなり、時があっという間に過ぎていく。これが沈没というもの。旅人にとって一番厄介な症状になる。
コーン島(Don Khon / ດອນຄອນ)、Laos Oct.2000
コーン島のゲストハウスがある集落には、少なくとも2匹のワンコが暮らしていた。ここでは他の地域の車が走ることがないから、まず車などにひかれる心配はない。島の子供たちとはお友達といった感じで、島の風景に溶け込んでいた。
コーン島(Don Khon / ດອນຄອນ)、Laos Oct.2000
シーパンドンの滝から先も岩場が続いているが、流れは比較的穏やかになる。滝付近では仕掛けの漁が行われていたが、その先の岩場では子供たちが魚釣りをしていた。
ここでは釣りが娯楽の一つ。夕飯にもなるので、子供たちの表情は真剣そのもの。川に落ちたら危ないが、見守ってくれるワンコたちがいるので心強い。
コーン島(Don Khon / ດອນຄອນ)、Laos Oct.2000
ラオスの女性は、長い布地を腰で巻き、ロングスカートのように着こなしている人が多い。これは伝統衣装シン。呼び名は違うが、インドネシア、ミャンマーでもよく見かける。
こういった衣装が女学生の制服になっているのは、ラオスだけ。小学生女子もちゃんとシンを着こなして通学している。他の地域では濃紺の色が多い気がしたが、コーン島ではちょっとカラフルだったのが、印象に残っている。
そんなシンを着た女学生のいる小学校へ、犬が乱入。日本だったら大騒ぎになるが、ここでは空気のような存在。本当に穏やかに時が流れている。
コーン島(Don Khon / ດອນຄອນ)、Laos Oct.2000
コーン島をブラブラと歩いていると、農作業をしている子だくさんなお母さんに呼び止められた。何かと思えば、豚の赤ちゃんが生まれたとのことで、豚の赤ちゃんを見せてくれた。
産まれたばかりの豚は可愛い。自然豊かな環境の中では、生命の息吹を感じることも多い。連鎖するように、子供も家畜もどんどん生まれてくるのだろう。
#36 コーン島のワンコたち