#22 水上生活のワンコ
ベトナム、ハロン湾 2000年2月Halong Bay, Vietnam / Feb.2000
ベトナムは南北に2000キロと細長い国土を持っている。熱帯の暑い国といったイメージが強いと思うが、様々な気候、風土があり、地域によって異なった自然や景色、文化を楽しめる。
北部の観光のハイライトとなっているのは、首都ハノイの東方にあるハロン湾。ベトナムには世界遺産が8つあり、フエの歴史的建造物に次いで2番目に選出されたのが、このハロン湾になる。
ハロン湾はその名の通り海にある湾で、ここの特徴は広大な湾内に大小2千の岩山が海面から突き出ていること。
あるものは島のように大きく、あるものは岩山のように小さく、またあるものはローソクのように細かったり、変わった形をしている。そのような島々が重なり合った湾内の様子は素晴らしく、世界中の観光客を魅了している。
陸上からハロン湾の岩山を眺めることもできるが、それでは少々物足りない。クルーズ船に乗って湾内を遊覧するのが一般的な観光方法となっている。
クルーズ船は島々を縫うようにしながらハロン湾内を遊覧していく。船で動きながら見る場合、奥の島、手前の島が重なったり、ずれたりと、奥行きのある風景を楽しめる。感動の度合いもさらに大きくなるので、ぜひ船で回ってほしい。
天候はそれぞれの良さがあると思うが、小雨の日に訪れた私から言わせてもらえば、晴れたほうが絶対にいい。遠くが見えないとスケールの大きさが半減してしまうからだ。
湾であること。島が多いということは、海が穏やかということになり、絶好の漁場となる。クルーズの最中には漁をしている漁船と頻繁にすれ違った。
そして島の陰などには、水上で暮らす人々の家が浮かんでいた。それなりに水上生活者が多い土地になるようで、結構な数の水上の家を目にした。
水上の家というと、家型の船というか、生活しやすそうな筏状の船が浮かんでいる様子を想像すると思うが、それは上級な水上の家。もっと原始的な小舟で暮らす水上生活者の姿もあった。
まだこの頃のベトナムは貧しかったので、ギリギリのラインで暮らしている人がそれなりに多くいるというのが、現状だった。
ハロン湾(Halong Bay / Vịnh Hạ Long)、Vietnam Feb.2000
途中で立ち寄った鍾乳洞のある島では、水上で暮らすワンコに遭遇した。こんなところにワンコがいるなんて・・・というのが、率直な感想。
経済的にあまり余裕のないベトナムだと、犬は番犬として飼われていることが多い。畜産とかなら相性がいいが、漁業ではどうなんだろう・・・。水上の上だと番犬としての役割は果たせるのだろうか。いないよりはましとは思うが・・・。そんなことがすぐに頭に浮かんでしまう。
この犬の実際の役割は分からないが、飼い主の子供は物売りをしていた。クルーズ船が島に到着すると、ボートをこいでクルーズ船に近づき、物を売り始めた。
携えているバスケットを見せてもらうと、お土産に、お菓子に、飲み物に、タバコが入っていた。欲しいものはタバコぐらいか・・・。
「タバコいくら?」「300」「えっ、普通の三倍もするの・・・」「ちょっと高いな。もっと安くしてよ。」「250」「う~ん、もうちょっと」「じゃ、200」う~ん、二倍か・・・。海の上とはいえ二倍払ってタバコを買うのもな・・・。根っからの貧乏性なので、日本円にすると数十円という金額なのにためらってしまう。
どうしよう。150ぐらいなら許容範囲か・・・。もう一声かけるか・・・。と思ったところで、ワンコの心配そうな顔が後ろの方で見えてしまった。そんな顔で見つめるなよ。悲しそうな犬の顔にはどうも弱い。
分かった200でもらうよ。頼むからワンコ。そんな心配そうな顔をするな。ちゃんとご主人様に利益が出るようにタバコを買ったぞ。って、わんわんホイホイってな客寄せが役割だったのか。おまえは。
#22 水上生活のワンコ