* 駒沢オリンピック公園と東京オリンピックについて *
目黒区との境界線付近、実際のところは少し境界線をまたいで立地しているのですが、駒沢通りを挟む形で広大な敷地の都立駒沢オリンピック公園があります。
オリンピックと付いているのは東京オリンピックが開催された際に使用された事から名付けられていますが、普段地元の人がオリンピックという名称を付けて呼ぶ事はなく、駒沢公園という言い方が世田谷、目黒では一般的です。そのへんは同じ区内の都立公園である芦花公園(蘆花恒春園)と同じ感じです。
昔のことですが、公園近くで、「オリンピック公園ってこっちの方向であっていますか?」と尋ねられて、えっ、あっ、ん~、そっか駒沢公園の事かと戸惑った事があります。尋ねた人にとっては駒沢周辺で駒沢の名はあえて付けなくても分かると思ったのでしょうが、こちらとしては聞き覚えのない言い回しだったので戸惑ってしまいました。
駒沢オリンピック公園は都立の公園で、都の外郭団体である財団法人東京都スポーツ文化事業団が運営、管理を行っています。
名前の通り昭和39年のオリンピック東京大会時の会場跡地を利用した公園で、開園はオリンピックが行われたすぐ後の12月1日です。
公園面積は約41haで砧公園(39ha)より少し大きく、園内にはオリンピックに使用されたスポーツ施設が多くあります。
自然も豊かで、園内には120種類以上もの樹木が植えられていて、高木だけでもその数7300本も生えています。芝生面積も1.4haあり、競技場や運動施設ばかりの運動公園ではなく、運動施設と緑とが調和した健康的で自然豊かな公園という事ができます。
オリンピックやそれ以前に関して書くと、元々この場所は狸谷(まみがや)と呼ばれる地域で、周辺の深沢村を含めて雑木林や畑ばかりの寂しい土地でした。明治22年までは世田谷村の飛び地として管理され、明治天皇が兎狩りをされた場所でもあります。
大正2年になると東京ゴルフクラブの会員達が深沢村から土地を借りて駒沢ゴルフ場を造る事になりました。そして大正3年から工事が始まり、初めは9ホール、後に18ホールの巨大なゴルフ場が出来上がりました。
地元としては紳士のスポーツという事でお金持ちが集まるゴルフ場により現金収入や雇用が増えてよかったようです。この辺の事情は同じようにゴルフ場があった等々力と一緒です。
ちなみに駒沢公園の北側に面している駒澤大学はゴルフ場ができる少し前の大正二年に麻布から現在地に引っ越してきました。駒沢公園よりも先に大学があったことになります。
しかし昭和の初めになると土地代が高騰し、ゴルフ場の採算が合わなくなってきて、土地を引き払う事になりました。
昭和七年頃には目蒲電鉄がその土地を購入。土地を造成して深沢や田園調布のような高級住宅を造ろうとしたのかどうか分かりませんが、使われることなく昭和11年になると第十二回オリンピックが東京で開催されることが決まりました。
その際にこの地に世界最大級の運動競技場を造ってオリンピックのメイン会場にしようではないかといった構想が生まれました。区内にある馬事公苑も同じようにオリンピック用の敷地として東隣に1万5千坪の敷地を追加で購入するなど、世田谷区内ではオリンピック開催に向けての動きがありました。
しかしながら日中事変などの政情により、昭和13年にはやむなくオリンピックの開催地を返上することとなってしまいます。それでもこの決定後に東京都がこの土地を買い上げていますので、いずれオリンピックを開くための競技場を造る計画は消えなかったようです。
その後太平洋戦争が起き、混乱の時代を迎えます。主にこの土地は資材置き場として使われたようです。
戦後になり昭和28年に東急電鉄などが都から敷地を借りてプロ野球東急フライヤーズ(現在の北海道日本ハムファイターズ)の本拠地として、駒沢野球場を造りました(*昭和22年にチームを購入。29年からは子会社の東映に運営を委託し、東映フライヤーズと名称を変更)。
奔放なプレースタイルから「駒沢の暴れん坊」の異名を取ったとか。世田谷区にプロ野球球団の本拠地があったというのには驚きました。
昭和37年になると再びオリンピックが東京で行われる事が決まります。残念ながら今回はメイン会場としてではなくサブ会場に指定されました。
そのことによって野球場だった敷地は東京都に返還され、野球場は取り壊され、オリンピック用の競技場が造られていきました。
そして昭和39年に開催された第18回オリンピック東京大会の期間中には第2会場として、レスリング、バレーボール、ホッケー、サッカーの予選といった競技が行われました。
とりわけ鬼の大松監督に率いられ金メダルをとった女子バレーボールが行われたというのがポイントの高い部分でしょうか。東洋の魔女の活躍を見るために連日室内競技場周辺は賑わったそうです。
現在オリンピック関係のもので残っているのは、聖火台、オリンピック記念塔、そして体育館内にある東京オリンピックメモリアルギャラリーです。
オリンピック記念塔は高さが50mもある塔で、陸上競技場と体育館の間の中央広場の奥に聳えています。組木細工のような形をした背が高い建造物は周囲に建造物がないのでよく目立ち、駒沢公園のシンボル的な存在となっています。
オリンピックの際には地上12階建ての管制塔として使用されました。よく見ると最上部にアンテナがあったり、最上階に管制室があります。
公式サイトで現代の五重塔の趣きを感じられるとか、百景の文章にも五重塔を幾重にも重ねたと五重塔を連想させる表現が使われているところをみると、この塔は五重塔をモチーフに造られたのかもしれません。
ある程度近づいて下から見ると、ひさし部分が屋根に見えるのでそう見ようとすれば見えるかなといった感じです。
でも離れてみると骨組みといった感じで、さんまの頭と骨だけのようにも見えるし、やっぱり組木細工かなというのが私の感想です。感想は人それぞれ。ぜひいろんな角度から眺めて色々な見方をしてみてください。
この塔、今でもイベントなどで使われているのかどうかわかりませんが、あまり使用していないのならバンジーとかに使えば楽しそうだし、話題になるし…などと思ってしまいます。
この記念塔の周りには池となっていて、その池の中にはさりげなく聖火台があります。もちろん大会期間中、オリンピックの象徴である聖火が灯されていました。
今では火がつけられることはあるのでしょうか。大きな総合的な大会が駒沢公園で行われることがないので、定期点検で付けられているだけかもしれません。
体育館の中にある東京オリンピックメモリアルギャラリーでは、東京オリンピックの事を中心にオリンピック全般や長野オリンピックについてなど展示してあります。
展示物に関しては、内容よりも何でもかんでも記念に取っておこうというか、細かいチケットやパンフレット類がきれいに並べられている展示自体に几帳面な日本人的だなと感心してしまいました。
まるで日本人が昔、海外旅行へ行ったときに現地での博物館や交通のチケットやらツアーのしおりやらを記念にとっておいた光景・・・、って同じ昭和の出来事ですね。
入場料は無料なので、時間があるときにでも覗いてみるといいと思います。
* 駒沢公園の競技施設 *
駒沢公園はオリンピックに使われただけあって多くの競技施設があり、観客席が多く設置されている競技場では比較的大きな大会も行われています。
主な施設は、運動競技場施設として陸上競技場、補助競技場、第一球技場、第二球技場、屋内球技場、体育館、硬式野球場、軟式野球場、弓道場、トレーニングセンター、テニスコートで、その他では4つの売店、2つのレストラン、3つの児童公園、サイクリングセンターとサイクリングコース、ストリートスポーツ広場、小さいながらバードウオッチングや梅林、ドッグランなどといったエリアもあります。
本格的な運動施設が多くあるのと同時に、気軽に体を動かせるサイクリング施設や児童公園などといった施設も充実していて、また園内に多くの樹木があるのが特徴です。
駒沢公園で一番大きな施設は陸上競技場です。観客収容数は2万人と多く、400mのトラックもトラック内の芝生もきれいです。東京オリンピックの際にはサッカーの予選が行われました。
とても立派な競技場にもかかわらず陸上などの大きな大会は国立競技場や味の素スタジアムだし、オリンピック種目であったサッカーも今では全国高等学校サッカー選手権大会、全日本大学サッカー選手権大会とアマチュア専用といった感じで、全国放送に映るような大会が行われることがありません。
しかしながらこれにはちょっと理由があります。道路を挟んだ隣が国立病院の東京医療センターなので、夜間照明の灯りが入院患者の安眠を妨害する恐れがあることから、照明設備が設置されていません。もちろん騒音にも気を使わなくてはいけません。
Jリーグの試合を行う場合は照明設備が必要となり、昼間行われるカップ戦が行われることが稀にあるぐらいです。やはり大きな大会を行うとなると、曇って薄暗くなった場合などの緊急時に照明があるのとないのとでは違ってくるので、照明の付いている施設の方が優先順位が高くなってしまうのはしょうがありません。
中央広場の左手に体育館があります。体育館はオリンピック東京大会でレスリング競技のメイン会場として使用されました。
独特の形をした八角形の屋根を持つデザインの美しい建物で、近未来的というか、コスモポリタン的といったモチーフで作られたのでしょうか。
内部は仮設席を含めて観客収容人員が約3500人もあり、大きな大会の開催が可能です。公式サイトによればレスリング、卓球、エアロビクス、バレーボール、フットサル、ハンドボール、バスケットボール、フェンシング、チアリーディングなどの全国規模の大会が行われているようです。
駒沢通りの南側、ちょうどオリンピック記念塔や中央広場の正面に屋内球技場があります。1964年のオリンピック東京大会ではバレーボール競技のメイン会場として使用され、東洋の魔女と言われた日本チームが活躍した会場です。
平成26年度~平成28年度に改築工事が行れ、現代的なデザインの建物に生まれ変わりました。内部は仮設席を含めて観客収容人員が約2400人と体育館より少し小さめです。
体育館と施設面などで具体的に何が違うのかわかりませんが、公式サイトによるとバレーボール、バスケットボール、卓球、バドミントン、フットサル、ハンドボールのほか、ウエイトリフティングやボルダリングなどの屋内スポーツで利用去れているとのことです。
野球場に関しては硬式用と軟式用の2つの野球場があります。
硬式用の球場は一面のみのきちんとしたスタジアムで、両翼91m、センター120mの大きさを持ち、ナイター設備もあります。ただ観客席が内野のみで、収容観客数が約1300人ともあって高校野球の都大会が行われる程度です。
かつて駒沢の暴れん坊の異名を取った東急フライヤーズの頃の面影はありませんが、今でも周囲がケヤキの木々に囲まれているので、昔もこんな雰囲気の中で野球をやっていたのかも・・・などと勝手な想像をすることはできます。
軟式野球場はオリンピック東京大会の時の駐車場に造られたもので、駒沢通りの南側にあります。こちらは一般的によくある長方形の二面式で照明はありません。
1964年のオリンピック東京大会でホッケーのメイン会場として使用された第一球技場が屋内競技場の裏手、第二ホッケー場として使用された第二球技場、第三ホッケー場として使用された補助競技場がオリンピック記念塔の北側にあります。
どの球技場も人工芝が敷いてあり、補助競技場と第二球技場はナイター設備もついています。陸上競技の補助グラウンド、サッカー、ラグビーフットボール、アメリカンフットボール、ラクロスなどに使用され、観客席も備えているので小さな大会にも利用されています。
また運動会などの行事にも利用されています。という私も高校の時、学校の校庭が狭くて全校生徒での運動会を行えなかったので、ここで運動会を行いました。まだ地面が土だった頃ですが・・・・。
この他、軟式野球場の横に人工芝のテニスコートが8面、体育館の西側、公園管理所の裏に和弓28m×9人立の本格的な弓道場があります。
また以前は体育館の南側、駒沢通りに面した場所に屋外プールがありました。プールは50m×20mで水深1.0m~1.3mの一般的なサイズで、夏のみの営業でした。
残念ながら2011年に施設老朽化のために営業を終えました。その後、屋内球技場は新しくなったというのにここはまだそのまま。取り壊しは決定しているので、体育館の改修時までほっとくのでしょうか。今後何の施設になるのか、或いは新しくプールを作り直す可能性は・・・といったことも利用者としては気になるところです。
* 駒沢公園のレクリエーション施設 *
現在の駒沢公園は、周辺住民やすぐ隣の駒澤大学、そして近くの日本体育大学の学生たち、近隣の高校、中学の部活動の学生や東京医療センターの入院患者などの憩いの場となっています。
とりわけ敷地が狭い駒沢大学生にはキャンパスの延長上のような駒沢公園の存在はうれしいに違いありませんし、国立病院の入院患者の人にはすぐ隣に散歩コースがあるのは健康のため、或いはお見舞いに来てくれる人のためにもありがたい存在に違いありません。
そして駒沢公園といえば・・・・、と真っ先に出てくるのはその人の興味の対象だったり、思い出の深いことがらになるでしょう。
私的にはバスケかな・・・ということで、まずバスケットから紹介していきます。
駒沢公園は駒沢通りを挟んで施設があり、2本の橋が中央広場と屋内球技場を結んでいます。その橋の下の壁のところにバスケットのリングが取り付けられていて、昔からバスケットの練習に励む人が多いです。
今ではきちんとしたゴールが取り付けられて公園公認となっていますが、昔は自分たちでリングを取り付けて頑張っていました。そういった過去からストリートバスケの聖地ともいわれています。
バスケットボールといえば5人対5人で広いコートの両脇にゴールがあり、相手のゴールに多くの得点を入れたほうが勝ち。昔はそうでした。
でもそんな大がかりな設備はなかなかありません。屋内で練習するのにしてもなかなかそういった場所がありませんし、少人数で借り切るのも大変です。
そういった事情から生まれたのが一つのゴールで少人数で遊べるバスケ、3on3(スリーオンスリー)です。3人対3人で攻撃と守備を交代交代にする三人制のバスケで、こういった屋外では盛んに行われてきました。
2007年には国際バスケットボール連盟(FIBA)が正式なルールを設けた3×3(スリーバイスリー)を正式競技種目として認め、定期的に国際大会が開催されてきました。
そして2020年の東京オリンピックでいよいよこの3×3が初めて正式種目となります。
オリンピックの種目になるんだと思うと、この駒沢公園での日常の風景だったバスケットの様子がちょっと違った風に見えてくるものです。汗を流しながらプレーしている人たちの中にもしかしたら未来のオリンピック選手が混じっているかも・・・・。
近年では健康志向が高まりからジョギングが人気となり、公園外周を一回りするように走るジョギングコースは地元の人を中心に利用者が多くなっています。
ジョギングコースは全長約2.1kmで、反時計回りに回るようになっています。実際にコースを走ってみると(歩いても構わないのですが)分かるのですが、木々に囲まれた並木道を走る感覚なので、結構気持ちがいいものです。
コースはアップダウンが少ないので初心者にも走りやすく、平日には高校や地元のマラソン大会が開催されることもあるようです。
土日祭日は結構込み合い、時々ジョギングの走行会のようなイベントなども行われていて、ゼッケンをつけて走っている人も見かけます。
秋には世田谷ハーフマラソンも行われ、その時は大勢のランナーが駒沢公園を出発し、二子玉川や多摩川を回って駒沢公園に戻ってきます。
ジョギングコースと並行して造られているのがサイクリングコースです。距離もジョギングコースと同じで約2.1km。木々の間を風のように走り抜けることができ、なかなか気分がいいです。
スピードを出し過ぎないようにコースは二か所ジョギングコースから外れますが、基本的に園内の通路に線を引いただけです。壁とか縁石でコースが区切られている自転車専用コースではないので、子供の自転車が逆走してきたり、遊んでいる子供が飛び出してきたりもします。
気合を入れてスピードを出して走るようなコースではないので、くれぐれも一般の人、ジョギングの人に接触しないようにしましょう。
このコースは自分の自転車で走る分には無料です。でもサイクリングセンターでは普段乗れない2人乗り自転車をレンタルしています。カップルで一緒にこいで颯爽と木々の中を通り抜けていくのもいい思い出になるのではないでしょうか。
硬式野球場の周りにも2つの自転車のコースがあります。
一つは幼稚園ぐらいの子供を対象としたチリリンコースで、一周約320mコースは外部と隔離されていて、小さな子供でも安心して自転車に乗ることができます。路上へ出る前の練習に最適かなといった感じです。自転車を持っていなくても練習用自転車の有料貸し出しもしています。
もう一つはファミリーコースで、こちらは硬式野球場を一周する約800メートルのコースとなっています。ここでは貸し出し用ファミリー向けの四輪自転車、愛称「ペアペア」に乗ることができます。家族一緒にサイクリングというのもいいかもしれません。
またチリリン広場という幼児の練習用広場もあります。自転車に乗り初め、あるいは補助を外す練習をするのにいいかもしれません。
ローラースケートから始まり、スケートボード、バイク(自転車)などストリートでの技を競うような若者の文化は途絶えることがありません。
とはいえ不良の遊びと思われたり、練習場所がなく、公園内の通路や階段で練習すれば苦情がくるので、夜中にこっそりと練習して・・・などと肩身が狭い思いをしてきました。
最近ではこういったストリート系の遊びもスポーツとして認知されるようになり、大きな大会が開かれたりして知名度が上がりました。ちゃんと市民権を得たといった感じです。
駒沢公園内にもSS(ストリート・スポーツ)広場が設置され、若者が練習している姿を見かけます。多くの公園にこのような設備がありますが、やはり駒沢公園。昔からバスケと同じようにストリート系の文化があるだけあってここのは広く設備が充実しています。
駒沢公園の魅力は多種多様のニーズに応えているところです。広々とした公園内を子供と散歩するだけでも健康に良さそうですが、子供の遊び場やくつろげる場所も充実しています。
子供の遊具のある児童公園は3か所あり、軟式野球場の東側、ちょうどサイクリングコース沿いに「りす公園」、陸上競技場の北東側、これもサイクリングコース沿いに「ぶた公園」、硬式野球場の西側に「うま公園」があります。リス公園には桜が植えられているので、桜の時期は花見もできます。
この他にもぶた公園の近くに芝生の自由広場があったり、駒大の校舎の近くに夏期限定でじゃぶじゃぶ池が開かれます。
駒沢通りの南側、軟式野球場のところにはドッグランも設置されています。
住民からの要望が高く、仮設置を経て設置されたものです。施設は広さは約1,200m2で、中・大型犬優先800m2と小型犬専用400m2に区画されていて、ベンチや水飲み場などがあります。
ここのドッグランは地面がコンクリートです。広場にそのままフェンスを付けただけ・・・って感じでしょうか。コンクリートのドッグランって・・・、よくあるものなのかわかりませんが、なんか不思議な感じです。
ドッグランの利用は無料となっていますが、駒沢オリンピック公園管理所で利用登録をしておく必要があります(予防接種などの証明が必要)。週末や休日には行列ができるほど人気となっているようです。
近年では住民の要望などによって駒沢公園は公園としてどんどん進化しているように感じます。ドッグランなどの施設もそうですが、昔は単なるコンクリートの壁だった橋やトンネルの壁などに絵が描かれていたりと、気が付いたら明るい感じになっていました。
それと同時にスポーツ施設の老朽化も目立つようになり、近年では施設の老朽化や耐震補強のために次々と施設が新しくなっていて、訪れる度にどこかしら大掛かりな工事をしている感じです。
もしかして今後開こうとしている東京オリンピックの会場にするつもりなのかなと思ったのですが、計画書を構想外となっていました。練習場としては使われるかもしれませんが・・・。
* 駒沢公園の春と秋の情景 *
駒沢公園は大きな大会を開けるほどの競技場があり、気軽に楽しめる運動施設とレクリエーション施設も多く、施設が充実した公園といったイメージを持つ人が多いと思いますが、実は木々に関しても凄かったりします。
雑木林を開拓し、そのまま必要な樹木を残しただけじゃないのと思っている人も多いかと思いますが、その辺の公園と違って世界規模のオリンピックを開いた会場なのです。きちんと計算して植樹されています。
エリアごとに植えられている木が分かれていて、そのエリアは同じ木がそろっているので、ジョギングコースなどの園内の通路を歩いていると並木がきれいに見えるのです。
桜の時期の花見。当然広い園内、施設の充実した駒沢公園も人気スポットとなっています。とはいっても園内全体では桜がもの凄く沢山あるといったわけではなく、あちこちにあるといった感じです。
一番桜が多いのは補助競技場の北側付近から自由広場にかけてのジョギングコース沿いで、ここだけちょっとした桜並木になっています。シートを広げて花見をする人、散歩する人、ジョギングやサイクリングをする人、多くの人が訪れ、この部分の通路は賑わいます。
この時期は砧公園もそうですが、ジョギングする人にはちょっとつらい時期です。
自由広場の北側にも桜があるので芝生で花見をすることができます。ただ人気の公園なので、土日はすぐに埋まってしまうでしょう。平日でもすぐ隣が駒澤大学、そして付近には日体大もあるので、学生を中心に花見は混み合っています。
この他には児童公園の一つリス公園付近にも桜が多く、子供との花見におすすめです。テニスコートと軟式野球場の間にも桜並木がありますが、ちょっと狭いです。
世田谷で一番の紅葉スポットはと聞かれたなら豪徳寺、あるいは九品仏浄真寺と答えますが、公園で一番と言われたら駒沢公園を選びます。
紅葉は同じ木がそろっていて、日がきちんと当たると美しく感じるものです。だから寺院や庭園など人間が管理している場所の紅葉が美しいのです。
駒沢公園はエリアごとに並木の木が揃えられ、木の大きさも同じようにそろい、また広々とした空間があるので、紅葉が美しく感じます。
駒沢公園で一番の紅葉スポットといえば駒沢公園通り沿いに並ぶイチョウの並木でしょうか。広々とした空間に整然と並ぶイチョウの木が紅葉する様子はとても美しいです。
さすがに全国からイチョウの木を集めて造った外苑のイチョウ並木にはかないませんが、区内で一番のイチョウ並木だと思います。
道の両脇に1列に植えられているように見えますが、一部2列に植えられていて、その部分の歩道はイチョウのトンネルになっています。イチョウの葉が落ちるころ、頭上は黄色い空、足元は黄色い絨毯と幸せな光景となります。
イチョウ並木と並んで紅葉時に美しいのが、園内の通路に多く使われているケヤキ並木です。
駒沢公園通りの入り口からサイクル事務所にかけて美しいケヤキ並木が続いています。ケヤキは光の加減によって見え方が違ってくるので、時間ごとに美しく見える場所が変わってきます。
ケヤキ並木以外も紅葉すると美しい木があります。体育館の周り植えられているトウカエデは葉が真っ赤になります。そういった木を探しながら歩いてみると楽しいです。
木の種類が多いので、木を気にかけながら歩くと、どんな木がどのように紅葉するのか結構勉強になります。
また、落葉樹が多いので、秋になると落ち葉の絨毯が出来上がります。
この落ち葉を利用した面白い趣向のイベントも行われていて、落ち葉のプールや落ち葉やドングリ当てクイズなど子供が楽しく植物に触れあえるようになっています。
落ち葉のプールは、さすがに干し草のようなふかふかといったものではありませんが、落ち葉がたくさん溜められた囲いの中は柔らかく、水のように落ち葉を掛け合ったりして子供たちが大はしゃぎしていました。
* イベントなど *
近年ではスポーツの大会だけではなく、一般的なイベント会場としてのニーズも高まっています。
月に一回フリーマーケットが行われているほか、オリンピック記念塔や体育館、陸上競技場に囲まれた広い広場では様々なイベントが行われています。
何かのスポーツ大会に合わせたイベントだったり、企業などのPRブースのテントが並んでいたりとスポーツ関係のものが多いのかと思いますが、近年ではB級グルメなどの飲食関係のイベントが増えているのが区民として気になるところです。
特に多くの人が訪れるのが、東京ラーメンショー。会場は混雑し、人気のラーメンのブースには長蛇の列が出来上がっていました。こういったイベントに合わせて訪れることができるのも駒沢公園の魅力かと思います。
* 感想など *
駒沢公園は大きな大会を開けるほどの競技場があり、気軽に楽しめる運動施設とレクリエーション施設が充実し、普通の公園の要素もあり、また大きなイベントも開かれるといった日本を代表するような公園というのは言い過ぎかもしれませんが、世田谷を代表する素晴らしい公園です。
周辺住民やすぐ隣の駒澤大学、そして近くの日本体育大学の学生たち、近隣の高校、中学の部活動の学生や東京医療センターの入院患者などの憩いの場となっていて、とりわけ敷地が狭い駒沢大学生にはキャンパスの延長上といった存在になっています。
施設が充実した公園と思われがちですが、樹木が多く、植樹にも非常にこだわっています。スポーツ施設を東屋に例えるなら巨大な超近代庭園という表現がいい得ているかもしれません。そういった目で歩いてみると園内の散策がより一層楽しく感じます。
私がお勧めするまでもなく、既に多くの人のお気に入りの公園となっているでしょうが、ぜひ健康もかねて散策に訪れてみてください。
せたがや百景No.88 駒沢オリンピック公園
ー 風の旅人 ー
2018年4月改訂