世田谷散策記 ~せたがや百景~

せたがや百景 No.85

馬事公苑界わい

東京オリンピックの馬術競技の会場になったことで有名。背の高いケヤキ並木をくぐって入る苑内は広大で、多くの樹木や草花が季節をいろどる。雑木林を散策するとかつての武蔵野の姿が思い浮かぶ。ケヤキ並木の道は広場として整備され、また一つ魅力を加えた。(せたがや百景公式紹介文の引用)

・場所 :上用賀2-1
・備考 :2022年秋まで休園中。JRA(日本中央競馬協会)の管理する公園。5月3~5日のホースショウ、9月23日の愛馬の日はJRAが主催する大きなイベントです。春には桜祭り、8月には区が主催する区民祭なども開かれます

***  このページの内容  ***

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* JRA馬事公苑の歴史 *

ケヤキ並木と馬事公苑の写真
ケヤキ並木と馬事公苑

世田谷通りから馬事公苑入り口までケヤキ並木が続いています。

馬事公苑というのはご存じでしょうか。その存在は知っていても、「特別な時以外一般の人が入れない競馬の施設なのでしょ」とか、「入るのに面倒な手続きや入場料があったりするのでしょ」とか、「入っても馬に興味がないと面白くないんじゃないの」と思っている人も多いようです。

実際、区内にある大きな公園は都立だったり、区立だったりするのですが、この馬事公苑は名前の通り馬事に関わる公園という事で、JRA(日本中央競馬会)所有の公園というか、正式には馬術競技場です。

とはいっても特別な事がない限り開園時間は誰でも気軽に入る事ができ、また馬術競技が行われている時にも観覧する事ができます。

とりわけ世田谷区との関わりでいうなら次の項目のせたがやふるさと区民まつりはこの馬事公苑で開催されるので、その時に馬事公苑の存在を知ったという方も多いかと思います。

JRA馬事公苑内の写真
馬事公苑内

園内は広々とした空間が広がり、周囲には集合団地が多いです。

馬事公苑は世田谷通りの農大付近、農大と道を挟むような感じで用賀側にあります。この付近は世田谷通りを挟んで行政区分が玉川地区と世田谷地区とに分かれていて、実際に町並みもかなり異なっています。

道が狭くてごちゃごちゃしている事から配達員泣かせと言われる世田谷ですが、馬事公苑側の玉川地域は区画がきれいに整備されていて、比較的道幅も広く、配達の人にとって楽ちん仕様になっています。

これは昭和の初めに玉川村の豊田村長が推し進めた玉川全円耕地整理事業という大事業のたまもので(玉川神社の項を参照)、ここから田園調布の辺りまできれいに整備された区画がずっと続いています。馬事公苑があるのはその一番北の端という事になります。

特に馬事公苑のある用賀地区は耕地整理の象徴と言われるほどきれいに区画が整理されていて、区画はきれいな碁盤目状で、道幅も広く、駅から世田谷通りの間までに用賀一条通りから用賀十条通りまでと10筋の通りが設けられています。まるで京都のような感じです。

その用賀七条通りから北、用賀中町通りの東の上用賀二丁目の大部分が馬事公苑の敷地となっています。結構な広さです。この広大な敷地は玉川全円耕地整理事業と深く関わっています。

この事業は玉川村をあげての大事業でありながら、都や国の援助を受けていませんでした。それに田園調布や成城などと違って企業が整地して売る出すといった類のものでもありません。ですから資金繰りには困っていました。

ちょうどその時に帝国競馬協会が広大な敷地を要する馬事施設を建設するための土地を探していて、用賀地区のこの土地(5万坪)を30万円で購入したという経緯があります。それが昭和9年の事で、おかげで用賀地区の区画整備は他の地域よりも早く昭和13~14年頃には完成しました。

JRA馬事公苑 馬の像と管理棟の写真
馬の像と管理棟

JRA(日本中央競馬会)の管理施設になります。

この時期になぜ馬事公苑が必要だったのか。それは当時日本に総合的な馬事施設がなく、関係者の間で人材の育成や馬事競技が行える施設の建設が望まれていたからです。

そして昭和8年12月23日に御誕生になった皇太子殿下(平成天皇)の奉祝記念行事として一大馬事施設の建設計画を立て、翌年に決議されました。当時はまだ軍隊で馬の需要が多くあった時代であり、軍事、特に富国強兵に直結する事はスムーズに決議されていた時代でした。

昭和11年になると少し事情が異なってきて、第十二回オリンピックが東京で開催されることが決まりました。その事によって国は東隣に1万5千坪の敷地をすぐに追加で購入しています。現在JRAの社宅などとして使われている区画です。

昭和11年12月に帝国競馬協会が解散し、日本競馬会が設立され、馬事公苑の建設は日本競馬会に引きつがれる事になります。

しかしながら昭和12年に始まった支那事変(日中戦争)によって建築資材の不足や制約によって施設の建設は滞り、昭和13年には政情不安でやむなくオリンピックの開催地を返上するなど、ゴタゴタが続くことになります。

支那事変で逆風にさらされた馬事公苑計画でしたが、逆に戦時中に馬事公苑(馬事訓練施設)の重要性が認識される事となりました。それは戦時中に大量の馬を投入するものの、馬を正しく管理できる人材の不足が露呈してうまく機能しなかったからです。

滞っていた馬事公苑の建設は昭和14年3月にようやく着手され、昭和15年9月に開苑となります。支那事変が一段落するとその教訓を生かして馬事公苑の設備や教育システムが整備されました。

その後第二次世界大戦に突入すると競馬や馬術どころではなくなり、馬事公苑は修錬場と改称され、補給部隊である輓馬機動隊の部隊事務所として使われる事となります。

さすがに飛行機や戦車といった内燃機関を使用した近代兵器が第一線で使われる時代となってしまい、馬を使った騎兵隊が活躍する時代は終わってしまいました。輸送もトラックが主体となり、馬の役割は後方支援や荷物運びが中心でした。

JRA馬事公苑 放牧されている馬の写真
放牧されている馬

木々が多く、馬もくつろげるようになっています。

敗戦後はそのまま輓馬事業本部となり復興のための補給部隊の本部として使われました。それと同時に進駐軍の娯楽としての乗馬場としても使われたようです。

戦後の混乱が一段落した昭和23年には競馬法の改正により、全ての競馬は国営、公営の形態となりました。馬事公苑も日本競馬会から農林省東京競馬事務所の管轄となります。

その後、朝鮮特需を経て経済的にも安定した昭和29年には再び民営化され、特殊法人日本中央競馬会が発足。そして大戦中に改称された馬事公苑の名前も復活します。

馬事公苑の「苑」の字ですが、「園」は植物のある庭という意味で、「苑」は動物のいる庭という意味がある事から「苑」の字が開苑当時から使われています。

もっとも新宿御苑、皇居の東御苑などにも使われているので、ありきたりの公園ではないとか、格式の高さといった意味合いも込められているようです。

JRA馬事公苑 馬術大会の写真
馬術大会

年間を通じて多くの馬術大会が行われます。

昭和34年には再び東京でオリンピックが行われる事が決まります。それにより馬事公苑の施設の再点検が行われ、国際規格に適した設備に造り替えられました。

馬事公苑といえばなんと言っても東京オリンピックでしょうか。東京オリンピックはご存じ第18回オリンピック東京大会の事で、昭和39年に開催されました。

その時に馬術競技が行われた会場がこの馬事公苑だったというのは広く知られている事です。駒沢競技場と並んで世界的な大会であるオリンピックの行われた会場が世田谷区に2つもあるのは誇らしい事です。

しかしながらよくよく当時の記録を見ると、馬事公苑では9月15日から11月5日の間、馬術に関わる競技や練習に使われたようなのですが、実際にここで公式な競技として開催されたのは意外にも大賞典馬場馬術競技だけだったようです。

馬事公苑以外では軽井沢総合馬術競技場、国立競技場、近代五種は千葉の東京大学検見川総合運動場で行われました。馬術に関わる大半の事がここで行われていたとばっかり思っていたのでこれにはちょっとビックリしました。

もっとも、現在も当時も一緒なのですが、馬術に関わる競技自体が総合馬術、大賞典馬場馬術、大賞典飛越馬術、近代五種と少なかったりします。

JRA馬事公苑 オリンピック記念碑の写真
オリンピック記念碑

なぜか石垣です。しかも目立たないところにあります。

当時の面影を捜すのは難しいのですが、オリンピック開催を記念してオリンピック記念碑というものが敷地内に建てられています。

ただ・・・、かなり微妙な存在です。この碑を目的に歩いていないと、たぶん通り過ぎてしまうと思います。それは何の変哲のない石垣で、まるで櫓の跡といった感じの記念碑だからです。

一応詳しく書くなら、昭和38年に新橋に日本中央競馬会本部事務所を建築する際に地中から江戸城の外堀の石垣が出てきて、これを馬事公苑に運び、滋賀県の石工に頼んで石垣にしてもらったものだそうです。でもやっぱりオリンピックの碑が石垣って・・・といった感想です。

次の2020年の東京オリンピックはどうなのでしょう。2016年の招致の時もそうだったのですが、コンパクトなオリンピックを目指すということで、多くの競技が行われる東京湾のベイゾーンに新しく馬術施設を造る計画になっていました。

2020年の招致が決まった際の計画でも馬事公苑は構想外になっていて、きっと練習等には使われるだろうから練習風景でも見に行ければな・・・と思っていたのですが、予算削減のため新しい会場を建設しない事となり、馬事公苑で前回の東京オリンピックに引き続いて馬術競技が行われることとなりました。

世田谷でもオリンピックが行われるとはうれしい限りです。きっと馬事公苑縁の平成天皇もご観覧にいらっしゃるのではないでしょうか。改修工事などオリンピック後もしばらく閉園してしまうのは不便ですが、オリンピックに向けて楽しみが増えました。

JRA馬事公苑 桜の時期の園内の写真
桜の時期の園内

桜目当ての散策で訪れる人も多く、他の季節よりも人が多いです。

近年の馬事公苑はというと、周辺の宅地化が進み、周りには高層マンションも建ち並び、設立当時ののどかな農村風景は完全になくなってしまいました。周囲に多くの人が住んでいることから馬事公苑自体が都会のオアシス的存在となり、市民の憩いの場所的な役割が大きくなりました。

また都心に近い数少ない馬術場という事で多くの大会やイベントが開かれるようになり、本来の存在意義であった騎手講習生や競馬に携わる人材の訓練に専念できる環境ではなくなってしまいました。

そういったわけで馬事公苑の二大方針の一つである騎手育成業務は中山競馬場の競馬学校へ移管され、もう一つの乗馬普及と馬術指導に力が入れられるようになりました。ですから乗馬などの馬事に関わる事の普及と市民の憩いのために普段でも自由に入園できるようになっているといったわけです。

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* 馬事公苑前けやき広場 *

馬事公苑前けやき広場 馬事公苑の馬の像とケヤキ並木の写真
馬事公苑の馬の像とケヤキ並木

馬事公苑への参道みたいな感じになっています。

世田谷通りから馬事公苑までの間はとても立派なケヤキ並木になっています。

現在は世田谷区の馬事公苑前けやき広場になっていますが、ケヤキ並木の入り口に馬事公苑の碑が建てられていることからもわかるように、元々は馬事公苑へアプローチする道として整備されました。

馬事公苑前けやき広場 紅葉時のケヤキ並木の写真
紅葉時のケヤキ並木

秋には木々が紅葉し、大量の落ち葉で凄い事になります。

けやき並木通りではなく、広場と名付けられているように、今では並木のある通りは車が通行ができないようになっていて、細長い憩いの空間として整備されています。

並木内にはベンチやトイレも設置されていて、ケヤキに囲まれたとても雰囲気のいい空間となっています。世田谷で一番立派なケヤキ並木となるはずです。

特に秋の紅葉時は美しく、感動的です。紅葉が終わった後の地面に落ちた落ち葉の量も感動的・・・となるでしょうか。

馬事公苑前けやき広場 紅葉時のケヤキ並木の中の写真
紅葉時のケヤキ並木の中

秋には紅葉と、落ち葉が凄いです。

同じくオリンピックに使用された駒沢オリンピック公園にも立派なケヤキ並木がありますが、馬事公苑のほうが密度が濃く、並木を歩いているときに重厚な印象を受けます。

ただ駒沢公園のように青空と一緒に写真を撮ろうとすると、こちらの方は周辺に建物があるので、並木の中でケヤキの木に包まれるようにして楽しむのがいいように感じます。

馬事公苑前けやき広場 イベント時のケヤキ並木の写真
イベント時のケヤキ並木

風船の簡易アーチが設置されることが多いです。

この広場を使って園芸市やガーデニングフェアー、地酒や陶器市などといったイベントも行われ、その際には出店が広場に並びます。

展示内容や時間帯によっては多くの人が訪れますが、やはり一番賑わうのは次の項に出てくるせたがや区民祭です。この広場に多くの物産展が並び、ステージも設けられ、動けなくなるぐらいの多くの人でごった返します。

馬事公苑前けやき広場 農大の「食と農」の博物館の写真
農大の「食と農」の博物館

派手な感じの鳥の置物が目印です。

けやき広場の横、並木沿いの道には不思議な鳥の像があります。これは世田谷通りを挟んだところにある東京農大の施設、「食と農」の博物館の置物です。

この博物館は農業と食に関した展示が行われていて、外の鳥の像が象徴しているように博物館の中には鳥のはく製が大量にあったり、もともと醸造博物館として公開されていたので、農大卒業生の蔵元の酒瓶も大量に展示してあったりします。

詳しくはno28.収穫祭と東京農大のページに記していますが、入場料は無料なのになかなか満足感が高い施設なので、馬事公苑を訪れた際にはこちらにも立ち寄ってみてください。

* 馬事公苑内の様子 *

JRA馬事公苑 正門の写真
馬事公苑の正門

園内は広々とした空間が広がっています。

馬事公苑はケヤキ並木にある正門と弦巻の方にある弦巻門の2か所から入れますが、自転車の通り抜けはできないので、自転車の場合は正門から入る事になります。

正門付近には園内の案内図や注意事項が書かれているので初めての方は目を通しておいたほうがいいです。

正門を入ると左にガードマン詰め所があり、ペット連れ等問題のある場合は注意されます。そして駐輪場があり、自転車の場合はここに停めます。子供用の椅子がついた自転車がずらっと並んでいることから、子供連れのお母さんが多いことが伺えます。

JRA馬事公苑 馬事公苑三訓の碑の写真
馬事公苑三訓の碑

初代馬事公苑苑長だった山本寛氏の言葉です。

自転車置き場の反対側には三つの苑訓の碑が建てられています。この訓は初代馬事公苑苑長である山本寛氏の言葉です。

「騎道作興(きどうさっこう)」とは、誠実・まごころを以って騎道を作興(盛んにする・ふるいおこす)すること。「百練自得(ひゃくれんじとく)」とは、努力して100回練習(又は人の100倍練習)して自分のものに会得すること。「人馬一如(じんばいちにょ)」は、お互い心をあわせ、折り合いをつけ、人と馬がひとつになること(以上、馬事公苑のサイトより)。

開苑当時は正門の門柱に苑訓が刻まれていましたが、平成2年の改修工事の際に現在の石碑にされました。ちなみに題字筆者は雑誌「優駿」題字筆者である土屋晴雨氏です。って、競馬好きでないと知らないでしょうが・・・。

JRA馬事公苑 メインアリーナの写真
メインアリーナ

練習や馬術大会に使用されます。

苑内はとても広く、様々な施設があります。関係者以外入れない場所も一部ありますが、木々も多く、散策するにとてもいい環境となっています。

正門から入ってすぐ左手には管理棟があり、その真ん前がメインアリーナとなります。ダート(砂地)の馬術競技場で、平日はあまり使われていない感じですが、週末などには競技場内に障害が設置され、馬術競技が行われていたりします。

とはいえ、余程大きな大会ではない限り観客席に人が溢れることはなく、関係者や馬好きな人が集まっている感じです。

JRA馬事公苑 補助競技場での練習風景の写真
補助競技場での練習風景

大会などのない日は練習が行われています。

メインアリーナの南側には少し小さなメインスクエアがあり、こちらは補助競技場という形で、練習場となったり、大会時に出場前の馬が待機する場所になります。

平日訪れると学生などがよくここで練習しています。練習している様子を見ると、ぎこちない感じで低い障害を飛んでいたり、馬を手なずけたりしています。

なかなか微笑ましい光景ですが、障害を飛ぶにはそうやって練習するんだとか、馬の調教の仕方や馬と仲良くなるにはこうするんだな~と見ていると勉強になったりします。

JRA馬事公苑 馬車型の置物と里桜が並ぶメインストリートの写真
馬車型の置物と里桜が並ぶメインストリート

馬関連のものが多いのは当然ですが、普通の公園と違って整然としています。

このメインアリーナやメインスクエアを囲むようにして舗装された道が設置されていますが、花が設置されていたり、桜並木になっていたり、障害用の備品が置かれていたりと、馬術場らしいこ洒落た雰囲気になっています。

特に正門から続く道は広く、イベントではパレードなどに使われます。正門側ではない方の通りにはふれあい広場が設置されていて、ここは花見の時期には多くの花見客で賑わっています。

JRA馬事公苑 厩舎の並ぶエリアの写真
厩舎の並ぶエリア

立ち入り禁止エリアです。多くの馬が飼育されています。

メインアリーナの南側、正門から見て一番奥には馬が暮らしている厩舎があります。このエリアは馬のストレスや伝染病等のリスク、安全上の理由から関係者以外立ち入り禁止となっています。

この厩舎の南側、道路を挟んでいますが、インドアアリーナ(覆馬場)とサウススクエアがあります。こちらは訪れた事がないので分かりませんが、雨天時にも利用できる馬場となるのでしょうか。

この施設の東側付近には中央競馬会の寮や社宅が並んでいます。その社宅エリアの中にはJRA弦巻公園があります。さすがにここは普通の公園といった感じですが、少し桜が植えられていて、地元の人の花見の穴場スポットとなっている感じです。

JRA馬事公苑 ダートコースと園内の様子の写真
ダートコースと園内の様子

苑内の西側は大きく周回するダートコースが設けられています。

正門から入って右側、馬事公苑の右半分を占めているのが大きな円周のダートコースになっている走路エリアです。ダートコースは広く長いコースなので、馬の走り込みなどに使われているのでしょうか。

ダートコース内は入れないようになっている部分が多いのですが、ダートコースの内側部分にある広大なエリアには入れるようになっていて、面白いことにダートコースを横切って入るようになっています。

JRA馬事公苑 グラスアリーナでの馬術競技の写真
グラスアリーナでの馬術競技

あまり多くありませんが、芝での馬術競技はここで行われます。

ダートコースの中にある一番大きな施設は屋根付きのスタンド完備のグラスアリーナです。ここはメインアリーナと違って地面が芝生で、ホースショーの時など芝生での馬術競技が行われる際に使用されます。

普段は中に入ることはできませんが、区民祭の時にはメイン会場となり、舞台が設置され、歌手のコンサートが行われたりと、イベントの時にも使用されます。

JRA馬事公苑 秋の馬車の駅の写真
秋の馬車の駅

桜の時期も素晴らしいのですが、秋の方がおしゃれな感じがします。

このグラスアリーナの北側には馬車の駅があります。イベント時に運行される馬車の乗り場で、この駅のある馬車通りは里桜のトンネルになっています。

里桜なので開花時期が4月中旬以降と少し遅くなりますが、その時には桜のトンネルとなり、とても素晴らしい光景となります。

うまく開花時期と馬車運行の機会が合うと馬車で桜のトンネルを通ることができるのですが、例年ですと5月の連休のホースショーでの運行が一番近いので、開花が遅い年だと何とかといった感じでしょうか。

また紅葉の時期にも趣のある光景となります。秋にも馬車の運行があるので、様々な季節に合わせて訪れるといいかと思います。

JRA馬事公苑 お花畑の写真
お花畑

イングリッシュガーデンといった場所で立派な温室もあります。

馬車道の北側にはお花畑と呼ばれるエリアがあります。お花畑といっても単に花壇がただあるのではなく、洋館のお庭、イングリッシュガーデンといった感じのエリアになっています。

お花畑エリアは意外と広く、手入れが行き届いているし、変わった種類の植物が植えられているので見応えがあります。おまけに温室もあり、熱帯植物も観ることができますし、花の少ない冬にも楽しめたりします。

馬事公苑を訪れる人で植物園的なものを期待する人は少なく、まさに秘密の花園といった感じで、お勧めです。

JRA馬事公苑 武蔵野自然林の写真
武蔵野自然林

かつての原生林といった感じです。

グラスアリーナの西側にはオリンピック記念碑があり、更に西側には武蔵野自然林があります。馬事公苑ができる前のこの付近は木が生い茂り、人家もなく、未開の原生林・・・というのは大袈裟ですが、ほとんど人気のない場所でした。そういった昔の面影が残っている場所です。

区民祭の時にはここに子供用のお化け屋敷が設置され、結構人気のあるアトラクションになっています。都会で育った子はお化け屋敷にしなくても暗い林の中を歩くだけでも結構怖いかもしれません。

JRA馬事公苑 日本庭園の写真
日本庭園

ヒョウタン型の池を中心にした庭園です。

JRA馬事公苑 芝のターフと桜の写真
芝のターフと桜

芝生やダートの走路が通路となっています。

グラスアリーナの南側は芝生の走路や障害物コースが入り組み、そして走路がない部分には馬の放牧エリアや様々なテーマに沿った広場が造られています。

その中でも大きいのが日本庭園です。ヒョウタン型の池を中心とした庭園といった感じで、日本庭園というほど日本庭園っぽくもないのですが、枝垂れ桜が池の周りに植えられているので、春の散策にはもってこいです。

またこの庭園の北側には菖蒲池があり、ここには水路への放水口が設置されています。この池は湧き水に拠るもののはずですが、近年は湧き水の量が減っているので、水に関しての詳細は分かりません。

JRA馬事公苑 サクラ広場の写真
サクラ広場

こういった子供の遊べる広場が幾つかあります。

日本庭園の周りにはサクラ広場、ヒマワリ広場、ウメ広場と子供が遊べる遊具が置かれている広場が並んでいます。

入り口からは結構歩かなければなりませんが、お昼を持参してピクニック気分で遊べるので子供連れの家族などに人気となっています。

JRA馬事公苑 愛馬の碑の写真
愛馬の碑

馬の供養のためのものです。

この一画には愛馬の碑や馬頭観音の石碑が置かれた広場もあります。愛馬の碑は開苑1周年記念に設置されたもので、毎年9月下旬に馬頭祭が行われています。

この他にも馬の放牧エリアがあったり、立ち入り禁止となっている施設などがあります。

* 馬事公苑のイベントと馬のアトラクション *

JRA馬事公苑 体験乗馬の写真
体験乗馬

一人乗りと親子乗りがあります。

JRA馬事公苑 馬車試乗会の写真
馬車試乗会

季節によって風景が変わります。乗車には整理券の配布には並ばないと駄目です。

馬事公苑では年間を通じて多くのイベント、馬術大会が行われています。平日に訪れても小さな大会や馬術の練習が行われていることもありますが、そういった情報は馬事公苑のサイトの年間スケジュールを見れば、いついつに何が行われているのかが分かるようになっています。

馬事公苑で行われているイベントの中でも大きく、一般の人でも楽しめるイベントは春に行われる「桜祭り」、5月連休に開催の「ホースショウ」、会場提供となりますが8月第一週末の「ふるさと世田谷区民まつり」、9月23日の「愛馬の日」です。

この他、年間8回程度「馬とのふれあい」といった小規模なイベントの日があり、体験乗馬、馬車試乗会やポニーの演技などが行われています。この日は地元の人が訪れるぐらいなので、人気の体験乗馬や馬車試乗会は比較的すいています。それでも整理券の配布には並ばないと駄目ですが・・・。

JRA馬事公苑 トリックホース(ポニーの演技)の写真
トリックホース(ポニーの演技)

碁盤乗りなど様々な芸をします。

馬事公苑で行われるイベントでは様々な馬のアトラクションが行われ、観客を楽しませてくれます。どのイベントで何が行われるかは事前にサイトで告知されます。

馬事公苑で行われる代表的なアトラクションとしては

・アンダルシアンホースダンス
スペインのアンダルシアン種による「スペイン常歩」「横歩」「パッサージュ」、騎乗者の人馬一体となった「お辞儀」「お座り」「クールベット(立ち上がり)」といった数々の演技演技。

・トリックホース(ポニーの演技)
アメリカでトリックホースと呼ばれ、サーカス等でも披露されている演技で、ポニーに調教師が合図を送り、後ろ肢2本で立ち上がって歩いたり、シーソーで遊んだり、数字ボードを使用して足算・引算などを行なったりもします。

JRA馬事公苑 ファンタジックホースショー(フリーダムホースショウ)の写真
フリーダムホースショウ

まさに人馬一体といった感じでした。

・ファンタジックホースショー(フリーダムホースショウ)
手綱などの一切の道具を使わずに騎乗者が馬を自由に操るという演技で、人馬一体となり馬が自由に、自然に楽しそうに走りまわりながら調教師の指示通りにさまざまな技を披露します。2頭の馬の上にまたがって走る様子は圧巻です。

・ロングレーンホースダンス
ロングレーン(長手綱)を使って馬を操る演技で、馬には乗らずに馬場馬術的な難度の高いパッサージュ(弾力のある速歩)やピアッフェ(その場での速歩)、スペイン常歩、クールベット(立ち上がり)などを披露します。

JRA馬事公苑 トラディショナルスタイル(横鞍)の写真
トラディショナルスタイル(横鞍)

上品で優雅な感じの乗り方です。

・サイドサドル(横鞍)
馬に跨らずに両足を左側に置き、横向きに乗る騎乗方法です。「女王の鞍」とも呼ばれ、起源は600年くらい前のヨーロッパ大陸の荘園にさかのぼるようです。19世紀後半には、イギリスの乗馬好きな女性たちの間に広まり、狩猟や普通の鞍と同じように障害を飛越したりもしています。

こういった馬を使った演技のうちイベントでは都合のついたものが行われます。

JRA馬事公苑 ポニー競馬の写真
ポニー競馬

ビックリするぐらい速いです。

JRA馬事公苑 ポニーと子供の競争の写真
ポニーと子供の競争

ポニーが本気で走ったら勝負になりません・・・

馬のアトラクション以外には馬よりも一回り小さく、子供に大人気のポニーを利用したポニー競馬や子供との駈けっこなどといったイベントやポニーとの触れ合いなども行われます。

この他、馬の蹄鉄を製作する様子が公開されていたり、JRAの人気キャラクター「ターフィー」の着ぐるみなどと一緒に写真を撮ることもできます。

* 桜まつりと春の情景 *

JRA馬事公苑桜まつり パレードの様子の写真
パレードの様子

メインストリートを出場する馬などが歩きます。

馬事公苑には多くの桜が植えられていて、桜の多い世田谷区内でも有名な桜スポットとなっています。そして桜の開花時期の3月の最終週末、もしくは4月の第一週末の二日間に渡って毎年馬事公苑桜まつりが行われています。

桜まつりでは大きなイベントで必ず行われるパレードから始まり、馬による演技、ポニーによる競馬が行われたり、体験乗馬や馬車の試乗会などが行われます。

JRA馬事公苑 ダートコースと桜の写真
ダートコースと桜

一般的なソメイヨシノは走路エリアに多く植えられています。

馬事公苑では一般的なソメイヨシノも多く咲いているのですが、早咲きの河津桜、枝垂れ桜なども多く、とりわけ4月中旬~下旬に咲く里桜が多いのが特徴です。

「桜祭り」が行われるのは3月下旬から4月上旬のソメイヨシノの開花時期なので、本当の馬事公苑の桜の満開というわけではありません。近年は早かったり、遅かったりと安定しませんが、5月の連休のホースショーの方が桜がきれいなこともあります。

ソメイヨシノがまとまって咲いているのは走路エリア内で、この時期はサクラ広場などで花見ができます。

JRA馬事公苑 馬車道の桜のトンネルの写真
馬車道の桜のトンネル

圧巻の光景です。

馬車道は桜のトンネルになっていて、桜まつりの時に馬車の試乗も行われますが、残念ながらこの時はまだ咲いていなく、よくて蕾といった感じです。

4月中旬頃に訪れると馬車道の桜が満開となり、素晴らしい桜のトンネルとなります。開花が遅い年のホースショーの時だったら頭上に桜のある状態で馬車に乗れるかもしれません。

馬車の試乗は先着順となっているので早めに来て整理券の配布を受ける必要があります。

JRA馬事公苑 ふれあい広場と桜のトンネルの写真
ふれあい広場と桜のトンネル

花見客が多い広場です。

馬事公苑では4月中旬頃からが本当の桜の見頃となります。4月初めの慌ただしい時期に花見を逃した人でも少し遅い花見を楽しむことができます。

少し落ち着いたこの時期の方が人が集まりやすかったり、また飽きっぽい日本人の性格的に4月上旬の花見時期が過ぎるとガクッと花見をする人が少なくなるので、この時期の花見は空いていて、意外と良かったりします。

また同じ時期に比較的近い桜新町駅前でも遅咲きの八重桜が見ごろとなります。週末には桜まつりが行われるので、同時に訪れるというのもいいかもしれません。

* JRAホースショー *

JRA馬事公苑ホースショー 障害の飛躍の写真
障害の飛躍

様々なカテゴリーの馬術、障害競技が行われます。

毎年ゴールデンウィークに行われるJRAホースショーは、昭和47年に馬事公苑馬術大会、馬場馬術及び障害飛越の馬術大会として開催されたのが始まりです。

第5回大会からは馬術大会として馬術関係者ばかりが集まるのではなく、海外でも華やかに行われていたホースショー的なアトラクションを入れて関係者以外の多くの人にも楽しめるように変更が行われました。

JRA馬事公苑ホースショー 雨の中の競技の写真
雨の中の競技

国内最高カテゴリーなので観客も審判も多いです。

ホースショーは三日間にわたって行われ、競技においては参加条件が前年の国内馬術競技会上位入賞人馬に限定されているので、名実ともに国内トップレベルの競技会となっています。

馬術については詳しくありませんが、当然ながらオリンピックに常連で出場している第一人者から、これから日の丸を背負うだろうという実力者までこの世界では有名な人が多く出ています。

馬術では女子高生からおじいさんまで同じカテゴリーで競技を行っているのが新鮮な感動でした。

JRA馬事公苑ホースショー レプリーズの写真
レプリーズ

警視庁第三方面交通機動隊騎馬隊です。

競技の合間には各種アトラクション(アンダルシアン演技、ポニー演技、横鞍演技、軽乗演技、警視庁騎馬隊による集団演技、ポニー競馬など)が行われますが、こちらもかなり気合が入ったプログラムとなっています。

この他、体験乗馬・馬車試乗会はもちろん、いつも以上に多くの出店がメインストリートに並び、ふだん馬事公苑で行われるイベントのほとんどのことが期間中に行われるといった感じです。

JRA馬事公苑ホースショー 有名競争馬の展示の写真
有名競争馬の展示

知っている人には懐かしく感じることでしょう。

5月といえば競馬会では大イベントの日本ダービーが行われます。間近に迫った日本ダービーの告知を兼ねた有名競走馬の展示、ダービーの勝馬の予想ゲームなどが行われるのはホースショーならではです。

5月の連休というのもあり、家族連れ、友人連れ、いわゆる競馬好きにも人気のイベントとなっていて、毎年ビックリするぐらい多くの人が訪れています。

* 愛馬の日 *

JRA馬事公苑愛馬の日 武田流流鏑馬の写真
武田流流鏑馬

流鏑馬は人気のある演目です。

毎年秋分の日に秋の最大イベントである「愛馬の日」というイベントが行われています。イベント名は苑内にある「愛馬の碑」にかけているのでしょうか。

イベント名だけ見たら何のイベントで、何をやっているのかわかりにくいのですが、全国各地の伝統馬事芸能を紹介するという形で昭和43年から始まりました。

JRA馬事公苑愛馬の日 チャグチャグ馬コの写真
チャグチャグ馬コ

岩手県を代表するような祭りです。

JRA馬事公苑愛馬の日 田立の花馬祭りの写真
田立の花馬祭り

馬を飾り立てて練り歩く祭りは今でも比較的多く残っています。

今まで紹介した日本の伝統馬事芸能は、北は北海道、南は沖縄に至るまで二十団体以上になるそうです。古くからの馬と人との結びつきはあり、日本各地に馬に関する祭りや伝統行事が伝わっています。

疾走する馬から矢を放つ流鏑馬や、そりを引いて競争するばんえい競馬などなかなか東京で見る機会はなく、東京でそういった馬に関する迫力のある行事が手軽に見れるとあって人気のイベントとなっています。

JRA馬事公苑愛馬の日 子供ポニー競馬の写真
子供ポニー競馬

全国ポニー競馬選手権の関東予選です。

地方の伝統芸能の他にもいつも馬事公苑で行われているアトラクションや乗馬や馬車の運行も行われます。

またダートコースを使用して全国子供ポニー選手権の関東予選も行われるのは愛馬の日だけのイベントです。様々な馬に関することが行われるので、一日中楽しむ事ができます。

なお平成11年、21年には平成天皇が観覧にいらしています。馬事公苑自体が平成天皇の誕生を祝った奉祝記念行事の一環として計画されたというのもあるのかもしれません。

その時は入り口に空港の手荷物検査で使われる金属探知機のゲートが並び、簡易的な荷物検査もあり、知らずに訪れたものだからちょっとビックリしました。

* 感想など *

JRA馬事公苑 公苑内の一コマの写真
公苑内の一コマ

こういった光景は日常です。

世田谷には駒沢公園、砧公園、芦花公園、祖師谷公園と大きく、個性的な都立公園が4つありますが、そういった公園に負けていないぐらい魅力的なのが馬事公苑です。

桜の開花時期の苑内の素晴らしさは言うまでもありませんが、一年を通して多くのイベントや馬術大会が行われ、体験乗馬や馬車に乗れたりと馬に触れ合う機会があるのも魅力です。

緑が多く、馬が過ごしやすい環境はまさに都会の中にあるオアシス。駅から遠いのが難点ですが、私にとってお気に入りの散策スポットの一つとなっています。

ー 風の旅人 ー

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* 地図、アクセス *

・住所上用賀2-1 (*2022年まで閉園)
・アクセス最寄り駅は田園都市線用賀駅、小田急線千歳船橋駅、経堂駅、世田谷線上町駅など。駅から少々離れています。
・関連リンク馬事公苑JRAサイト内

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<せたがや百景 No.85 馬事公苑界わい  2009年11月初稿 - 2018年8月改訂>