* 玉川台自然観察林(玉川台二丁目五郎様の森緑地)について *
こんなところに雑木林が残ってる。環八の東名下交差点を自転車で通るのが怖く、一時期この横を通って通勤していたので、この自然林はよく知っていました。
敷地内の木々はぼうぼうだし、敷地横の道路にタクシーなどの車が停まり、中で運転手が仮眠していたり、フェンスには立ち小便禁止の看板が貼ってあったり、誰の持ち物か知らないけど少しは手入れをしたらいいのに・・・、無粋な地主だな・・・と思いつつその横を通過していました。
しかし自然観察林なら手入れしたらその意味がなくなってしまいますね。なんだ、そうだったのか。今までの疑問が晴れ、ようやく納得がいきました。
さて住宅街の一画に不自然に残っている自然観察林ですが、なんでこんな所にあるの?というのが正直な感想だと思います。
古い記述に少しこの森について書いてありました。
用賀駅前の通りは江戸時代の旧大山街道という事になるのですが、ちょうど首都高の高架をくぐるところは谷沢川と交わる地点でもあり、田中橋がかけられています。
現在この辺りは暗渠になっているので橋自体はとても目立たなくなっていますが、一応交差点が田中橋となっています。
かつてはこの上を玉電の軌道が引かれていて、大雨が降ったりすると谷沢川があふれて辺りが水浸しになり、電車が運行できなくなったとか。
田中橋というのも田んぼの真ん中で田中橋と名づけられたというのは今では考えられない事ですが、そんな田中橋より北西を望むと「五郎様の森」と呼ばれるたいそう立派で、大きな森を見る事ができたという記述がありました。
その森の持ち主は高橋五郎衛門という方で、その名残が現在の自然観察林という事になるようです。同じ区画にある大きな敷地のお宅の表札も高橋になっていたので、この辺一帯の土地を所有するほどの人だったようです。
かつては玉川台自然観察林として敷地内は一般には非公開となっていました。この自然観察林は昭和57年から世田谷区が借受け、樹林地を保全するとともに、自然に親しむ場所として活用していました。
入り口から内部を覗くと、あれだけ木々が生い茂っているのですから、当然内部は木々のために薄暗く、その中に管理小屋やカブトムシ飼育小屋がひっそりと建っていました。本当に木々に囲まれた空間といった感じでした。
カブトムシの成長観察など小学生などが授業等で利用していたり、腐葉土をつくっていたそうです。
2017年に隣接する民有地を市民緑地として契約し、玉川台二丁目五郎様の森緑地として整備されました。
残念ながら訪れたことがありませんが、敷地はきれいに整備され、内部には遊歩道が設置され、かつての屋敷林の面影が残る園内を散策できるようになっています。
とりわけ敷地の外、あの汚かった柵がきれいになったのは写真を見て驚きました。
カブトムシの飼育に関しても継続して行われています。夏になるとカブトムシを見ることができるようです。ぜひ訪れてみてください。