世田谷散策記 ~せたがや百景~

せたがや百景 No.77

兵庫島

昔、新田義興が謀られて最期を遂げたとき、同じ船に乗っていた家臣、由良兵庫助の屍が流れついたところから、兵庫島といわれるようになった。この小島からずっと河川敷がつづき、野球場、サッカー場、テニスコート、ピクニック広場などのある二子玉川緑地運動場になっている。水辺に広がるスポーツ、レクリエーションゾーンとして多くの区民に利用されている。(せたがや百景公式紹介文の引用)

・場所 :玉川三丁目付近の玉川河川敷
・備考 :ーーー

***  このページの内容  ***

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* 兵庫島と由良兵庫助伝説 *

兵庫島公園と二子玉川のビル群
兵庫島公園と二子玉川のビル群

緑の多い丘を中心とした公園になっています。

正平十三年(1358年)に新田義貞の次男である新田義興一行が新田家再興のため鎌倉へ向かっている途中、矢の口の渡し(*矢口の渡し(大田区)と矢野口の渡し(調布)の二説あります)で多摩川を渡っている最中に敵軍の策略を受け、一行は全滅しました。

中でも義興の従者である由良兵庫助、新左衛門の兄弟は、舳先に立ち、刀を逆手に取り直して互いに自分の首を切り落として壮絶な自害を遂げたそうです。

その死体は多摩川を流れていき、流れ着いたのが現在の二子玉川駅近くにある小島で、土地の人が祟りを恐れてこっそりと島に供養し、その後兵庫島という名で呼ばれるようになりました。

大田区の下流からだとつじつまが合わない感じもしますが、昔は堰がなかったのでこの付近まで満潮時には海水が遡ってきたと言われています。

ちなみに世田谷区にはもう一つ新田義興一行についての不確かな史跡があります。それは松原にある半田塚で、多摩川で戦って敗れた残党十五、六人がこの地までたどり着いて息絶えたという謂われが残っています。

野川と兵庫橋
野川と兵庫橋

兵庫島の南端で野川が多摩川に合流します。

その兵庫島を昭和63年に世田谷区が整備し、公園にしたのが兵庫島公園です。

兵庫島と名前に島がついていますが、現在の兵庫島は島ではなく、多摩川と支流の野川の合流点に位置する陸続きの河川敷です。

この付近は多摩川と野川のデルタ地帯である為、洪水や大雨の度に島の形が変わったり、川筋が移動したりしてきました。2015年の豪雨や2017年の台風時に兵庫島が完全に孤島となった様子がテレビで流れましたが、そういったことが起きる度に地形が変わっていったと想像できます。

兵庫島公園 多摩川水神様
多摩川水神様

昔はフェンスに囲まれた石の祠がありました。

兵庫島公園の真ん中は小高い丘となっています。この部分が昔からの兵庫島の部分になります。この丘には伝説の由良兵庫助のお墓が・・・と期待したいのですが、残念ながらありません。

わかりにくいところに多摩川水神様の祠があり、これはもしかして由良兵庫助の化身なのか・・・と思ってみたりしたのですが、2014年に訪れた時には祠のあった土台に御神体のような石が置いてあるだけになっていました。

その祟りですかね。2015年の豪雨は。昔だったら「水神様の祟りじゃ!!!何てことをしてしまったんだ!!!」ってことで、新たに大きな水神様の祠が建てられ、どうか二度とこのようなことは・・・ってな運びになっていそうです。

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* 兵庫島公園について *

二子玉川兵庫島公園 兵庫橋の写真
兵庫橋

野川に架かる橋で、二子玉川からの入り口になります。

兵庫島公園に行くには二子玉川駅からだと二子橋の北側にある兵庫橋を渡ることになります。

この辺りではよく釣りをしている人を見かけますが、一体何が釣れるのでしょうか。この橋の下を流れているのは野川という事になりますが、昔の汚かった都市河川では考えられないことです。

二子玉川兵庫島公園 丘の上の写真
兵庫島の丘の上

丘の中は木々が多く、緑が多いです。

兵庫橋から渡ると小高い丘があります。この部分が昔からの兵庫島の部分になります。大雨で兵庫橋が冠水した映像を見たとき、兵庫島が島に戻ってると思った人も多いのではないでしょうか。

この丘の部分に登ることもでき、丘の上には遊歩道が設置され、藤棚がある広場などがあります。

石碑なども多く設置されていますが、伝説の由良兵庫助のお墓は残念ながらありません。もしかしたらどこかの地面の中で眠っているかもしれまんが・・・。

二子玉川兵庫島公園 多摩川八景の案内板の写真
多摩川八景の案内板

昭和59年に選定されたものです。

丘の上には多摩川八景の案内板があります。これは国土交通省が多摩川への関心を高め、河川環境整備の方向性を探ることを目的として、市民の投票をもとに昭和59年(1984年)4月に選定したものです。

兵庫島も選ばれていて、この他には上流から「奥多摩湖」「御岳渓谷」「玉川上水」「秋川渓谷」「多摩川大橋付近の川原」「多摩川台公園」「多摩川の河口」が多摩川八景になります。

選定時期がせたがや百景と同じなので、今では・・・といった部分もあるのはしょうがないことです。

二子玉川兵庫島公園 ドナウ川との友好記念の碑の写真
ドナウ川との友好記念の碑

彫刻家「鈴木政夫氏」の制作レリーフです。

ドナウ川との友好記念の碑も設置されています。これは世田谷区が昭和60年(1985年)5月にウィーン市ドゥブリング区と姉妹都市提携を結び、この交流が発展し、昭和61年(1986年)10月に世田谷区とウィーン市との共同宣言により、多摩川とドナウ川が日本で初めての「友好河川」になったそうです。

それを記念し、また両都市の市民の友情の証として、更には多摩川もドナウ川もいつまでもその美しい流れを守り続けようという誓いのシンボルとして、ここ兵庫島に設置されました。

二子玉川兵庫島公園 若山牧水の歌碑の写真
若山牧水の歌碑

多摩川を詠んだ歌が刻まれています。

その他には若山牧水の歌碑もあります。歌碑には多摩川を詠んだ歌、「多摩川の砂にたんぽぽ咲くころは われにもおもふ人のあれかし」が彫られ、横の案内板に他の歌が紹介されていました。

全国的に有名な歌人ですし、全国で歌を詠み、全国に歌碑があるので、特別珍しいものではありませんが、牧水のように多摩川の流れに心を重ね、歌人のような気分で多摩川を見てみると意外な発見があったりするかもしれません。

二子玉川兵庫島公園 兵庫池の写真
兵庫池

底がコンクリートのひょうたん型をした人工の池です。

河川敷側には兵庫池があります。真ん中付近が狭まって橋が架けられているといった典型的なヒョウタン型をした池で、池の底は大雨で水没したときなどに掃除がしやすいようにコンクリートで固めてあります。

人口の池ですが、池の周りには開放的な芝生の広場や子供の広場、川の流れ近くは砂利広場があり、座ってくつろげるようになっています。

二子玉川兵庫島公園 兵庫池の橋の写真
兵庫池の橋

真ん中部分に橋が架かっていて庭園みたいな風景になっています。

季節のいい休日には玉川高島屋などでお弁当購入して、芝生などでピクニックをしている家族連れの姿も多く、地元はもとより広い地域の人々が憩いと安らぎを求める場となっている感じがします。

もちろん平日は近くで働いている人が休憩時間に利用したり、学生が帰宅前にくつろいでいたり、子供を連れたお母さんの姿も多いです。

二子玉川兵庫島公園 休日の川崎側の河川敷の写真
休日の対岸の河川敷

川崎側はバーベキューができるので賑わいます。

平成11年より条例で兵庫島公園を含めた河原ではバーベキューや花火打上などの火気使用は全面禁止となっています。これはかなり徹底されていて河原や近くの路上駐車を取り締まる巡回パトロールを行っています。

理由は・・・、テレビでも度々取り上げられたぐらいなので書くまでもないと思いますが、マナーの悪さです。ゴミは放置し、深夜まで大音量で音楽を鳴らしたり、花火を打ち上げたりといった行為が多発したからです。

以前はゴールデンウィーク付近の休日には兵庫島や付近の河川敷には多くのバーベキュー客がいました。今では条例が守られつつあるので、バーベキュー客は規制のない川崎側の方で行っています。

休日になると、二子玉川側でバーベキューができないと知った人、あるいは二子玉川で集合し、食材を調達した人たちが、バーべキュー用の荷物を持って二子橋をぞろぞろ渡っていくといった光景が繰り広げられます。

もちろんマナーが改善されているはずもなく、テレビで知るところによると川崎の方ではバーベキュー無法地帯となっていました。ただ、今では川崎側でも条例が制定され、指定された場所でしか行えなくなり、しかも有料となったようです。かなり改善されたのではないではないでしょうか。

二子玉川兵庫島公園 売店と新二子橋の写真
売店と新二子橋

日よけのあるテーブル席があるので、休憩に利用できます。

兵庫島公園の北側には国道246号の新二子橋が頭上を通っています。

せっかくの公園に橋とは何と無粋な、邪魔な存在と思う人もいるかもしれませんが、これはこれで便利です。日差しの強い時は日陰として、急に雨が降ってきた時には雨宿りができます。特に子供を見守るお母さんの味方となっています。

その新二子橋付近には売店があり、軽食や飲み物を売っています。テーブル席も用意されているので休憩にも利用できます。

二子玉川兵庫島公園 せせらぎで遊ぶ人々の写真
せせらぎで遊ぶ人々

河川敷で安全に水で遊べます。水は兵庫池に流れています。

新二子橋の北側には人工的な水辺を造った枯れ流れや野草の広場があり、川べりでのピクニックだけではなく、水遊びや散策が楽しめるようになっています。

小さい子供たちに水遊びをさせるにはいい場所です。でもすぐ近くに本物の多摩川があるので、目を離さないようにしないと危険です。

このせせらぎや野草の広場までが兵庫島公園で、これより先はグラウンドが沢山並ぶ二子橋公園と別の公園になります。

* 兵庫島でのイベント *

二子玉川兵庫島公園 花みず木フェスティバルの写真
花みず木フェスティバル

この日は多くの人が訪れます。

イベントとしては、毎年4月29日に「花みず木フェスティバル」が兵庫島公園をメイン会場として、二子玉川商店街やショッピングセンターなど町全体で行われます。

これは花みず木の町二子玉川の町おこしといったイベントで、苗木が配られたり、小さな舞台が設置されてちょっとしたステージイベントが行われたりします。

イベントの詳細はNo.80の「はなみずき並木の二子玉川界わい」に載せています。

二子玉川兵庫島公園 246ハーフマラソンの写真
246ハーフマラソン

島がコースになっています。

かつて8月、夏の終わりの思い出でしたが、現在は10月にたまがわ花火大会が行われます。兵庫島は同時に開催される川崎の花火大会と世田谷の花火大会の真ん中に位置しているので場所的にはちょうどいいのですが、どちらにしても橋が邪魔になるかもしれません。

また11月に行われる246ハーフマラソンではランナーが兵庫島を激走していきます。

こんなところがマラソンのコースに・・・と書くと怒られそうですが、ここが公式マラソンのコースになっているのには驚きました。

* 感想など *

二子玉川兵庫島公園 水辺の風景の写真
水辺の風景

開放感のある公園なので、気持ちのいい休日が過ごせます。

兵庫島公園は川辺の立地を生かし、とても開放感があり、心地のいい時間を過ごせる公園です。それでいて兵庫島公園のすぐ上に二子玉川駅があるように、とても交通のアクセスもよく、更には近くに大きなショッピングセンターもあることから弁当にも困りませんし、遊んだ後はショッピングもできます。本当にこれでもかといったぐらい立地条件のいい公園です。

江戸から昭和初期にかけての二子玉川は江戸の人々の川遊びの行楽地でした。鮎も取れたことから川辺には料亭が並び、屋形船も浮かんでいたようです。さすがに今では船を浮かべることはできませんが、多摩川の空間的開放感を求めて、あるいはショッピングやレジャーで多くの人が訪れています。

休日の混雑ぶりを見ると、今も昔も二子玉川は変わらなく人気のレジャースポットなんだな。風景はだいぶん変わったけど、人間の行動や価値観はさほど変わっていないのかなと思ったりしました。

ー 風の旅人 ー

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* 地図、アクセス *

・住所玉川3丁目2−1
・アクセス最寄り駅は東急田園都市線二子玉川駅。
・関連リンク兵庫島公園(世田谷区)、多摩川リバーミュージアム(国土交通省)

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<せたがや百景 No.77 兵庫島 2009年4月初稿 - 2018年4月改訂>