世田谷散策記 ~せたがや百景~

せたがや百景 No.31

北沢川緑道ユリの木公園

北沢川緑道でもこのあたりは都会的な趣きのある遊歩道だ。レンガタイルを敷き、芝生を植え、スツールが置かれていて、公園のような緑道となっている。近所の人々のゆきとどいた手入れで、いっそう心地よい憩いの空間となっている。(せたがや百景公式紹介文の引用)

・場所 :宮坂2丁目付近
・備考 :5~6月頃がユリノキの花の開花時期

***  このページの内容  ***

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* ユリの木について *

北沢川緑道ユリの木公園 ユリの木公園入り口
ユリの木公園入り口

東側は世田谷線の山下駅前から始まります。

北沢川緑道は代沢付近の桜並木に引き続いて2度目の登場です。場所的には世田谷線の山下駅から小田急の経堂駅方面にかけてで、およそ600mほど直線的に緑道が続いています。

代沢付近では桜並木と小川のようなせせらぎがあり、とても雰囲気のよい緑道となっていましたが、ここでは完全な暗渠となっていて、植えられているのはユリの木・・・。

「えっ、ユリの木って・・・」「百合といえば球根から育つきれいな花の、いわゆる草としてなら知っているけど、百合の木なんてあるの?」と、緑道云々よりもまずユリの木が木になった・・・、気になった人も多いかと思います。

ユリノキの花
ユリノキの花

ちょっと散りかけです・・・。チューリップの花にも似ています。

さてユリの木ですが・・・、他のサイトから仕入れた知識を自慢げに披露すると、ユリの木の正式な学名は「Liriodendron tulipifera」で、ギリシャ語の「leirion(ユリ)」と「dendron(樹木)」が語源となるモクレン科ユリノキ属の落葉高木です。外国では花の形からチューリップツリーと呼ばれているそうです。

花の開花は5~6月頃。薄緑色でチューリップのような花を咲かせますが、高い位置にあるのと、葉っぱの色と似ているのであまり目立ちません。花の香りも強烈ではないので、甘い香りに誘われて頭上を見上げるということもないです。

ユリノキの葉
ユリノキの葉

葉の形から「半纏(はんてん)木」、「奴凧(やっこだこ)の木」、「軍配(ぐんばい)の木」とも呼ばれています。

「百合の木」ではなく、植物名が「ユリノキ」というのが正式なのですね。少々紛らわしい命名となっているのですが、これには有名な話があって、明治23年に後の大正天皇が小石川植物園を訪れた際に日本最古のユリノキ種の木を見て、「ユリの木」と命名したそうです。

チューリップ自体がユリ科の植物なので、チューリップツリーでもユリノキ(ユリの木)でも結局の所は同じ事なのかもしれません。その他にも葉っぱの形から「半纏(はんてん)木」、「奴凧(やっこだこ)の木」、「軍配(ぐんばい)の木」とも呼ばれているようで、この植物の別称の多さにビックリさせられます。

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* 北沢川緑道ユリの木公園について *

北沢川緑道 ユリの木公園の案内板
ユリの木公園の案内板

せたがや界隈賞にも選ばれていました。

ユリの木公園 路面に埋め込まれたプレート
路面に埋め込まれたプレート

ヒョロリとした幹なので冬はみすぼらしい感じになっていました。

山下駅から東へ続く北沢川緑道は、ユリの木緑道ではなく、ユリの木公園と名付けられています。緑道自体が公園の管轄なので公園と名がついていても不思議ではないのですが、これだけ長い緑道に公園と名がついていることが面白く感じます。

緑道内の中央の通路部分は、わざわざ蛇行させてあり、その路面にはレンガが敷き詰められています。ユリノキがそびえる並木の中のレンガの道といった雰囲気で、ちょっとおしゃれな雰囲気となっています。歩道以外の部分も植木の管理もよく行き届いていて、まさに細長い公園といった感じでしょうか。

このレンガを敷き詰めた遊歩道とユリノキとの調和したデザインがよく、第二回のせたがや界隈賞を受賞したようです。せたがや界隈賞自体が過去の遺物となってしまいましたが、現在でも案内板が設置されています。

北沢川緑道ユリの木公園 ユリノキ並木
ユリノキ並木

道も木もまっすぐ伸びています。

さて、緑道とユリノキの関係ですが、なぜここにユリノキが植えられることになったのか。それはこの緑道を整備するに当たって付近の住民との意見交換があり、住民の要望で植えられたようです。

なんで他の樹木ではなくユリノキに決まったのだろう。誰が提案したんだろうといった疑問がありますが、それについては記述がなかったのでわかりません。もしかしたらなんとなく誰かが提案して、なんとなくそう決まったのかもしれません。

でもどこもかしこも桜並木やイチョウ並木、ハナミズキ並木では芸がないので、ここのユリノキ並木というのは区内において特徴ができてよかったのではないでしょうか。

北沢川緑道ユリの木公園 真っ直ぐに続くユリの木
真っ直ぐに続くユリの木公園

道路に沿ってひたすらまっすぐ並木が続いています。

ユリノキは多くの大きな葉を付けることから夏は涼しげな木陰をつくり、街路樹にはふさわしい木だといえます。実際に気がつかないだけで、調べてみると結構ユリノキ並木というのは各地にあるものです。

例えば皇居の周りの内堀通り(半蔵門から桜田門付近)や赤坂の迎賓館前にも植えられています。って、例えが皇室関係ばかりだと高貴な感じもしますが・・・。これってやっぱり大正天皇の命名の影響でしょうか・・・。

でも・・・、調べる前はユリノキとはなんて珍しいんだ。東京でもここだけだとか・・・などと思っていたのですが、実際のところはもの凄く珍しい街路樹でも木でもない事がわかり、少しテンションが下がってしまいました。

北沢川緑道ユリの木公園 秋のユリの木公園
秋のユリの木公園

緑一色からカラフルな並木になります。

春から秋までは緑一色、しかも固い感じの緑色の緑道だったのが、晩秋になるとユリノキが紅葉し、明るい雰囲気になります。ユリノキ自体の紅葉がきれいというわけでありませんが、ここまで季節によって雰囲気が変わるのには驚きました。

ユリの木公園 モザイク画のような紅葉
モザイク画のような紅葉

緑から茶色まで様々な色で構成されています。

ユリノキは葉が大きいので緑色の葉、黄色くなった葉、茶色くなってしまった一つ一つの葉が遠目でもはっきりとわかり、それがモザイク画、或いは点画のような感じになります。

世間一般的にはまだらになる紅葉というのはあまり美しくないのでしょうが、私的にはこの時期が一番美しいと感じます。なんていうか、モザイクタイルをちりばめたような緑道というのでしょうか。こういった紅葉もいいものです。

北沢川緑道ユリの木公園 秋のユリの木公園の散策
秋のユリの木公園の散策

この時期の散策は少し趣が違っていて楽しいけど、落ち葉で歩きにくいという難点もあります。

落葉樹なので紅葉した葉が地面に落ちるのは自然の理。どさっといった感じで緑道内に落ち葉がたまっていました。やはり一つ一つの葉が大きいのでかさばり、後片付けも大変です。

それに大きな葉というのは風で飛びやすいです。奴凧(やっこだこ)の木の別称もあるぐらいなので、並木に面していないお宅でも風が強い日には凧のように風に乗って葉が大量に飛んできて困るという家もあるかもしれません。

* 感想など *

北沢川緑道ユリの木公園 朝日を浴びるユリノキ
朝日を浴びるユリノキ

一日ごとに色合いが異なっていて、朝の散歩も楽しそうです。

ユリの木ってどんな木だろう?と興味津々で訪れたユリの木公園ですが、期待しすぎたせいか普通の木でした。でもユリノキについての知識が増え、町を歩いている際にユリノキが植えられていると気が付くようになりました。ユリノキと知り合うきっかけになった場所になるでしょうか。

ユリノキはきれいな花を咲かせるわけでもなく、イチョウのようにきれいに紅葉するわけではありませんが、秋になって色とりどりになった様子がとても面白く感じました。年ごとに変わるユリノキのモザイク模様、ユリノキアートもぜひ楽しんでみてください。

ー 風の旅人 ー

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* 地図、アクセス *

・住所宮坂2丁目付近
・アクセス最寄り駅は小田急線豪徳寺駅、世田谷線山下駅。
・関連リンクーーー

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<せたがや百景 No.31 北沢川緑道ユリの木公園 2009年4月初稿 - 2018年3月改訂>