* 上野毛富士見橋と富士山の眺望 *

ありきたりといえばありきたりの名となるでしょうか。
世田谷で富士見橋といえば「せたがや百景」に選定されている成城の富士見橋がよく知られていますが、比較的広範囲で富士山を望むことができた区内には他にもいくつか富士見橋があります。
現在では富士山が見えなくなってしまった富士見橋がほとんどですが、上野毛には今でも富士山が見える富士見橋があり、成城と同じく国土交通省が選定した「関東の富士見100景」に選定されています。

富士山側に歩行者用のスペースが設けられています。
富士見橋がある通りは広い道路ではありませんが、一方通行ではありません。でも富士山側には歩行者用の簡易歩道が設けられているので、車を気にせずに富士山を見ることができます。
そもそもこの付近は美術館やらお屋敷が並んでいるといった超セレブ界隈だし、抜け道として利用しにくいのもあって車はあまり通らなかったりします。

列車が狭い切り通しを進んでいきます。
橋の下は川ではなく、成城の富士見橋と同様に鉄道の切り通しとなっています。
成城のほうは今では切り通しに蓋がされ、列車が足元を走り抜ける光景を見ることができませんが、こちらではまだ健在。東急大井町線がひっきりなしに通っています。
ただ、狭い切り通しなので冬の太陽が低い時期には影が多くなってしまい、富士山を絡めたいい写真を撮るのは難易度が高いような気がします。

2008年の写真です。現在と比べるとビルがなくすっきりしています。
富士山の眺望は・・・、ちょっと微妙な感じです。二子玉川の再開発前でも手前にマンションがあったので、そこまでいい風景といった感じは受けませんでした。
再開発では二子玉川駅の南側に高層ビルが建てられていき、視界に次から次へとビルが入るようになりました。
現在では・・・、実際に見ていませんが、他の人の写真を見る限り富士山は見えるには見えるけど、ビルの間に見えるといった感じのようです。

2009年の写真です。手前にマンションがなければ・・・ってな感じです。
ここでも愛好家に人気のダイヤモンド富士を見ることができます。ダイヤモンド富士とは富士山の山頂に太陽が重なる現象のことです。
10月30日と2月12日がその日となり、関東の富士見100景に選ばれているだけあって多くの愛好家などが訪れているようです。
どちらも季節の微妙な変わり目。朝はきれいに見えることが多いのですが、昼以降に雲がでやすくなります。湿度や気温から2月の方が見ることのできる確率が高いと思いますが、あくまでも天気次第となります。

富士見橋よりも眺めがよかったです。
この富士見橋のすぐ横は五島美術館です。すぐ足元を通っている東急線(東急グループ)の事実上の創業者である故五島慶太氏が生前に収集した日本と東洋を中心にした古美術を展示している私立の美術館です。
収蔵品の目玉はなんと言っても国宝の「源氏物語絵巻」と「紫式部日記絵巻」です。これらは旧大名家から買い取ったもので、鉄道王の財力恐るべしといった感じです。
きっと鉄道を引くのも自分の庭に引く感じだったのでしょうか。そういった事を考えながら富士見橋からの風景を眺めるとまた違った気分に慣れるかもしれません。
美術館内には崖線を利用した広大な庭園があります。都指定の天然記念物のコブシをはじめ、多くの石仏が展示してあります。
庭園内からの眺望も良く、ここからも富士山を眺めることができ、一般には非公開ですが庭園内には富士山の眺望を堪能できると思われる富士見亭茶室もあります。
ただ二子玉川の再開発によって多くのビルが建ってしまったので、富士見橋以上に昔の眺望が惜しまれる場所となってしまいました。