* 池之上小学校と松の木 *

こちら側は裏門ってことになるのでしょうか。
京王井の頭線の池ノ上駅のすぐ目の前に池之上小学校があります。
不動産情報で言うなら駅から徒歩0分、或いは1分以内といった絶好のロケーションとなるでしょうか。東京の小学校でこの立地条件はなかなか凄いものがあります。
でも公立小学校に電車通学する子供はほとんどいないでしょうから、かえって駅前の人や車の多い煩雑な立地条件、それに踏切もあるので、トラブルに巻き込まれる確率とかいろいろと考えると、小学校が駅前であることにあまりメリットはなさそうな気もしますが・・・、どうなのでしょう。
この池之上小学校は、この辺りの地名が下北沢村の小字「池の上」だったことに由来しています。
ただ文字には少々こだわりがあって、初代の岸上校長が格調を高める意味で「の」を「之」に付け替えたそうです。
ついでに書くと、井の頭線の駅名は「池ノ上」です。同じ「池の上」でもなかなかこだわりがあるというか、ややこしいことになっています。
話を戻すと、創設は昭和15年9月です。その当時この地区にある小学校は代沢小学校だけだったのですが、昭和8年に井の頭線が開通してからというもの、この界隈の人口が急増していき、代沢小学校がマンモス化した為に池之上小学校が開校することとなりました。
その当時の話では草ぼうぼうの牧草地に学校が建てられたようで、当時の生徒の一番の思い出は校庭の草とりだったとかなんとか。生徒が校庭を整備している時代だったようです。
小学校の横には昭和30年代頃まで海外植民地学校もあったようです。

外から見える範囲での松の木です。
池之上小学校の校庭には立派な松の木があり、それが地域風景資産に選定されています。
松の種類は赤松で、樹齢は100年以上、昭和15年の開校時からこの場所にあったそうです。学校のシンボル的存在になっていて、なんでも「まっぴー」という愛称があるとか。
実際に訪れてみると、ちょっと遠めですが敷地の外から見ることができました。日曜日だったので誰もいなく、子供たちを見守っているかは分かりませんでしたが、その佇まいは百景に出てくる砧小学校の百年桜といい勝負といった感じでしょうか。
実際、池之上小学校ではこの松の木はどういった存在なのでしょう。
調べてみると、創立70周年記念式典での北村博校長の式辞にいい例えがありました。
在校生の代表として参列している5、6年生に向けた言葉で、
”今日は、この式典で、二つのことばを、君たちに贈ります。一つ目は、「根ばり」です。本校のシンボルであります赤松は、樹齢推定100年以上といわれています。松は、よく「枝ぶり」を評価されますが、地面の下に根を深く、広くはりめぐらす「根ばり」に私は思いを寄せます。この「根ばり」は、本校の教育目標「たくましくて 思いやりのある子」の「たくましくて」にあたります。松の木のように、「根ばり」をもって「たくましく」成長してください。・・・”とありました。
春になると華やかに花を咲かす桜の思い出は強く印象に残るけど、この校長先生の言葉のように年中緑で地味な存在でも地面に深く根張りし、さりげなく見守り続けてくれる力強い安心感がこの松にはあるかもしれません。
そしてきっと子供たちはこの老松から逞しさというか、芯の強さといった事を自然と授かり卒業しているのでしょう。