* 制作のきっかけなど *
どうして世田谷をテーマにしたこのサイトを作ったのですか?社交辞令的なものだとは思いますが・・・。世田谷散策記をきっかけにお会いした方などに頻繁に尋ねられます。
郷土愛とか、地域のためだとか、あまりにも善意に解釈されると辛いので、ちょっと長いけど記載しておきます。
尋ねる方の視点は大きく分けると二通りあります。
一つは旅の目線として、世界を旅し、大きな風景、世界的な史跡を見てきた私がなぜ地味な地元、しかも観光地のほとんどない世田谷の散策ネタをテーマにページを作ったのかといった質問です。
そしてもう一つが旅云々ではなく、地元のために労力をかけてなぜこういったサイトを作ったのかといった地域活動に関わる人からの質問です。
多くの海外旅行を行ってきたので、最初は当然のように海外の話題を中心に風の旅人というサイトを作り始めました。
旅好きなので旅に行く前の下調べや旅をしている最中はもちろんのこと、旅が終わった後に余韻をかみ締めつつ整理することが好きだったのもあります。
しかしながら情報は生ものと言うように、頻繁に海外へ行っているのならともかく、海外へ出なくなって10年も経ってしまうとその情報の古さからサイトの更新に行き詰まるようになってしまいました。
そこで日本ではバイクに乗って旅しているので、バイク旅をテーマにして更新を続けていたものの、テーマが大きすぎてうまく個性を出すことができず、サイトの制作もあまり行わなくなってしまいました。
そんな時に大問題が発生しました。それはガソリンの異常な高騰です。覚えていますか?あのレギュラーガソリンが200円目前だったこと。
燃費のよくない大型バイクを移動手段にしていたので、走行距離表示がタクシーの料金カウンターに感じるようになり、長距離移動が気分的にしんどくなってしまいました。
移動することが心情の旅人にとって移動が苦痛になってはお話になりません。もっと手軽に旅はできないだろうか。何かあまりお金をかけずに好奇心をそそるものはないかと思いついたのが、私にとって半地元である「せたがや百景」巡りでした。
「せたがや百景」自体はバイク旅の目的地を探しているときに他のサイトから情報を得て知っていました。でも地元を回っても面白いのだろうか・・・。全てにおいて地味すぎるぞ・・・。最初は疑心暗鬼でした。
でもそれはやり方や気分の持ちようで何とかなるものです。当時はネットで調べてもせたがや百景をテーマにしたサイトがほとんどなく、訪れる場所がどんな場所なのだろうかといったワクワク感がありました。
検索しても情報のない項目も多く、どこだろう?どんな場所だろう?地図を片手に探すのも結構楽しかったです。
またラーメンの食べ歩きも同時に行うことができたのも後押しをしてくれました。休日にカロリーの高いラーメンを食べるならそれなりに運動をしなければなりません。
住んでいる場所から遠い地域の有名ラーメンを食べるために自転車で頑張って・・・というのも実はちょっと楽しかったです。
そして訪れたことをサイトにまとめるのもやりがいがありました。誰もやっていないので真っ新なキャンパスに絵を描く気分。道なき道を開拓してやろう。人が歩いていない道を自分が最初に歩くんだと考えるとワクワクしてしまう・・・というのは旅人性なのかもしれません。
それに身近な話題なので調べ物は図書館に行けばいいし、とっ散らかりやすい私の頭でもまとめやすかったというのもあります。
といったわけで、最初の質問に答えるときにちょっと困ってしまいます。世界の旅や日本の旅をテーマにしていたんだけど、うまくまとめられず、そんな時にガソリンが高くて・・・、思いついたのが地元散策で・・・、といった歯切れの悪い動機です。
だから地元のためを思って作り始めた郷土愛にあふれる人間ではありません。単に旅好きで、その興味のベクトルが諸事情あって地元世田谷に向かっただけです。
それともう一つ後付けのような理由があります。私自身よく旅に出るので、旅先で何処の出身などといった会話をする事が多いのですが、その時に「東京の世田谷から来ました。」と言うと、今までのところ100%の確率で通じています。私なりの感覚では全国的に東京都世田谷区の知名度はなかなかのものだと思っています。
しかしながらその反応はというと、決まって「高級住宅街だよね。」「いいとこに住んでいるんだ。」といったものです。それ以外はとなると・・・、何も知らない人が多いようです。
これは成城などの有名高級住宅地に住んでいない住民としては面白くないことです。海外に出て現地の人に「日本製のものは凄い」「トヨタ最高」「ソニーは素晴らしい」などと褒められても、「私が作ったわけではないし・・・、あんまり関係ないけどな・・・、日本のことを褒めてくれるのはうれしいけど・・・」と反応に困るのと同じ事かもしれません。
そういう意味では世田谷は知名度はあってもかなりマイナーな場所と言うべきなのかもしれません。
という私も逆に世田谷には何があるの?と聞かれると、ボロ市や松陰神社などいくつかの地名や寺社はでてきますが、そのことについての詳細はよく知りませんでした。
世田谷に全国的に誇れるものって何があるのだろう・・・、旅先で世田谷にはこういうものがあるんだよと会話が弾んだら楽しいだろうな・・・といった思いも胸の内に少しありました。
といった感じで、私なりの世田谷探しの旅とこのサイトの制作が始まったわけです。
最初はこういったマニアックというか、知名度のないページを作っても人がほとんど来ないのではといった心配が大半でしたが、サイトの成長とともに多くの人が閲覧しに来てくれるようになりました。なんていうか世田谷の人口の多さを改めて実感した次第です。
また様々な関係者からメールで励ましや情報などをいただき、大変励みになりました。人間関係が希薄になりつつある都会で、しかもインターネットという相手の顔の見えないものでも地元ネタというのは人と人を確かにつなぐものだなと感じました。大変感謝しています。